実際の体験談である。
子供の頃から、目が悪かった。単純に、ゲームのやりすぎとか暗いところで本読むとか、視力に良くないことの積み重ね。後は、きっと、目をこすりすぎたのだと思う。
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子供のころから、目を触るのが癖だった。
それは、目をこするとうにょうにょするものが見えるからだ。他の人はどうか知らないけど、目をこすると、うにょうにょするものが見える。
透明なゴミじゃなくて、色がある。赤色、青色、黄色、緑色。それが、紫色になったりする。
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それが収束して、中央でドーナツみたいな光になって、解れて消える。
それを見るのが好きで、目をよく擦っていた。
そういう風に、過ごしていたら、ふとある時。
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視界の端っこに、人みたいなのが立ってる気がした。
最初は気のせいだと思って、特に気にせずに過ごしていた。
でも、気のせいじゃなくて、常に、視界の端っこに何かいる気配がするようになった。
その人に視線をやるように目を動かすと、徐々にその人が動いてきて、徐々に大きくなって近づいてくるようになった。
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その時点で怖くなって視線を外すと、居なくなるけど、直ぐにまた人の形ができる。
目を閉じて、じっと耐えても、目を開くと、はしっこにいる。瞬きすると、消えるけど、目を開いてじっと睨むようにすると、徐々に大きくなって、近づいてくる。
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怖くて怖くて溜まらなかった。
だから、人の形を見たくなくて、目をこすってうにょうにょを出した。
うにょうにょが、目の奥で光って収束して紫色になって消えていく。
子供ながら気を紛らわせることで、精神的な負荷を抑えようとでもしたのだろう。
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結果、色々目がおかしくなった。
天井の模様が人の顔に見えるというのは、良くある話。
それが実際、人の顔に見えるようになった。それから、身体の感覚が徐々に変わっていく。
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眼を閉じた時、視界に光った粒ようなものが見えたら、体中に無数の虫がはい回るような感覚に陥った。痒みが止まらなくて、夜にすっきりと眠れないようになった。
天井から、たくさんのネズミの大群が迫ってきたり、糸を伝うように無数の蜘蛛が落ちてきたり、小型犬くらいの大きさの芋虫がそこら中にはい回っていたり。
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そんな変なものが見えるということを、誰にも話すことはできず、子供の頃を過ごした。
目は擦らない方が良いですよ。
作者m/s