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長編13
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【夏の夜の残像】

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午後9時

左手は金魚の入った袋を持って、右手は親父と手を繋いで一緒に歩く夜道

街は蛍光灯や建物から出る光で明るい

そして、その真上には月が堂々と、まるで自分のもののように光を映し出している

夏の夜風は昼間の太陽と違ってえらく涼しく心地よい

親父の手は遥かに大きく温かい

こんな日々がずっと続くと思っていた

横断歩道

信号が青に点滅したのを確認し俺は大きく一歩踏み出した

その時、月明かりとも街灯とも違った強い光に包まれた

俺は一瞬にして生の終わり悟った

だが次の瞬間俺は地面に座っていた

-無傷で

目の前には広がる真っ赤な水たまりが見えた

俺はその時それがなんだかわからなかった

だが、それを見た時ふと右手に握った手を掴んだ

だがその右手は先ほどとはうって変わって

冷たくなっていた

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10年後

俺は親父の存在を忘れていた

そして、人の温もりを感じられなくなっていた

人の手に触れるとその瞬間、あの光景がフラッシュバックし、耐えきれない吐き気に襲われる

母はそんな俺を思って、事故後 父親の写真を家から一切消した

仏壇にも写真はおろか名前すらない

一度母親に父親について聞いたことがあった

「あんたが産まれる前に借金踏み倒してどっかに行ったよ!」

と怒鳴られた記憶がある

だがその晩、母親の泣いていたのは気のせいではないだろう

そんなふうに俺は成長し、今年で17になった

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丘の上の神社

後ろは森に囲まれてるが、展望台からは街を眼下に見下ろせるくらいの高台にある

母親と毎年お参りに来るこの神社に俺はよく気晴らしに訪れていた

ここに来ると妙に落ち着き、心穏やかになる

そして、ここにはめったに人がこない

そのはずなのに1人でいる気がしない

普通なら気味が悪い話だが、人と触れ合うことができず、いつも独りの俺にはとても心地よかった

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真夏日、

蝉が鳴き声が暑さを誇張する

俺はいつも通り気晴らしに神社に来た

すると、俺は信じられないものを見た

人面犬だ

10mくらい先、しかも一瞬で遠目からだったのだが、体は犬で顔は3、40代のオッさんだった

俺はすぐさま人面犬を追った

俺を動かしたのは好奇心や探究心と言った感情ではなく、心の奥底に眠る熱い衝動だった

1時間くらい探し回った

しかし犬はいっこうに見つからなかった

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なので俺は展望台で休むことにした

展望台は風がよく吹くため涼しく、休憩するには最適だった

展望台に着くと、探し求めていたあの人面犬の後ろ姿がそこにはあった

すぐに駆け寄るとその顔は普通の犬だった

しかも柴犬

俺は「そんな現実離れしたことはないか」と思いながらその場に座りこんだ

そして俺は無意識に犬を撫でた

人の温もりを感じられない俺にとって動物という存在は常に癒しであった

そのはずだったのだが、驚いたことにその犬にはなんとも懐かしいような人の温もりを感じた

犬は、「くぅん」と鳴きながらすり寄ってきた

俺はなされるがままに犬を撫で続けた

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気づけば夕暮れ時になっていた

街と空の境界線に赤い光の球が落ちていく

目の前が真っ赤になるこの光景が嫌いだった

だがこの犬といるとそれもどうでもよくなってただ綺麗に感じた

腹が鳴って我に帰った俺は立ち上がり帰ろうとした

すると犬はさも当然のように着いてきた

「おい」

犬が「なんだ?」というような顔で見返してくる

「いや、こっちが聞きたいよ!」

犬は甘えるように俺の足に顔をすりつける

「ああああああ」

俺は頭を描きむしり、犬を見て言った

「無理だったら諦めろよ!」

犬は嬉しそうに「ワン!」と一声吠えた

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日が完全に暮れた頃、俺たちは家に着いた

俺は母を呼ぶためインターホンを押した

「はーい」

その声とともに母が出て来た

「あ、剣哉おかえ、、」

母は犬を見て言葉を失った

(ちなみに剣哉は俺の名前だ。苗字は後藤)

