1
夜の夜中にレトロな目覚まし。
心奪うリズムで飛び起きる男、俺。
外ではナナハンボーイズたちのイカしたアイドリング。
俺は眠りの森から完全に抜け出すべく、頭から冷たいシャワーを浴びた。
2
リーダーの俺にたてつく馬鹿はいない。
約束の時間に遅れるのはいつもの事さ、そうだろうベイビー。
翔吾のケツにはスイングトップのレザーがよく似合う、黒髪のハニーが座ってる。
そいつはどこの星から見つけてきたシンデレラだい?やるじゃないかハンサムボーイ。
だけど俺たちが探しているのは「真夏の夜の夢」さ。ヘロー、テディボーイ。
3
俺たちは湾岸の煌めく灯りを頼りに、夜の街道をひた走る。
カストロールと麝香のかほり。
いつかのあの恋を思い出す。
「お前じゃなきゃ駄目なんだ!」
俺は前を走るチェリーボーイの猛のデカいケツに向かってそう叫ぶ。
夢を山ほど抱えて消えたよからぬ噂のお前。俺を置き去りにして、今頃どこでどうしているんだい?
消えない星がないようにいつかは魔法も解ける。明けない夜がないようにいつかは俺も…
ミスター、センチメンタルロンリーボーイとは俺の事さ。
爆発しそうなこの胸。
涙のサマーナイツ。
だけど今日の宴にセンチな気分は似合わない。
疲れた体は重くても、熱い想いで震えてくるのさ廃、墟、探、策。
4
恋とおばけに夢中なナインティーン。
夜の夜中に現れ、二度と帰らないイカれた最低5人組。
ロビン
ショーゴ
ナツミ
カオリ
タケシ
そんな狭いレイディオの中に、俺たちの夢はつめこめないぜ。
ご機嫌な廃校をバックに記念撮影。
割れた窓から落っこちそうに此方を覗く、黒づくめの男。
お前の歪んだ口元が堪らなく寂しそうだぜロンリーボーイ。
ヘイ夏美。
そこに座りこむイカした小学生は誰だい?
ティミーの赤いソックスがイカす。
水玉模様のスカートにおかっぱ頭がクール。
俯く横顔と髪に染み込む鮮血が、堪らなく落ち着かないのさリップスティックブラッド。
頼む嘘だと言ってくれ。
5
ショーゴ。
ヘイ、ショーゴ。
お前の可愛いシンデレラはどこに消えたんだい?
電撃バップで体中が痺れてきそうさハンサムボーイ。頼む嘘だと言ってくれ。
恋の速度はいつでもマッハでカミソリみたいに切られちゃう。
取り憑かれたなんて言わないで、ぶっ飛びたいならスピードアップで逃げだすだけさ。
神様お願い、消えちゃうシンデレラを成仏させておくれ。
神様お願い、廃墟を荒らした俺たちを許しておくれ。
神様お願い、サヨナラも言わずに単車を置き去りに消えた翔吾を返しておくれ。
スリルはもう沢山さ。
心ここにないナイト&デイ。
スリーコードの魔法、不思議の国のキャロル。
嗚呼、ショッポみたいにお前も燃え尽きてしまったのかい。
嗚呼、真夜中の窓を叩くのは、水玉模様のびしょ濡れの小学生。
嗚呼、神様。
嗚呼、今日も眠れない。
嗚呼、神様。
嗚呼、今夜も眠れない。
了
作者ロビンⓂ︎
苦情は受け付けません…ひひ…