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長編9
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神々〜爆〜

紫水さん、葵さんと離れ、一人旅に出た僕。

宿近くの神社で怪異と遭遇し、危うく命を失いかける。

そんな僕の窮地を救ってくれた一人の男性。

怪異に対して凄まじいばかりの怒りを抱く男性に、僕は畏れを抱くと同時に何処か惹かれていく。

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僕は命を救ってくれた男性に宿を紹介し、お礼を兼ねて夕食のお誘いをした。

男性は少し考えた後「あぁ…」と返事をした。

宿近くの店へ入り、席に着き各々、注文を済ませる。

僕は料理を注文する男性をそっと見つめ、考えていた。

この人…。

紫水さん達の様に、特別な力を持っている。

あの女性と対峙した時のあの張り詰めた感覚…。

それにあの威圧感…。

恐らく相当な実力の持ち主だろう。

男性「なんだ?

俺の顔に何か付いてるのか?」

僕がボ〜っと男性を眺めている間に男性も僕を眺めていた。

僕「い、いや。

すいません!」

男性「すいませんってなんだよ?

何かわりぃ事でもしたのかよ?(笑)」

僕「い、いや。

そういう事じゃ…。」

男性「ははっ(笑)

お前本当におもしれぇよな。

カイだっけ?

変わってるよお前(笑)」

そう言って男性は笑っている。

今、僕の目の前にいるこの男性からは、とても優しい感じがする。

まだ知り合ったばっかりだが、この人はとても優しくて好い人だ。と僕は感じていた。

男性「で?

カイはこんな所で一人で何やってんだ?

一人旅か?」

僕「まぁ…。

ちょっと色々ありまして…。」

男性「なんだそれ?(笑)

まぁ話したくねぇんなら無理には聞かねぇよ。」

僕「そっちこそこんな所で何を?

旅行ですか?」

僕が問いかけると、男性の表情が少し曇った気がした。

男性「俺か?

俺は…死ぬ場所を探してんだ。」

?!

死ぬ場所??

死ぬ?

自殺?!

僕「ちょ、ちょっと!

自殺なんて駄目ですよ!

何を考えてるんですか!」

興奮して、声が大きくなる僕。

男性「おいおい…。

声がでけぇよ…。

おかしいヤツだと思われんだろ?」

僕「す、すいません…。

でも、いきなり死ぬ場所を探してるなんて言うから。」

僕がそこまで話した時、注文していた料理が運ばれて来た。

僕「うわぁ―!

これ見て下さいよ!

もの凄く大きくて、チ―ズがトロっとして!

やっぱりハンバーグはいいですよねぇ(笑)」

男性「ハンバーグ…。」

僕「え?

何か言いました?」

男性が呟いた言葉が聞き取れず、大好きなハンバーグを口いっぱいに頬張りながら聞き返す僕。

男性「ったくよ…。

てめぇはガキか!

ほんっとに…旨そうに食いやがって…。」

そう言った男性の表情はとても優しかったが、同時に深い哀しみを抱いている様にも感じた。

男性「さっき死ぬ場所を探してるって言ったろ?

あれは本当だ。

別に死にてぇ訳じゃねぇけどな。

死ななきゃならねぇんだよ…俺は。」

僕「言っている意味が全く分かりません!

死にたく無いのに死ななきゃならないなんて!

そんなの僕は認めません!」

男性「はぁ?

何でてめぇに認めて貰う必要があんだよ?

本当に意味の分からねぇヤツだな…。

でも、やっぱりカイ。

お前はおもしれぇよ(笑)」

僕「もし本当に貴方が死ぬと言うのなら、その前に二人で何処かへ行きませんか?」

男性「はぁ?

なんでてめぇと俺が?」

僕「まぁまぁ(笑)

誰か死ぬ前に会いたい人とかいないんですか?

お世話になった人とか?

死ぬのはそれからでも遅くは無いでしょ?」

男性「会いたいヤツにはもう会えねぇ…。

世話になったヤツは一人いるが会いたくねぇ。」

僕「いるんですね?

じゃあどちらでもいいですから会いに行きましょう!

会いにくいなら、僕が間に入りますから任せて下さい!(笑)」

男性「ったく…。

面倒くせぇヤツ…。」

僕は、男性の自殺を止める為、半ば強引に話を進めて行った。

次の日、宿をチェックアウトし、男性が会いたく無い。と行った人物の元へ向かう事になった。

なんだかんだ言って、僕の言う事を聞き入れてくれたので、僕は少し安心していた。

道中、男性と他愛ない話で意外と盛り上がり、気付けば目的地はもう目前だと言う。

そこは見慣れた漁師町。

あれ?