「着いて来た」

「いや!着いて来たじゃないでしょ!」

「うち一軒家だから大丈夫でしょ」

「そういう問題じゃなくて、、」

母は頭を掻きむしった

すると犬が「ワンっ!」と声高らかに吠え、母を見つめた

母もそれに負けじと犬を睨みつけた

数秒後(実際には数分間に感じられた)

母が根負けしたように

「仕方ないわね、いいわよ」

と言った

犬が今度は嬉しそうに「ワンっ!」と鳴き、母にすり寄った

俺はボソッと

「この犬、ただもんじゃねぇな、、」

と呟いた

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その後犬は、まるで最初から自分のいえだったかのように庭に行きふんぞりかえった

俺はそれを見て

「やっぱりただもんじゃねぇよなぁ、、」

とつぶやきながら首を傾げた

すると母に小突かれた

「犬でしょ」

今度は聞こえてたらしい

「で、名前はどうすんの?」

「あー」

全く考えてなかった

最悪、犬という名前でもいいかと思ったが、それは母と犬に睨まれ断念した

(あーこいつ最初見たとき人面犬だったからそっからとろうかな?人面犬、人面犬、じんめんけん、、無理だ!!ああああ!!もうわかんねぇ!!!、、、、、)

と長時間悩んだすえ、、

「けん、、俺の名前からとって「剣」は?」

母が一瞬何か言いそうになった

だがすぐさま切り替えて

「いいんじゃない?あんたが決めた名前なんだから」

と言って肯定してくれた

犬、、ケンは嬉しそうにすり寄って来てくれた

こうして俺とケンと母の3人の生活がスタートした

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剣はやはりただものではない

そこらの犬とは比べものにならないほど頭がいいのだ

お手、おすわりの命令はもちろん、◯◯とってこいと命令すると教えてもいないのにそれをとってくる

他にも、雨が降った瞬間、俺らを呼んで洗濯物を取ることをうながしてくれた

一番驚いたのが、母が通帳を無くしたときに誰よりも早く見つけてくれた

このとき、俺と母は二人で剣を崇めた

だが一緒に過ごすにつれて、剣が人面犬ではないかという疑問はどんどん大きくなっていった

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こんな俺でも部活はしている

剣道だ

肌が触れることがないので心配はないし、個人競技と言うのが性に合っていた

この間、その大会で惨敗しベランダで悔し泣きをしていると剣がすり寄ってきて涙を舐めてきた

当然剣に構っている余裕などなく、ほっといてくれと言うように俺はそっぽを向いた

すると剣は、俺の隣に伏せて温もりを感じさせて俺をなぐさめてくれた

その時、犬ではなく人が隣にいるように感じた

俺は出し切れないほどの涙をボロボロと流した

俺は泣きながら

「次は絶対勝つ!!」

と言うと剣が笑顔を向けてきた

その顔は神社で見たあの人面だったのだが俺は奇妙に感じず、それどころか胸とても熱いものを感じた

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他にも、ある日家に帰ると

母が剣と一緒にベランダにいた

剣は母の足に寄り添って座り、母は穏やかな表情で剣を撫でていた

一匹と一人は、ペットと飼い主という関係だがそれを全く感じさせずに、長い月日を共に過ごした夫婦のように見えた

俺はその光景を見て、とても懐かしい気持ちになり、その場に立ち尽くした

そんな俺に母は気づき

「おかえり、剣哉」

その顔は今まで見たことがない、いや長い間見ていない母の顔だった

「ただいま、母さん。剣。」

剣が「おかえり」とでも言うように一声吠えた

「ワンっ」

