中編7
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希望と絶望

遂にその姿を表した二体の鬼。

そしてそれを迎え撃つは二名の能力者。

人目に付かぬ山の中。

今、闘いが始まる。

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「これが本物の鬼か?

舐めてた訳じゃねぇけど、ここまでとはな。

一瞬でも気を抜きゃ、即死ってやつか?」

男性は赤鬼と対峙し、そう呟いた。

その頬には汗が流れている。

顔を合わせただけで体がビリビリと痺れる程の威圧感。

男性が言うように、少しでも気を抜けば即死は免れない。

男性は付かず離れず、一定の間合いを取り、鬼と対峙する。

?!

突然、巨木にぶらさがった赤鬼がその体を前後に揺すり始めた。

「来やがるか…。」

男性はそう言うと、ジャラジャラと手首にぶら下がるブレスレットを抜き取り、両の手に持つ。

赤鬼はまるで鉄棒でもするかの様にその体を揺らし続けている。

そして…。

?!

ドン!!

揺れる反動を利用し、赤鬼が男性へ目掛け飛びかかる。

その速度に男性は一瞬意表を突かれたが、何とか回避し赤鬼は地面へ激突する。

地に降り立った赤鬼は四つん這いで男性を見据え、地鳴りの如く咆哮を上げる。

「そう怒んなよ。

悪いけどこっちも手は抜けねぇ。

一瞬で終わらせて貰うぜ?」

男性はそう言うと、円を描く様に鬼の周りを走り出した。

鬼はそんな男性を黙って見ている訳もなく、鋭く尖った爪で男性に襲いかかる。

が、男性は間一髪でそれをかわしていく。

そして鬼の攻撃をかわしながらも、その周りにブレスレットを投げていく。

残るブレスレットが一つになった時、男性はその足を止め、再び鬼と向かい合った。

「楽しかったぜ?」

残る一つのブレスレットを鬼の頭上に放り投げ、男性はそう言った。

そして次に男性は呪文の様な物を唱え、術式を施した。

「禁呪、破幻の呪法 其の一 剥!」

男性がそう叫ぶと、鬼を囲む様に配置されたブレスレットが一斉に光を放った。

そして、その光は一直線に頭上のブレスレットを目掛け伸びていく。

全ての光が頭上のブレスレットに集まった時、鬼の体は光のピラミッドの様な物に閉じ込められていた。

男性はそれを確認すると、すかさず次の術式に入る。

「禁呪、破幻の呪法 其の二 砕!!」

男性が第二の術式を施した途端、頭上のブレスレットが一際、眩い光を放ち、徐々に光のピラミッドが、その面積を縮めていく。

鬼は両の手を押し上げ必死に抵抗するもその勢いは止まらず、遂に鬼は立って居られなくなった。

それでも尚、光のピラミッドはその力を弱める事無く、その面積を縮めていく。

そして…。

「グァ"〜!!」

断末魔と共に押し潰され、消滅する鬼。

後には光を失ったブレスレットが落ちているだけ。

「俺が地獄へ行ったらまたやろうや…。」

そう言いながらブレスレットを拾い上げる男性。

「す、凄い…。

こ、これが本物の霊能力者の力…。」

彼等に依頼をした男は、初めて見る本物の力に驚愕しつつも興奮していた。

青年は何も言わず、ただ黙って男性を見ていた。

全てのブレスレットを拾い上げた男性は、少し離れた所で青鬼と対峙している老僧に目を向けた。

「あちゃ〜…。

あっちの鬼の方がつえぇな…。」

男性が言うように、老僧は青鬼との闘いに苦戦を強いられていた。

先程から老僧は、幾度となく術を放ってはいるが、そのどれもが通じず、徐々にその体力を奪われていく。

「お〜い!

じいさん?ヤバそうだな?

手貸そうか?」

男性が老僧に声を掛ける。

「ほざくな若造!

貴様の手など要らんわ!

それにお主の術もコイツには通じはせん!」

「ならどうすんだよ?

