短編2
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子守り

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「きもだめししようぜ」

そう友達に誘われ、乗り気はしないが

「いいよ」

と返事をした

オレを怖がるところを見てバカにするつもりだろう

そう分かっていて断るわけにもいかない

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舞台は川の近くの森だった

スマホのグループ通話機能を使って実況しながら

一人か二人ずつで森を一周するという内容だった

くじ引きでオレは最後になった

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それは二組目だった

はじめははしゃいでいた実況の声が一転した

「なんだ、あれ、、、

shake

やばい、やばい!やばい!!!」

直後、その二人は退会した

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その時はなんだあいつら笑とふざけていて、

三組目、四組目も予定通り出発した

しかし、両組とも異常に動転したあと、

グループから消えてしまった

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戻ってきた一組目と最後の俺の組、四人しかいない。

流石に危機感を覚え、四人できもだめしのコースを探して見ることにした

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先ほどはしゃいでいた時とはうってかわって

森は静まり返り不気味だった。

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ラグビーボールくらいの、汚い布に包まれた何かが視界にはいった

そこにあったのは、幼児の人形だった。

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「目を開けた!」

それを抱き抱えた友達がそう叫ぶと、場は騒然となった

「落ち着けっ!!」

他の友達は必死に場を収めようとしている

そのときだった

友達が、人形を抱いたままある方向を凝視している

「待て!!!」

そう叫ぶと、森の奥へ駆け出してしまった

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かくして残された俺たち三人は、疲れはて一旦宿舎に戻ることにした。

そこで驚くべきことが起こった

宿舎に消えた友達が皆そろっていたのだ

そしてこう言ってきた

「お前らどこ行ってたんだよ。」

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あのきもだめしに参加したのは友達ではなく

「ナニカ」

だったのだろうか。

それはあの人形だったのかもしれない。

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後で分かったことだが、あの森の近くの河原では

昔、多くの罪のない人が処刑された場所らしい

それは政争によって謀叛の罪を着せられ自害した人物の、一族を幼児から女性まで殺す凄惨なものだった。

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その時、子供たちは先に殺され、母親らは子供の亡骸を抱えながら、念仏を唱えて、辞世の句を詠み、

殺されていった。

そのためだろうか、

その付近ではよく読経が聞こえたり、血だらけの幼児が現れるらしい

ただひとつわかることは、その後オレの布団に入っていたあの人形は、あの森で見たものそっくりで、

それを抱えなきゃいけないと感じているオレは、少しずつ人形に精力を吸われている気がする。

いつしか、オレはそれと話しはじめ、そして、

''交代''

した。

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きっと皆もそうなのだろう。

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