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今回は、私の友人の友人(以後、Cさんとします。)のお話をさせて頂こうかと思います。
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Cさんは廃墟マニアというか、心霊スポットマニアというか…とにかく、そういった≪曰く付きの場所≫に行くのを趣味としている女の子でした。
その日もCさんを含めた4人(男:2と女:2)で大阪某所にある廃旅館へ行くことになったそうです。
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そこは昔、殺人事件が起きた旅館で、それ以来、客の一人が客室で焼身自殺をしたり、客が行方不明になったりなど、数々の怪事件があったこともあり廃館となった場所でした。
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外観から、なかなかの雰囲気で、しとしとと雨が降っていたこともあり4人は、内心恐怖に震えながらも好奇心が勝り、その廃旅館へ足を進めたのでした。
カビ臭い。雨漏りもしている。荒れた内部。うっすら感じる寒気。まさに心霊スポット特有の感覚を肌で感じていた4人は、恐怖心をかき消すためにか、いつもより饒舌に話しながら内部の探索をしたそうです。
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その旅館は2階建てで、1階にはロビーと客室10室。2階には大浴場と客室10室があり、そのひとつひとつを懐中電灯で照らしながらゆっくり回って行ったそうなのですが…2階の203号室へ入った時、女の友人が急に叫び声を上げ、階段を駆け下りて行きました。Cさんを含め、残された3人は騒然。ひとまず彼女を追いかけ、その廃旅館を出たそうです。
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「どうした?」
「何か見たの?」
「大丈夫かよ、オイ。」
そう声を掛けても、彼女は震えるばかりです。
落ち着かせるため、車で来ていた彼女たちは、明かりの多い場所まで車を走らせ、震える彼女を宥めた後、その時の話を聞いたそうです。
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「実は、2階の…203号室…?に入った時…部屋の鏡にね?男の人が写ってたの。包丁を持って、凄い顔で私を睨んで…怖くて怖くて…。」
そういった後、彼女は糸が切れたのか大声で泣きだしてしまいました。
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「無いよ。」
Cさんはポツリと言います。
「…?」
首を傾げ、Cさんを見る3人。
「203号室、鏡は無いよ。」
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実は、その旅館がまだ営業をしていたころ、焼身自殺した方がいた部屋、行方不明になったお客様がいた部屋、そもそも殺人犯が立て込んだ部屋。それらは全て、203号室だったそうです。それ以降。その部屋に掛けていた鏡に奇妙な現象が起きる。とのことで、鏡は撤去され、廃館になるまで設置されることは無かったそうです。
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Cさんはその旅館の若女将を務めていた方の孫にあたるそうで…
「無いよ。あの部屋には鏡は無い。間違いなく。無い。無い。無い。無い。無い。」
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それ以来、Cさんがそういった場所へ散策に行くことはなくなりました。
いえ、出来なくなったのです。
Cさんは、それ以来、精神を病んでしまい今は隔離病棟へ入所中です。
私の友人は、実際にその≪あるはずの無い鏡を見た。≫という彼女からこの話を聞いたそうです。
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Cさんは毎日毎日、あちこちに書いてるそうです。
______無い。無い。無い。無いよ。無いよ。無い。
作者雪-2
第6話目です。
今回は私ではなく、第三者の体験を元にお話しさせて頂きました。
分かりにくい文章ではありますが、閲覧して頂ければと思います。
※事実を元にした作品です
※駄文失礼しました