短編2
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夏服の少女

数年前の話です。

高校で教師をしていた僕は、その日は校内の見回り当番でした。

3階の第一音楽室、合唱部の部室の前を通った時です。

完全下校時刻は過ぎているのに、生徒が残っていました。

半袖のブラウスに紺のチェックのプリーツスカート。合唱部の生徒でしょうか。

「完全下校過ぎてるぞー。早く帰れよー」

部長でしょうか。声だけかけて後でもう一度見に来ようとその時は思いました。

再度見に来た時、生徒はいませんでした。

帰ったんだろうと、職員室に戻ってから気づきました。

合唱部にあのような生徒はいません。

それに、今は11月です。

なのになぜ夏服を着ていたのでしょうか。

気がついてしまうと怖くなってきました。

早く仕事を終わらせて帰ろう。

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バチン

窓の鍵を勢いよく開けるような音がしました。

僕の机は一番端なのですが、その丁度真反対から聞こえてきました。

バチン

バチン

バチン

どんどん近づいてきます。

shake

バチン!

電気が消えました。

separator

「………何だったんだ?」

しばらくして、何も無いことを確認すると電気を付けるために立ち上がりました。

電気を付け、窓の鍵を見てみましたが開いてませんでした。

「本当に何だったんだ…」

その後、すぐに仕事を片付けて帰ることにしました。

校舎は新しいとはいえ、100年以上の歴史があるから元生徒の幽霊くらい出るよな。制服も変わってないしな。と、自分に言い聞かせながら玄関に向かいました。

靴を履き替えて玄関の鍵をしめ、校門も閉めた時、なんとなく第一音楽室の方を見ました。

夏服の生徒が笑っていました。

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学校ただでさえ怖いのに!
鍵を開けるような音っていうのがすごくリアルで、何気無い動作の大人のに非常に怖さを増し増しにしてくる

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