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中編6
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異酒屋話―嘘―

『なんでもわかるんでしょ?占ってよ~』

《いや、僕の力はそういうことに使うものじゃないんですけど…それに、なんでもはわからないですよ。わかることだけです》

となぜか、眼鏡委員長ちゃんのような台詞を吐いた彼は“怪人アンサー”という都市伝説です。

ちなみに彼の名前は“不知火”

彼に電話をかけ質問に答えてもらうと最後に彼から質問される。それに答えられないと体の一部を引きちぎられる。

その彼に八尺様の小鳥ちゃんは絡み酒をしている。

彼女に煽られ飲まされまくってる。

《迷惑な話ですよ~、携帯の普及が進んで毎日電話かかってくるんですから!寝る間もなくて毎日ひっどいくまができてぇ!質問の内容はお悩み相談からなんじゃそら!って質問まで!

<好きな人と結ばれますか?>

知らねぇよ!!!努力次第だよ!

僕に電話する暇あるならその子に電話しろよ!

<地球はいつ滅びますか?>

知らねぇよ!!!人間の努力次第だよ!

僕に電話するならエコのために電力大切にしろよ!

<カボチャが嫌いなんですけど、どうしたら好きになれますか?>

知らねぇよ!!!カボチャのプリンでも作ってもらってよ!レシピ教えようか?!

めんどくさくてこっちからの質問なんかねぇよ!

人間の体の一部なんていらないわ!!

引きちぎるってなによ!グロいわ!血とか僕ダメなんですけどー!!!》

そうとう酔いが回ってしまっている。

~♪~♪~♪~

そんな彼の携帯が鳴る。

『ほら~かかってきたよ~』

小鳥ちゃんはけらけら笑ってる

《なんだよ~。…“はい、怪人アンサーです。質問は?”“魔法使いになる方法?あなたが貞操を守っていたらそのうちなれます!”》

ぶちっ

『あーひゃっひゃっひゃっ!』

小鳥ちゃんの笑いが頂点に達してしまった。

けど、私ももう我慢できない

「あはっはっはっ!」

《笑うなー!》

今日も私のお店はこんな調子です。

――――――――――――――――――――

『春~ビールとスナズリ、鶏皮ね!』

お店に入るなり開口一番この台詞

小鳥ちゃんのいつものセットです。

『お~不知火、今日は早いのね~』

《小鳥さんと花火ちゃんこんばんわです》

小鳥ちゃんの大き…影に隠れて見えませんでしたが花火ちゃんもいました。

【こんばんわ不知火くん】

『なんで私には<さん>で花火には<ちゃん>なのよ?私の方が花火より年下なんだけど』

《小鳥さんは<ちゃん>って感じじゃないんで。逆に花火ちゃんは<さん>ってより<ちゃん>なんで、見た目的に》

『差別だわ。見た目差別だわ。身長差別だわ。』

【だとうだわ。見た目判断だとうだわ。身長判断だとうだわ。】

なんてやりとりを繰り広げてます。

そんな不知火くん、今日はいつもと違って携帯を眺めてる。

「携帯なんて眺めてどうかしたの?」

《昨日のことなんですけど、随分と久しぶりに困った質問が来ましてね。ルール違反をしちゃいました。》

彼はあっけらかんと笑っているが、

「困るって、不知火君がわからないこととか答えに困ることがあるの?」

《もちろんありますよ。確定してないものはわかりません。例えば、人間の寿命です。

もし、春さんが“明日車に轢かれて死にます。”って言われたらどうします?》

「ん~、家から出ないかな?」

《ですよね。だとしたらどうなるか?“車に轢かれない”ってなります。

“トラックが家に突っ込んでくるかもしれないじゃん”

なんてひねくれたこと言う人がいるかもしれませんがそうじゃありません。

“車に轢かれる明日”が丸々無くなるのです。

“病気で亡くなります”って場合なら“健康診断をしっかり受ける”でしょう。

そうしたら、“病死”という未来が丸々無くなります。

人間の未来は変わるんです。

変わりゆく未来、パラレルワールドと呼ばれる全てを把握するなんて神様じゃなきゃできませんよ。

わかることは、確定してることです。

“ある人はすでに死んでいる”

