短編2
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あの感触

私が小学5年生だった夏の夜のことでした。

 お盆休みも終わりの頃、母の実家に墓参りがてら、家族で帰省していました。

 お祖母ちゃん家の一室に、父、母、私の三人は川の字に並んだ布団の真ん中が私、右手に父、左手に母の並びで眠りにつきました。

 田舎の夜はとても静かで、外から聴こえるのは、コオロギの音だけです。

 虫の音を子守唄に聴きながら眠っていた私は、唐突に意識だけが覚醒し、何故か自分の左腕がスッと上がっていきました。

 ちょうど垂直まで上がりきった途端、私の左手が何かを掴みました。

 脂ぎった人の首のような感触でした。

 グイグイと私に近付こうと迫るソレに、左手一本で抗う私。

 物凄い力でしたが、私も考えられない力で抵抗していました。

 咄嗟に『コレを見てはいけない』と思った私は、固く目を閉じて視界を封じます。

 私は恐怖の中で、亡くなったお祖父ちゃんを思い出し、頭の中でお祖父ちゃんに助けを求めました。

 『お祖父ちゃん……助けて……』

 必死の懇願をしていると、私の右手が拳を握り、物凄いスピードで右フックを繰り出しました。

 拳に髪の毛の「ジャリッ」とした感触が伝わった瞬間、フッと何かは消えました。

 恐る恐る目を開くと、両手は上がったまま、固まっていました。

 そのまま茫然としていた私は、体に違和感を感じます。

 体の腰から爪先までが熱くなっていたのです。

 薄手のタオルケット1枚を腹部に掛けただけだったにもかかわらず、爪先まで熱を持った下半身に、オネショしたかとハッとして触ってみましたが、汗すらかいていませんでした。

 今さっき起こった不可解な現象に怖くなった私は、父にピッタリとくっつき、朝まで震えていたことは、言うまでもありません。

 アレが何だったのか……。

 今でも分かりません。

Concrete
コメント怖い
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