母が照れ臭そうに数分前のことを話してくれた

「いつも通り、家に帰って夕飯の支度をしていたらね、目の端に映った剣がおt、、」

母は口をつぐんだ

だがすぐに話を続けた

「人面犬に見えたの。おかしな話でしょ。

それですぐに剣のとこに行ったら、どうしたの?って顔で見てくるもんだから、見間違いだったんだなってあっさり諦めたわ。

本当剣って不思議な犬よね」

「うん」

俺たちはしばらく庭でくつろいだ

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学校

俺はいつもここでは1人だ

人と触れ合えない俺は他人と関わることを諦めて1人で過ごすようになった

そんなある日、図書館に本を返しに行く途中に走ってきた1人の女子とぶつかった

「ごめん!!大丈夫!?」

その女子はそう言い、尻餅をついた俺に手を差し伸べてきた

俺はその手をとり起き上がった

「あ、ありがと、、、うわっ!!」

俺は慌てて掴んだ手を離し、また地べたに転がった

だがその時全くの吐き気を感じなかった

その代わり、胸の動悸は激しかった

「本当に大丈夫!?」

彼女は心配そうな顔をして近づいてきた

俺は後ずさり自力で起き上がった

そして

「大丈夫!大丈夫!ごめん!!」

といいながら慌てて本をとって図書館に行った

こんなこと初めてだった

そもそも人と触れ合えたことも久しぶりだった

そして、あのような激しい動悸も

「柔らかくて暖かい手だったな」

気づくと俺はそう呟いていた

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もしかしたらと思い、俺は帰宅後母で確かめてみた

「母さん、

もしかしたら治ったかもしれない」

「は?何が?」

「ちょっと手を貸して」

そう言うと母が手を差し出してくれた

俺は恐る恐るその手を握った

すると何も起こらなかった

おかしなことにあの激しい動悸も、、

そう思ったのもつかの間、母が抱きついてきた

「ずっとこうしたかった。

でもできなかった

寂しかったね。悲しかったね。ごめんね。」

母が泣いているのがわかった

それにつられ俺も涙を流していた

俺たちはしばらくの間2人で泣いていた

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翌朝

教室に入ると、あの時ぶつかった女子がいた

驚いたことに彼女は

実は同じクラス

そして隣の席だったのだ

今まで他人のことなど気にしていなかったので周りに誰がいるのかも知らなかった

彼女は呆然としている俺に気づき、

「おはよ。後藤君。昨日はごめんね」

と声をかけてくれた

「おはよう。えーっと、、」

名前が全然出てこない。

俺はこの時ほど周りに無関心だったのを悔いたことはない

「さや。朝倉さやです。よろしくお願いします。」

彼女は笑いながら自己紹介をしてきた

(本当に申し訳ない)

「本当に申し訳ない、、」

(やばい、声に出てた)

「いいよ!いいよ!

どうせ覚えてないだろうな〜って思ってたもん

後藤君周りに興味なさそうだったから

でも変化があったようだね?」

(朝倉さや。要注意人物かもしれない)

「ま、まぁね、、、

そう言うことだからこれからよろしくね」

軽く会釈すると彼女は手を差し伸べてきた

するとまたあの激しい動悸に襲われたこれがなんなのか本当にわからない

俺が迷っているとチャイムが鳴り教師が来た

俺たちはすぐに席ついた

少し気になって彼女の方を見ると目が合った

そして彼女は微笑みながら

「よろしく」

と言った

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人と触れ合えることになって大きく変わったことは特になかった