“ある人は今結婚している”

“生まれてくる赤ちゃんは男の子です”みたいなね。

便利だけど万能じゃない。痒いとこには手が届かないんですよ。

僕はあくまでただの都市伝説、ただの怪異なんですよ。》

「なるほどねぇ、それで困った質問って?」

《それは、<お母さんは何処にいますか?>って質問だったんです。》

「それって<確定していること>でしょ?」

《えぇ、答えはわかっています。<亡くなっている>が答えなんですよ。》

「あぁ…」

不知火くんは性質上私たちより人間と多く関わり、様々な人間を視る。

私たちより人間に感情移入してしまう。

人を畏れさせる私たちみたいな存在には向かない面…どこか人間臭さとでもいうのか、そういうのを持っている。

――――――――――――――――――――

電話の主は養護施設で暮らす女の子。

父親を早くに亡くし、半ばネグレクト状態の母と暮らしていたが男ができ養護施設へ捨てられるように預けられていた。

自分を捨てた女でもこの子にとってはかけがえのない母親。

ネグレクトにあっていても優しくしてもらった記憶が大きく、母への想いを捨てられない。

そんなことを聞いたことがある。

人間というのは奇妙なものだ…

母親に会いたい。その一心で友人に手伝ってもらい電話をかけてきていたのだ。

<お母さんは何処にいますか?>

そのとき、僕は答えられなかった。

真実を伝えるにはこの子は幼い。

真実を知ったら絶望してしまうかもしれない。

他の方でしたら

あなたのお母さんは亡くなってこの世にいません。

って簡単に口にするでしょう、

だけど、僕は…

記憶が甦る。

[アンサーさん。人間ってのは時として、嘘をついてほしいとき、嘘をつかれたほうがいいとき。

つまり、“嘘が必要なとき”というのがあるの。

貴方のようなモノにとって“嘘をつくことが難しい”というのはわかるよ。

でも、人間ってのはそういうもなの。めんどくさいでしょ]

貴女はそう言ってましたね…。

あのときはよく理解できなかった。

だけど、今なら少しわかります。

たぶんこの子は今“嘘が必要なとき”なんですよね…?

《あなたのお母さんは○○○という国にいます。》

〈どこだろう…その国…。でも、お母さんは生きてるんだ…!ありがとうアンサーさん!〉

《…どういたしまして。》

電話はそこで終わった。

いつか、この嘘はバレるかもしれない。

だけど、そのときこの子は成長していて

“所詮は都市伝説。偶然繋がった相手が気を遣ってくれたのかな”

とでも思ってくれればそれでいい。

今、この子が嘘を信じてくれればそれでいいんだ。

――――――――――――――――――――

その後、

“怪人アンサー”としては御法度である“嘘の答え”を教えた不知火くんには罰が下され、左耳の聴力を失った。

怪人アンサーは質問への解答が間違っていたら体の一部を奪う、

怪人アンサーが偽りの解答を行ったのなら、逆に失うことになるのだ

次、同じことをすれば右耳が…そうなると彼の存在は消える。質問が聞こえないとなれば質問に答えられない。…彼の存在意義が無くなるからだ。

けど、彼は

《僕が考えて出した“答え”ですから、後悔なんてしてませんよ。》

そう言いグラスに残っていたお酒を一気に飲み干した。

~♪~♪~♪~

《はい、怪人アンサー…質問は?》

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月舟様
お読みいただきありがとうございます!
都市伝説の勉強からはじめないといけません笑
次作も書いておりますのでよろしくお願いいたします!

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吉井様
お読みいただきありがとうございます!
怖い
とは少々違いますが、怖い話も書けたらと思ってます

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mami様
お読みいただきありがとうございます!
私は話の“最後、締め”が最初に思い付くんですけど
メリーさんはまだそれすらフワッとした形しか思い浮かんでないんですよ~
今回の話はすぐに全体が思い浮かんだんですけどね(-_-;)
難しいものですね笑

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修行者サブアカ様
お読みいただきありがとうございます!
それは難題ですなぁ笑
でも、学校の七不思議系いいですね~!
また書かせてもらいますのでよろしくお願いいたします!

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