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中編4
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平行世界

パラレルワールド。

平行世界、という。

今、存在している世界と限りなく似ているが、異なる世界。

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 世界で、とても頭の良いどこかの子供科学者か誰かが、パラレルワールドはあるということを実証したという。

 ここ最近の、何らかのまとめサイトで見た。

 どこどこの機関が、パラレルワールドを壊している、だとかも。

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 過去、現在、未来。

 人生において、無数の選択肢があり。

 AとBの分岐点があって、Aを選んだ自分とBを選んだ自分が居る。

 それぞれが、選択したところで、世界は枝を分けている。

 それを繰り返し、世界は、無数に広がっていっているらしい。

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 けれど、パラレルワールドを観測するなど、どこかのなんとかシュタイナーさんではないと可能ではないのだろう。

 では、そんなものあるか、ないかを知ることなんてできないじゃあないか。

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 などと、思ってみたところ。

 ふいに、一つだけ、これは平行世界かもしれない

 と、思うことがある。

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 それは、人が寝てみるもの。夢だ。

 ノンレム睡眠とレム睡眠。

 その周期の上で、見る映像。

 脳を休めるためだとか、記憶の整理だとかが、夢を見る要因だという。

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 個々の見る夢の内容は、自分自身以外は、知る術がない。

 語ることはできても、自分自身でなければ認識はできない。

 忘れることも多い。

 けれど、鮮明に残ることもある。

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 痛みを感じ、

 匂いを覚え、

 色さえ着くこともあれば、

 自由に動くことも可能であったりする。

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 現実では考えられないような、不思議なことが起きて。

 何かを暗示していたり、意味不明なこともある。 

 夢で、死ねば、死ぬ。ということもあるらしい。

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 私は、夢で見る内容に関して、現実感を覚えることが多い。

 無論、人それぞれだと思うけれど、夢を見ている時、違和感は薄れて、夢が現実だと感じてしまうことがある。

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ある日の夢だ。

曲がりくねった道路。

そこは事故がたくさん起こるというの事を何故か知っていた。

そこでは一番初めに女の子が死んだから女の子の幽霊が出るらしい。

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だから近づいたら駄目だ、と言われていた。

その後、場面が展開し過去に飛ぶ。

女の子が車に轢かれる直前を見てしまった。

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それは見事に生々しくて、痛々しくて、それ以上に、物凄い喪失感を感じた。

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夢の中で涙を流していた。

きっと、彼女は知っている誰かだったのだろう。

助けることができなくて、悲しい。悔しい。

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そうして、目が覚めても、涙を流していた。

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ところで、私は見ていた夢がある程度記憶できていたら、

すぐに二度寝するともう一度見ることができることが多かった。

絶対ではないが、大体6割は固い。

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助ける必要があるとかいう使命感があって、直ぐに二度寝をした。

そうして、同じ夢を見る。

今度は、しっかりとこれが夢であるということを理解して。

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その曲がり角の場所に都合よく、私は居た。

その時、遠くに女の子が居た。

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それは、幽霊の姿であって、片手をあげて事故の起きる場所を指差した。

車が、女の子へと迫る直前で。

間に合うタイミングではない。しかし、コレは夢だ。

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夢で動くことができる際は、夢の内容を巻き戻すことが、わりと可能である。

車が迫る前に、巻き戻して、事故の現場へと走った。

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そうして、女の子が車道へと出る前に、

「危ないから駄目だ」

と、手を引っ張った。

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どんな表情だっただろうか。

訝し気なようであったかもしれないし、笑っていたかもしれない。

兎に角、車は通りすぎていった。

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ああ、助けることができたんだ。

そう思って、物凄くほっとした。

でも、変だなと思った。 

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遠くに女の子が立っていた。

それは幽霊の女の子だ。

彼女は、笑っていた。

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「ありがとう」

そう言われて、物凄く嬉しい気持ちになり、胸の中がじんわりと満たされる。

そうして、目が覚めた。

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同じ内容の夢は二度と見ることがない。

けれど、多分、あの幽霊の女の子は最初の被害者であって、私が助けたのは、別の誰かだったのだろう、そう思った。

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当たり前に、それは夢だった。

と、納得できてしまい、何もかも忘れてしまったり、薄れてしまうことも多い。

その程度の事だったら、別に大したことはない。

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夢の中で起こったことなど、現実に対して、何の干渉もしない。

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 けれど、夢の中での物事に関して、心が動くことも多い。

 感動であったり、

 共感であったり、

 怒りであったり、

 悲しみであったり、

 憎しみであったり、

 恐怖であったり。

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 ただの、夢だった。

 その一言で、片付けられないこともある。

 それは、平行世界である。

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そう考えると、怖くもあるし、

楽しくはないだろうか。

Concrete
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