俺は、人と触れ合えないから他人と関わることを諦めたのではなくそれを言い訳にしてただ逃げていただけだった

言い訳がなくなって、朝倉さんと関わるようになってその重要さに初めて気づけた

彼女は俺と正反対の存在だった

積極的に他人と関わっていこうとするその姿勢は多くの人を惹きつけ、彼女はいつも輪の中心にいた

人と触れ合えないのがなんだ

努力すれば人と関わることはできたのにそれを俺はせずに殻に篭っていた

だから誰も寄り付かずいつも1人だった

このことに気づいた俺は行動を変えた

朝倉さんを見習って積極的に他人と関わっていこうとした

その結果、自分を知ってもらえ多くの繋がりを持つことができた

部活においてもこれは活きた

部活中、俺はいつも稽古を与えられたメニューを相手を気にせず、ただ自分勝手にやるだけだった

だが、他人と関わろうとすることで、相手の意見を聞くことができ、そして相手を尊重することを覚えた

このおかげで今まで負けっぱなしだった剣道も一気に力をつけることができた

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そうして日々を過ごし18歳になった頃

俺はみんなの中心にいた

友達と呼べる人も増え、部活にも仲間ができた

その結果、よく友達と遊びに行ったり、部活したりで家にいないことが増え、剣といる時間短くなった

だがそんな折、休みが入った

去年惨敗したあの大会の数日前

部活の顧問が出張するとかで急遽休みになり、予定など入れてるはずもなく、暇ができた

俺はすぐに家に帰った

すると剣が待っていた

まるで今日、俺が暇だと知っていたかのように

俺は久しぶりに剣と遊ぶことにした

剣といると本当に落ち着くのだ

去年、冷め切っていた俺の心を剣が癒し、温めてくれた

そして剣の温もりは、、、

夕暮れ時、俺は数日後の大会のことを話した

今年で高校では最後、そして去年の惨敗がある

そんな不安を剣に思い切りぶちまけた

すると、

剣とは違う大きく暖かい手で背中を押された

そして後ろから、

「楽しんでこい!」

と聞こえた

どこか懐かしい感じがする声で

不安が全て消えていくのがわかった

俺は振り返らず大きな声でこう答えた

「参加する誰よりも楽しんできてやる」

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大会の結果は3回戦敗退

去年1回戦で負けた俺にしては頑張ったほうだ

そして、3回戦敗退にもかかわらず多くの人を惹きつけたとかで特別賞をもらうことができた

だがそんなことより一番は

剣に言われた通り楽しめたことだ

これまで剣道した中で一番楽しかった

後悔なんてあるはずもない

本当に満足のいく大会だった

家に帰ると、剣がよくやったという顔で迎えてくれた

顔でバレたようだ

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その夜はとても暑かった

月明かりはなく、街のみが光っていた

俺は家の窓を全て開け風通しをよくした

それでも少し暑かったのだが、たまに吹く風が心地よかった

疲れていたのもあっていつの間にか寝ていた

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だがその数時間後俺の目は覚めた

あの声が聞こえたのだ

怒号が混じっていたが間違いなく、

俺を応援してくれたあの剣の声が聞こえた

気になって声のする方へ行くと2人の男の影が見えた

すぐに近くに行くとそこには足を引きづりながら必死で逃げてく男と血まみれで倒れた人面犬がいた

人面犬は間違いなく剣だった

幾度も、ほんの一瞬だったが見た剣の人面

いやそれ以前に見たことがあるようだ

心の奥にある何かが今出てこようとしているのを感じた

だが剣の体温がどんどん下がってくのを感じ、すぐに母を起こた

この剣を見た母は驚きや心配という顔とともにやっぱりという顔をしていた

「剣をすぐ車に運んで!飛ばすわよ!」

「わかった!」

俺は倒れている剣を抱き抱え車に運んだ

母は急発進で車を走らせた

道中、母は父について事実を俺に話した

俺は話を聞いて、心の奥の何かが弾け出てくるのを感じた

そして、全てを思い出した

その上で、剣と父がリンクした

俺は父を見て言った

「父さん。もうどこにも行かないでよ、、」

そう言った次の瞬間、父がゆっくりと動き出した

「動いちゃだめ!」

「なぁにこんぐらいじゃ死なねぇよ」

「ようやく父さんだってわかったのに、、

死なないでよ、、父さん、、」

俺は父をぎゅっと抱きしめた

「俺はな、一回死んでんだよ

本当はあの時でお別れのはずだった

だけどどうしてか中途半端な感じで犬になっちまって最後はこのざまだ

でもな、俺の最悪の置き土産回収しておまえの成長を見れて、最後はおまえらを救えたんだ

これ以上の幸福はねぇよ

ありがとな剣哉」

「なにかっこつけてんのよバカ!」

母の冷たい声が聞こえた

「あんたのせいで、ついこの間まで剣哉に触れることもできなかったし、1人で剣哉養ってくのだって、、」

母は泣いていた

「本当におまえには迷惑かけたな

よく頑張ってくれた

俺のせいでおまえ1人に負荷かけちまってな

誰かいい奴ひっ捕まえても良かったんじゃないか?俺よりいい奴なんかいっぱいいるだろ」

「バカ!アホ!どクソ野郎!!!

