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短編2
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おいしいお肉屋さん

とある町にある、小さなお肉屋さん。

普段はありふれた肉屋だが、数年に一度だけ、特別な商品が店頭に並ぶということで有名な店だ。

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その商品とは、超高級レバーだ。

100グラム10万円と非常に高価な代物だが、食べたことのある人によれば、とてつもなく美味だという。

その美味しさは「世界中のどんな肉…いいや、どんな食べ物よりも美味であること間違いない」と、讃えられるほどだ。

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噂を聞きつけた世界中の美食家たちが、数年越しの予約を入れていて、庶民の口に届くことは、まずない。

そんなレバーが数年振りに発売されることになり、町はにわかに色めき立った。

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発売日当日、店の前には、世界各国の美食家や遣いの者たちが長蛇の列をなした。

大勢のマスコミも駆けつけ、野次馬たちとともに、店を取り囲んだ。

騒然とした雰囲気の中、いよいよ迎えた開店時間。

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開店と同時に、店内に行列が雪崩れ込むと、客たちは札束と引き換えに、超高級レバーを手にしていった。

念願のレバーを手にした客の中には、雄叫びをあげるものもいた。

野次馬たちも、噂に聞くレバーを一目見ようと、人垣から身を乗り出し、必死だ。

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その時、遠くから猛烈なエンジン音が…。

店の周りにいた人たちが、その音のする方に目を向けた瞬間にはもう、爆音は目前に迫っていた。

暴走車だ!

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ブレーキとアクセルを踏み間違えた乗用車が、ノーブレーキのまま、人だかりに突っ込み、次々に人々を撥ね飛ばしていく。

そして、猛烈なスピードのまま、肉屋の店頭に突っ込み、ようやく停止した。

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不運な事故であったが、そこに居合わせたマスコミのカメラは、スクープとばかりに、現場の惨状を映し出していく。

多くの負傷者が映し出されていく中、客や野次馬とは違う格好をした負傷者にカメラマンが注目し、カメラを近づけていく。

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白衣のようなものを着ている。

肉屋の店主の妻だ。

暴走車が店頭に突っ込んだ際、なにかの拍子で、店の前の路上に弾き飛ばされたらしい。

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衝突のショックのせいか、すでに息をしていない様子だが、そこでカメラは衝撃の光景を映し出すこととなった。

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はだけた白衣の隙間、妻の脇腹に、手術痕のようなものが見え隠れしている。

縫い合わせていた糸は、事故の衝撃で千切れ、傷口がポッカリと大きな穴になっている。

その穴から見えていたのは…。

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半分ほどに切り取られた、肝臓だった。

Concrete
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相変わらず、コツコツと過去作品を再校正しながら投稿中であります。
過去作品の投稿を完了するまで、新作を書かないという課題を、自分に科しております。
これも大したことない作品なので、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

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