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私の家は古くからつづく呪術師の家系で、両親も呪術師だ。
平安時代などの妖怪や幽霊といった怪異が本気で信じられていた時代なら、不思議な力を操る職業として成立したらしいが、明治以降、科学万能の時代となってからは怪しい奴らとして見られて、迫害や差別を受けてきたらしい。実際に私達家族も元々住んでいた場所から逃げて、ひっそりと呪術師であることがばれないように生きてきた。
だが、こんな時代でも呪いを必要とする人々はいるらしく、私の両親は匿名性が高くそういう人々が集まりやすいネットを使って依頼を受けていた。そして私も幼い頃から両親に呪術の指導を受けてきた。そんな両親の口癖は「いつの時代も呪いを必要としている人々はいるんだから、私達が呪術師をやめるわけにはいかない。」だった。
私は自分たちの職業に誇りを持っている両親が好きだったし、尊敬もしていた。だからこそ、呪術師であるという理由で両親が迫害や差別を受けるのがとても悔しかった。
そして、私が18歳になり、一人暮らしを始めバイトをしながら呪術師を始めた頃、ある男と出会った。彼は、世界を変えたくはないかと私に言った。私はこの男の組織にいればまた呪術師が普通に暮らせる世の中がつくれると思った。
そして今、かつて彼が居た場所には彼の側近だった人が居る。
「大丈夫、理想の世界のためだもの。私は間違ってない。」
作者白真 玲珠
第1章→http://kowabana.jp/stories/28057?copy
第2章→http://kowabana.jp/stories/28058?copy
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