あんたよりいい男なんているわけないじゃない!!本当、あんたに出会ったのが運のつきよ!」

「剣哉。聞いたか?俺よりいい男なんていないだってよ

その言葉聞けたらもう充分だ

俺はおまえに出会えて本当に良かった

おまえは俺にとって宇宙一の女だ!」

父はそう言いながら大声で笑った

母はそれを聞いてさらに号泣している

父はまた俺を見つめ、

「剣哉

人はどうしても楽な方向に行きがちだ

でもそこに幸せなんかねぇよ

幸せがあんのはその間逆の方向だ

その方向に進むのは辛く厳しいだろ

でも、逃げるんじゃねぇ!

立ち向かえ!

時には立ち止まったり、こけたり、倒れたりもするだろうな

それでもいい!

逃げなければ

立ち上がってまたその道を進もうとするならば

おまえにはそれができる!

だって俺の息子だからな

あと!

最後に、楽しむことを忘れるな

そうすれば、おまえの人生は最高のものになるし、

俺を超えられる!」

父はそう言って笑った

だが俺の泣き顔を見て父は少しそっぽを向いて

「泣くなよ。

おい!俺の息子だろ?

最後くらい笑って送り出してもらえねぇと、、

行くに行けねぇだろ!」

父は泣き出した

堪えていたのが吹き出したように

俺は、歯を食いしばって涙を止め言った

「誰よりも楽しい人生送るから!!

母さんも認めさせるくらいいい男になるか!!」

そう言うと父は笑顔で

「期待してるぞ。剣哉」

と最後にそう言って目を閉じた

その瞬間父の遺体が光に包まれた

次に目を開けた瞬間、

そこには人面犬ではない、父ではない剣がいた

傷跡は見つからない

どうやら父は自分の魂と引き換えに犬を生かしたんだろう

「本当にいい父親を持ったよ

ありがと」

俺と母はずっと泣いていた

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翌日、

剣は昨日のことなど素知らぬ風でいた

俺たちのことは一応覚えてるようで、剣から父の人格だけ抜けた感じである

だが、剣にはいまだに少しの父の温もりを感じた

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後から聞いた話だが、あの時足を引きづって逃げた強盗は近くの交番で発見されたと言う

なんでも強盗をしに行ったら、鬼の顔をした犬に襲われ足をやられて逃げてきたと言う

警察が後からうちに来たので強盗の勘違いということにして返した

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10年後

俺は2児の父となった

相手は朝倉さやだ

高校の卒業式で告白して付き合いそのまま大学卒業後にゴールインという形になった

母は俺が独立すると同時に仕事を辞め田舎へ引っ越して自給自足の生活をしている

母曰く都会に疲れたということらしい

俺とさやはそのまま俺の家で暮らすことにした

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街を見下ろせる展望台、

俺はそこに犬を1匹連れてやって来た

この犬は剣二、剣の息子だ

剣になかなか似てて俺でも間違うくらいだ

展望台に着くと、俺は二本の缶ビールを取り出した

そして一方を開けとなりに置き

もう一方を自分で持って空高く上げ言った

「親父!今、存分に楽しんでるよ!」

すると

剣二が後ろに向かって一声吠えた

振り返るとそこには笑顔の父が立っていた

右手には俺が隣に置いた缶ビールを持っていた

俺はビールを差し出し

『乾杯』

ビールを飲み干した頃には父の姿はなく、そこには飲み干された缶ビールの空き缶だけがあった

それを見て俺は笑みを一つ浮かべ剣ニを連れて帰った

END

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ホラー色薄いので気に入られないじゃないかと思っていたのでそう言って貰えると助かります
剣は自分の憧れでもあります
主人公とともに自分も剣みたいになりたいです

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