此処ってサクラさんの…?

?!

その時、僕の横を歩いていた男性が肩を抑え、その場にうずくまった。

此処へ来るまでの道中でも、何度か男性は肩を抑えうずくまっている。

だが、心配する僕を他所に男性は「大丈夫」と「近寄るな」この二つしか言わない。

僕「本当に大丈夫ですか?

肩を怪我してるんなら病院にでも…。」

男性「病院?

病院に行って治りゃとっくに言ってるよ(笑)

もう大分、進んでやがる…。

手遅れなんだよ…俺は…。

早く自分に始末つけねぇと…。」

僕はこの男性の言っている事が理解出来なかったが、余程の事情がある事だけは分かった。

男性の容態が安定したので、再び歩き出す二人。

暫く歩き、目の前に出て来た建物。

「漬け物屋 サクラ」

僕「え?え?

ここにお世話になった人がいるんですか?!

それって…」

トメ「やかましいの?誰じゃ?」

僕の声に反応し、店からサクラさんが出てきた。

トメ「なんじゃ?

カイ?お前こんな所で何しとる?

?!

た、匠?

匠まで一緒とは…。」

僕「え"ぇ〜?!

こ、この人がた、匠さんなんですか?!」

トメ「なんじゃ?お前?

知らんと一緒におったのか?

つくづく変わったヤツじゃのぅ。」

僕はこの時になって初めて目の前の男性が、僕達が探している術者だと気付かされた。

匠「ん?

カイ?お前バアサンを知ってんのか?

どういう事だ?

さっぱり分からねぇよ。」

トメ「まぁ、とりあえず中へ入れ。」

サクラさんにそう言われ僕達は家へと入って行った。

僕達が部屋へ入り、座るとすぐにサクラさんが話始めた。

トメ「匠…。

お前もう症状が出とるじゃろ?」

匠「症状?

何の話だよ?」

トメ「たわけ!

隠しても分かるわ!

もう自分でも気付いておるんじゃろ?

手遅れじゃと…。」

そう話すサクラさんの表情がとても哀しそうだ。

匠「ったくよ…。

だから此処には来たく無かったんだよ!

あぁ!

もう完全に手遅れだよ!

もう時期、俺は化け物だ!」

トメ「そうか…。

匠?

覚悟は出来とるな?」

サクラさんの表情が変わった。

匠「あぁ…。

その積もりで此処まで来たんだよ。」

トメ「そうか…。

ならすぐに始めるかの…。」

そう言って二人は立ち上がる。

僕「二人共、何処へ?」

トメ「カイよ。

お主はここで待っておれ。

ええな?」

僕「いえ!

何が何だか良く分かりませんが僕も行きます!

もう置いていかれるのは懲り懲りですから!」

トメ「……。

カイ。

お主、匠が死ぬ所が見たいのかえ?」

僕「し、死ぬ?

もしかして今から匠さん…を?」

匠「あぁ…。

お前の想像通りだよ。」

僕「そんな!

まだ紫水さん達にも会っていないじゃないですか!」

匠「紫水?

紫水ってあの紫水か?

そうか(笑)

カイ。お前の仲間があの紫水だとはな(笑)

やっぱりおもしれぇよお前は。」

トメ「もう手遅れなんじゃよ…。

いくら紫水や葵が力を尽くした所でどうにもなりゃせん。

逆に二人共、返り討ちにおうてしまうわ。」

匠「おいおい。

葵ってのは呪術師、葵の事か?

紫水と言い、葵と言い、そんなヤツらと仲間だってのか?

このカイが?」

トメ「そうじゃ。

こやつらは匠…お前の暴走を止める為に此処へきよった。」

匠「そうだったんかよ…。

カイ。

わりぃ。

俺にはもう時間がねぇんだ。

その二人にはお前から宜しく言っといてくれ。」

そういうと二人は裏山へ向かって行った。

一人残された僕。

匠さんが死ぬ…。

サクラさんが匠さんを手にかける…。

そんな事が…そんな事があっていい筈無い!!

僕は立ち上がり、二人の後を追いかけた。

山の中腹。

もうすぐあの池が見える位置まで来た時、声が聞こえた。

トメ「匠!!いかん!!

匠!しっかりするんじゃ!」

?!

匠さんの身に何かが起こっている!

僕は急いで二人の元へ向かう。

池のある開けた場所に着いた僕。

池の淵にうずくまる匠さんとその傍らで必死に呼びかけるサクラさん。

トメ「いかん!いかんぞ!匠!

