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突拍子もない答えに 思わず前に身を乗り出す康夫。
康夫「ココを変えるって、脳を変えるってことですか?」
銀助「そうじゃ。ワシはな、それで第一次大戦で生き残ったんじゃからな。」
銀助は第一次大戦の時に 何処に居てどうやって生き残ったのかを粗方、康夫に話す事になる。
康夫「え?すると銀助さんは出兵されて居たんですか?何処に行って、どんな事をやってどうやって戻って来れたんですか?」と、矢継ぎ早の康夫の質問。銀助はリヤカーを止めてこう答える。
銀助「ちとここら辺で休むとするかの。まぁ、そんなに急かさんと、ゆっくり話そうではないか。その代わりワシも康坊の話を聞かせてもらうぞい?」
ゆっくりと速度を落とし、近くの大きな木の下で止まる。銀助は背負っていた大きなリュックの中から水筒を取り出し、水を飲む。
銀助「康坊も飲みな。」と、水筒から注いでくれた水を頂く康夫。
康夫「プハー!生き返るー!実は家を出る前に準備して居た水筒を忘れて置いて来たんです。ありがとうございます!」
屈託の無い笑顔に 銀助の顔も思わず綻ぶ。
銀助「康坊…水はな、そうなんじゃよ。生きとし生けるもの全てが必要とする物の1つなんじゃよ。
…死んだら、その思いも行為も出来なくなる…。
……この世はな、死んだら 負け なんじゃよ。……」 その言葉を聞いて、康夫は下を俯く。
銀助「まぁ、その話は後にしてワシの話をしてみるかのー。」とリヤカーに腰掛ける銀助。
銀助「あのな、今から話す事は信じても信じなくてもいい。ジジイの戯言と聞いて貰ってもかまわん。でもな、全てが嘘とは思わないで欲しいんじゃよ。その理由は話すうちに 分かると思うからの。」
満天の星空を見上げて胸ポケットから 吸いかけのタバコを取り出しマッチを擦り、潰れかけのタバコの先に火を付ける。
銀助「ふー。あれはな、今のこの満天の星空と同じ夜の日の事じゃった。でも、そこは日本じゃ無いぞ! ドイツじゃよ。
でな、ここで
ちと問題じゃ。康坊は何故、第一次大戦が起きたか、知っとるかな?」
と聞かれ、背筋を伸ばして話す康夫。
康夫「僕の知っている限りでは ハンガリー帝国の皇太子夫妻が他国の人から殺されたのが原因、としか知りません。」
銀助「流石、康坊。よく知っとるな。そうなんじゃよ。そうなんじゃが、そればかりでは無いんじゃよ。ワシは第一次大戦の何年か前にオーストリアにいたんじゃ。知っとると思うが、オーストリアとハンガリーで1つの国じゃったからの。まぁ、そこに行った理由は追って話すがの。」
ふー、とタバコの煙をこの満天の星空に向けて吹きかけ、続けて話し出す。
銀助「でな、食料事情や政治、宗教の関係でオーストリアとその周りの国はいざこざが絶えなかったんじゃ。でもそんな事、ヨーロッパでは当たり前だからのう。大して気にはしとらんだったんじゃよ。
でものう、事はおこったんじゃ。
こんな事はワシにも初めての事での。
「直ちにドイツの〇〇に遠征する事。」
の通達があったんじゃ。さて、どうやって行けばいいかも分からん。オーストリアに来る前に渡された簡略化された地図しか無いんじゃぞ!でもな、行かんとならんのじゃ。どうやってでものう…。」
康夫は真剣な眼差しで瞬きはおろか、息すらしているのか分からないくらいに 銀助を見つめている。
銀助「でもな、それまで培った 感 と、奇跡的に仲間と連絡が取れて共に行ける事になったんじゃ。その時は互いを助けながらドイツまで 何とか行けたんじゃ。ドイツの〇〇まで着くと、我々だけが使う暗号を見つけての、直ぐに集合場所に行ったんじゃよ。
そこで初めて聞かされる…。第一次大戦が始まったと……!
その日の夜、あれは蒸し暑い真夏の夜だった。
オーストリアからの仲間と同部屋になって、これからの事、どうなるのか、何をすべきかを2人で考えて居た時の事。
夜空を見上げるとナントも美しい星空でな、今、この空と同じ満天の星空。ふと今日本はどうなったんだろうかと考えて居たらな…。」
と、銀助が話を一旦止める。
銀助「ところで康坊。今ワシ達は三人の男に囲まれとるの、分かるかな?」と康夫は聞かれて周りを見渡す…、が康夫には何も見えないし、感じない。
康夫「え?足音とか、何も聞こえなかったんですが?」
ガザザッ!
その瞬間、竹林から男達が現れた!!
男A「おー、よく俺たちが分かったな!ジジイ!」と斧を片手に持ったガタイの良い男が言った。
男B「食い物と金を出したら命までは取らん。俺たちは殺すのが専門では無いのでな。」と細身の男は言う。
男Cは黙って見ている…。
この頃は、物取り、山賊などが闊歩していた時代。
康夫は余りにも急な出来事に慌てる。
康夫「銀助さん!ど、どうしましょう?あ、あ、あ、ぼ、ぼ、ぼく、ぼくは、……。」と言葉をならない言葉を連呼する。しかし、銀助は妙に落ち着いている。そして優しく康夫に言葉をかける。
銀助「なぁーに、心配は要らん。こういう時はな、落ち着いて相手を見るんじゃ。そして相手の「頭」が誰か見るんじゃ。」と言うと、銀助は男3人の前にゆっくりと歩み寄る。
キーン…
どこからか、耳鳴りに似た鋭音が康夫の耳に飛び込んできた。
康夫「いて、、耳鳴りが酷過ぎる…。」
銀助「康坊!聞こえるのか?この音が!」と、康夫の方に降り返る銀助の目は金色に光り輝いていた。
男A「気味が悪いジジイだな!死ね!!」と振りかぶった斧が銀助の喉元に迫る!!
続く……。
作者マコさん
何とかここまでは書けました!
次からは康夫の、〇〇とことん編になります!