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エニグマ 【A子シリーズ】

中編4
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エニグマ 【A子シリーズ】

大学二年目の春から夏に変わる頃のことでした。

あのA子が、初めてアルバイトを始めるということで、A子と過ごす時間が減り、緩やかな時間を部屋でまったり満喫していました。

A子が何の仕事をしているか、多少は気になっていましたが、特に確かめるような野暮なことはせず、貴重な一人の時間を謳歌していると、携帯が鳴ります。

A子からの着信でした。

いつもならシカトするところですが、何だか気になってしまい、電話に出てみます。

「ちょっ……ガガッ………今す…き………ザザー…たす……ブツンッ!!」

急にブツ切りされた電話は、ノイズがスゴすぎて、ほとんど聞き取れなかったですが、ただならぬことは分かりました。

胸騒ぎが止まらない私は、居ても立ってもいられず、部屋を飛び出しました。

エレベーターを降り、駆け足でエントランスを抜けた私の前に、6歳くらいの女の子がいます。

その女の子の顔を見た瞬間、私は全然知らない子だけれど、何処かで会ったような……そんな不思議な感覚を覚えました。

女の子は私の方に寄って来て、無言で紙を差し出します。

何の気なしにそれを受け取り、紙を開いて見ると、漢字が並んでいました。

 『句旧久休急後』

 『苦楽究及倶宮』

 『園紅給求窮救』

整然と並ぶ漢字を見ても、何のことだか、さっぱり分かりませんでした。

私が顔を上げると、女の子は上目遣いで私を見上げながら言います。

「わたしは、はと。お姉ちゃんはそこにいるの」

「はと?はとって鳥の?」

私が訊くと、自称はとちゃんは、コクンと首を縦に振りました。

「お姉ちゃんは、そこにいるの」

潤んだ瞳で私を見上げる、はとちゃんを可愛いと思いながら、もう一度紙に目を落とします。

漢文なのかな……でも、こんな漢文見たことないよ……。

「ねぇ、はとちゃん」

私が視線を戻すと、そこにはもう、はとちゃんの姿はありませんでした。

「あれっ!?」

私は辺りを見渡しましたが、はとちゃんの姿は何処にもありません。

それよりも一刻も早く、この暗号を解かなければと、漢文に目を戻します。

私は漢字の羅列を、ジッと眺めてみたり、分解してみたり、逆から読んだりしましたが、全く見当もつきません。

私の中に焦りばかりが募っていきます。

落ち着かなきゃ……。

私は自分に言い聞かせ、羅列から一度、離れました。

それにしても、はとちゃんは何者なんだろう。

はと、ハト、鳩……ピジョン?

しばらく考え込んでいたその時、私に文殊菩薩が降りてきました。

ありがとう!文殊!

私は最寄駅に走り、電車に飛び乗りました。

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目的の駅から徒歩一分くらいのその場所に着くと、A子が待っていました。

「遅かったね……どうだった?アタシからのバースデープレゼントは」

は?私、冬生まれなんだけど。

「実はね……アタシ、ここのスタッフのバイトやっててさ。ほら!アンタ、ジジ臭い落語が好きだって言ってたじゃん?」

ジジ臭いは余計だよ。

「今日、ここで笑点の公開放送があるんだよ。でも、ただ呼ぶのはつまんないから暗号で呼び出したって訳よ」

また、めんどくさいことを……。

「まぁでも、アタシが昨日考えた暗号だけあって、アンタが解くのにこんなに時間がかかったんだから、アタシの勝ちだね!」

いや、解いたんだから私の勝ちでしょ?

「確かに解き応えはあったよ。A子が考えた割には……それにしても、あの女の子は誰なの?親戚の子?」

私の問いに、A子が首を傾げます。

「は?女の子って誰よ」

「暗号を持ってきた子だよ。6歳くらいの女の子で……はとちゃんって言ってたけど」

私はA子に話しながら、血の気が引いていくのを感じました。

「知らないよ?そんな子……第一、アタシは暗号をメールで送ったんだから」

ちょっと待ってよ……。

私は携帯を取り出してメールを確認して見ると、A子からのメールが未読の状態でありました。

『title バックで向かえ

本文 「るーほんえくらうこ」』

A子……私のこと、ナメてんの?

私は沸き上がる怒りを抑えながら、あの紙をポケットから出そうとしましたが、何処にもありません。

「あれっ?確かにここに」

あちこちポケットをまさぐる私の腕を掴んで、A子が走り出しました。

「ほら!早くしないと、始まっちゃうよ?小遊三!!」

小遊三師匠はどうでもいいよ。私は歌丸師匠のファンだから。

そのまま、A子の勢いに流されるように会場入りし、大好きな歌丸師匠を肉眼で見れたことは嬉しかったんですが、あの謎の女の子、はとちゃんのことを考えると、ちょっとだけ背筋が寒くなるのは、また別の話です。

Concrete
コメント怖い
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あなたのお名前貸してください企画もとうとう終わりかー!とても面白かったので残念です‪(`:ω;´)‬

でも企画ではないこれからのお話もきっと面白いだろうから!これから読むので楽しみです♪

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雪様

嬉しいことを言ってくれますね。

コラボですか?

どんなのにしましょう。

リレー、キャラ交換、クロスオーバーと、いろいろありますが、どうします?

実話の雪様と創作のわたしのコラボ……。

オラ、わくわくしてきたぞ!

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