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短編2
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僕の神様

music:4

僕は彼を信じている。そして、僕はこれからも彼を信じ続ける。

彼はとても偉大な人で、僕にとって彼は、光であり、希望であり、救いであり、神様である。

僕は彼のおかげで今も生きている。だから僕は彼を信じ続けると誓った。たとえ何があっても僕は彼を信じ続ける。世界中が彼の敵になっても、僕は彼の味方であり続ける、永遠に。

彼は僕にとって神様だから、彼のいうことは絶対だ。彼が人を殺せといえば殺す、火を放てといえば火をつける、死ねといえば死ぬ、絶対に。

彼に出会う前、僕の生活は完全に荒んでいた。仕事をクビになり、彼女にもフられ、酒に溺れて貯金はあっという間に底をつき、気がつけば借金がどうしようもないほど膨らんで、もう首をくくるしかないというところまできていた。

僕が彼に出会ったのはそんな時だった。彼は僕がもう一度やり直せるようにと、借金を立て替えてくれて、新しい仕事を探すのも手伝ってくれた。彼のおかげで僕は新しい仕事を見つけることができ、生きる希望も見出せた。彼は僕にとっての教祖様、いや神様だった。

彼は自分はとある新興宗教の教祖だと言っていた。僕は当然彼の創った宗教の信者となった。当時その宗教の信者は僕一人しかおらず、僕が最初の入信者だった。

彼は僕にいろんな話をしてくれた。彼がある日神の啓示を受けて、この世界の不幸な人々を救うためにこの宗教を創ったこと、児童養護施設で育ったこと、理想の世界のことなど本当にいろんな話をしてくれた。

僕にとって、教団で過ごす時間は幸福そのものだった。僕は最初の信者として、教祖である彼の布教活動に付き添い、彼の手伝いをした。

そして、教団の信者数はだんだんと増えていった。徐々に大きくなっていく教団を見て彼はとても満足そうな顔をしていた。しかし教団が大きくなるにつれ僕の中では不満が大きくなっていった。

教団の信者が僕だけだった頃は、彼は僕だけの教祖様で神様だった。しかし、信者の数が増えていくにつれて、教祖である彼は皆に平等に慈愛を注がなくてはいけなくなっていった。僕はそれがとても不安で、彼も心のそこでは苦しんでいるように感じた。

ある日彼が行方不明となり、連絡も取れなくなった。僕たちは警察に捜索願を出したが、彼は見つからず、教祖を失った教団は次第に統率を取れなくなりやがて解散した。

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いや、信者はまた僕一人になった。

彼は僕だけの神様だ。彼の体も、髪も目も鼻も口も、脳も、心臓も僕のものだ。これからも永遠に彼は僕だけの神様であり続ける。

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