しっかりするんじゃ!」

匠「ば…バアサン…

俺から離れ…ろ」

僕は二人の元へ駆け寄ろうとしたが足が動かない。

体が近付く事を拒絶している?

僕の体が本能で近付く事に危険を感じていた。

池の淵にうずくまる匠さん。

その周りが淀んでいる。

目に見える訳じゃないが、黒い空気が匠さんを包んでいる様に感じた。

トメ「カイ?!

来るなと行ったじゃろうが!

はよぉ逃げぇ!

コレはもう匠ではない!」

匠さんじゃない?

サクラさんはそういうと匠さんから距離をとり、池の水に手を浸した。

トメ「何しとる!

カイ!はよぉ…」

バサバサバサバサバサ!

それまで風など全く吹いていなかった山中に突然、突風が吹き荒れ木々を揺らす。

僕は相変わらずそこから動けない。

匠さんとサクラさんをただ交互に見る事しか出来なかった。

池に手を浸したサクラさんから匠さんに視線を写した時、恐らくもう、匠さんでは無くなったであろうモノがそこに立っていた。

容姿は間違いない無く、匠さん…。

だが、その目は何処までも深い闇の様な黒一色に染まっていた。

何より匠さんが纏う空気…。

余りにも禍々しく、とても人の物とは思えなかった。

トメ「匠!許せ!」

不意の叫び声に体がビクッとなる僕。

見ればサクラさんが全身に池の水を浴び、印をむすんでいる。

匠さんは微動だにしない。

再びサクラさんに目を写した僕は驚愕した。

印を結ぶサクラさんの後ろにはっきり見えた…。

鎧を着た武者の様なモノの姿が…。

こ、これがサクラさんが体に宿している神という存在…。

その武者の様なモノはサクラさんの動きに合わせる様に印を結んでいる。

パァ―ン!!

印を結び終わったサクラさんが手を打った。

それと同時に武者の目が赤く光る。

僕は目の前の光景に動く事はおろか言葉すら出ない。

サクラさんは、打った手を前に突き出すと「匠!!」と叫ぶ。

その目からは涙が流れていた。

サクラさんの突き出した手を合図に、後ろの武者が光に姿を変え、一気に匠さんの元へ飛んで行った。

その形はまるで光の槍の様で、一瞬で匠さんの体を貫いた。

ピカッ!

辺りを眩い光が包んだ。

あぁ…匠さんが…。

目の前にいて、僕には何も出来なかった…。

僕は匠さんを助ける事が出来なかった自分の無力さを悔やみ、その場に座り込んだ。

紫水さん…。

葵さん…。

僕は項垂れ、ただ二人の名前を呼んでいた。

トメ「な、なんじゃと!!!」

突然サクラさんの叫び声。

僕は顔を上げ前を見る。

?!

そこにはさっきと変わらない体制のまま佇む匠さんの姿が。

トメ「ばかな!

アタシの全身全霊の術じゃぞ!

何故、平然と立っておれる!

?!

貴様!

匠の宿しとった神を喰らいよったかぁ!

な…なんという事じゃ…。

ここまでじゃ…もうどうにも出来ん…。」

その場にへたり込むサクラさん。

と、それまで全く動かなかった匠さんがゆっくりとサクラさんに向かって歩き出した。

さ、サクラさんが危ない!

僕は体に力を入れ精一杯叫んだ。

僕「匠さん!

止めて下さい!

匠さん!

匠さん!!」

必死に叫ぶ僕には目も暮れず、匠さんはサクラさんの元へ歩いて行く。

そしてその手がサクラさんの頭上に翳された時。

トメ「ぎぃああ―!」

サクラさんが悲鳴を上げた。

だが、匠さんは何もしていない。

ただ、サクラさんの頭上に手を翳しただけ。

それでもサクラさんの苦しみようは尋常では無かった。

目は見開かれ、地面を転がり回り、爪が剥がれる程に土を引っ掻いている。

さ、サクラさんが…サクラさんが…。

だが、僕には何も出来ない…。

そして遂に匠さんがサクラさんの首に手をかけた。

「闇に堕ちちまえよ?

てめえ。」

Concrete
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むぅ様。

そのコメントはどう捉えたら?(笑)
否定?肯定?
分かりません!(笑)

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珍味様。

ハンバーグ分かって頂けました?(笑)
良かったぁ〜。
ただカイの好物。と捉えられたらどうしようかと…(笑)

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セレ―ノ様。

体調を崩されてたのですか?!Σ(゜Д゜)
病み上がりにこんな作品読んだらあきませんて!
変な熱出ますよ!(笑)

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