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外に投げ出された本坂は体を捻り、体制を立て直す。
本坂「あ〜!?、なんだ貴様は!!イキナリ声張り上げて俺の胸掴みやがって!!頭おかしいんじゃねえの?」
吉田「……お前は俺、が、殺してやる!何が…あっても殺す!!」と、声を押し殺し、震えながらの言葉に本坂は言い返す。
本坂「はは!なんだ、貴様ビビってんのか?よくそんなんでこの俺に挑めたな!なんか知らんが、おれはそう容易く殺されんぞ!名前くらい名乗りやがれ!」
吉田「……、りんかの父親だ!よくも私の娘に酷い事をやってくれたな!!」
本坂「!あー、りんかの父親か!あいつ、バラしやがったな。チッ、めんどくさーな。でもな、お父さんよ、りんかのアソコは良く締まって気持ちいいぜ!直ぐに中にでちゃうんだよ!!あいつは好きモンなんじゃねぇの?結構、自分から腰振ってたぜ!なぁ〜?ははは!」
ブチンッ
吉田の中の何かがキレた。
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千◯流空手で知らぬ者は無し。
鬼の吉田。千◯流総帥からも一目置かれる吉田の技は他を圧倒する。正拳突き、回し蹴り、手刀、掌底。何千回、何万回、何十万回。そして25年の歳月を経て辿り着く境地。同じ動作、型、いなしの中に吉田は見つける。無駄とも思える動作が無駄では無く、「虚」を突く最も近い動きになる事を。
その研ぎ澄まされた感覚の吉田から繰り出される攻撃は最早、避ける、かわすなどの思考をする前に相手に到達する。
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ガッ!!
本坂「ガハッ!」
吉田の左の手刀が本坂の喉に刺さる!喉を押さえ、前屈みになった所に本坂の側頭部へ横から膝蹴りを見舞う。倒れそうになる本坂を吉田が両手で頭を掴み、顔面にまたも膝蹴りを三発喰らわせる!!
本坂の鼻は折れ、鼻血が滝のように出る。前歯と顎は砕け、本坂は気絶して倒れた。そして吉田は倒れた本坂の延髄に正拳突きを打とうとした時に 後ろから掴まれる。
警察「やめろ!死ぬぞ!!」と三人の警察官から取り押さえられ、吉田は力無く地面に叩きつけられる。
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吉田は留置所で夜を明かし、朝から事情聴取を受ける。
居酒屋の店主、りんかなどの供述から昼過ぎには吉田は釈放されるが、本坂に与えた傷は消えない。
本坂は病院で意識を取り戻したが、ムチウチ、顎関節骨折、鼻骨骨折、頭は中度の脳震盪。歯はもちろん総入れ歯にするしかない程の有様。
傷害罪で訴えたいのか、そうでないのかさえ答えられない。本坂は全治5ヶ月。
警察から吉田は言われる。
警察「あなたのやった事は正当では無いのだけは分かって下さい。人を殺める寸前。もう少しで殺人犯になる所でしたよ。
…しかし、本坂という男はいつかはこんな事になると思って居ました。私共も手を焼いていた輩だったんです。自業自得、因果応報とはよく言ったものです。あ、この事はオフレコですよ💦。それに あなたは覚えて居ないかも知れませんが、私も8年前に千◯流空手を習って居ました。あなたにしごかれ、そしてこうして警察官になれた事は感謝しています。どうか、直ぐにとはいかないかも知れませんが 元気を出して下さい。恐らく、本坂は傷害罪を出しませんよ。いや、出せないと言った方が正しいでしょう。」
吉田は自分のやった事は本当に正しかったのか、間違いだったのかを考える為に会社に休暇届を3日出した。りんかも産婦人科に母と行き、事情を産科医に話すして適切な処置をしてもらった。全てが上手く行く筈だった……。
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3週間後の5月25日。吉田が りんかの悲報を聞いたその日はりんかの誕生日だった…。
続く…。
作者マコさん
この話は全てフィクションです。
次回、ラストに!
乞うご期待!