本当にやべぇんじゃねぇの?」

軽口をたたきながらも、男性の表情が強ばっていく。

「ふん!

術がきかんなら直接ブチのめせばよかろうが!」

老僧はそう言うと、首からぶら下げた数珠を外した。

「化け物と云えど、これを使うのは少し気の毒じゃわい。

青鬼よ?

すまんが、貴様只では死ねぬぞ?」

老僧はそう言って数珠を繋ぐ紐を解く。

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

?!

「おいおい!

何だよそれ?!」

男性は驚いた表情で老僧に問う。

それもその筈…。

老僧が数珠の紐を解き、地面へと落下した数珠玉。

その数珠玉が地中深く埋まってしまったのだ。

その深さは50cmを越える。

「その数珠何キロあんだよ!

なにで作ってあんだじいさん?!」

男性が問う。

「うるさい外野じゃのぉ…。

これは正真正銘、ただの数珠じゃよ。

まぁ何十年と毎日清め続け、儂の気を吸い続けておる代物じゃがのぉ。」

老僧はそう言うと不適に笑った。

「それじゃ先ずはその足かの?」

老僧は青鬼の足を指差しそう言った。

しかし、青鬼はそんな老僧を嘲笑うかの様に悠然と歩を進め、その距離を詰めていく。

「一ノ玉、二ノ玉、三ノ玉!」

?!

老僧が叫ぶと、地中深く埋まっていた数珠玉が三つ、勢いよく飛び出し、青鬼に向かって飛んでいく。

これには青鬼も体制を低くし、警戒の色を見せた。

青鬼を目掛け一直線に飛んで行く数珠玉は、その距離が後、二メ―トルと言うところで突然進路を変えた。

一つは右へ、一つは左へ、そしてもう一つは上へ。

青鬼はそんな数珠玉を目で追い、更に警戒を強めた。

そして、上へ上がった数珠玉が巨木の高さを越えた時、今度は青鬼を目掛け急降下を始めた。

その速度は凄まじく、まともに喰らえば流石の鬼も無事では済まないだろう。

危険を感じた青鬼はすぐさま後方へ退いた。

?!

ドス!

後ろへ退いた青鬼の、右の太ももに後方から数珠玉が炸裂した。

ドス!

間髪入れずもう一つの数珠玉が青鬼の右太ももを、今度は前方より襲った。

恐らくその痛みは想像を絶するものだろう。

二つの数珠玉は、その姿が見えぬ程に、肉に食い込んでいる。

しかし、青鬼も只者ではない。

体制を崩しはしたものの、その場に留まり、憤怒の表情で老僧を見据えていた。

シュ!

その時、鬼の眼前を閃光が通過した。

「ガッ…ガァ"ァ"ァ"!!」

頭上より落ちる数珠玉が、閃光が如く速さで青鬼の右足の甲を貫いた。

これには流石の青鬼も雄叫びを上げその場に崩れ落ちた。

「やるじゃねぇかじいさん!

そんなモン隠し持っていやがったのかよ!

いける!いけるぜ!」

男性は興奮ぎみにそう叫ぶ。

「あの方もこれ程の力を…。」

男は二人の能力者の力に脱帽した。

その時。

「へぇ…。

これは本当に凄い…。」

?!

突然、背後から聞こえた声に驚き、男と青年は振り向いた。

其処に居たのは、真っ白な着物を纏った一人の青年。

「何やら変わった匂いがすると思い来てみたら、こんな事になっていようとは…。」

突如現れた正体の分からぬ青年はそう切り出した。

「あっ…。

ご挨拶が遅れました。

私は「響」と申します。」

その名を聞き、青年は咄嗟に印を結ぼうと腕を動かした。

いや…動かそうとした。

だが…動かない。

腕はおろか、指一本動かす事が出来ない。

「あぁ…。

動きませんよ?」

それを見ていた響が言う。

「貴方に暴れられては少し厄介ですので、体の自由を奪わせて頂きました。

少し時間が経てば、自然と解ける程度にしてありますのでご心配無く。」

そう穏やかに話す響に対し、青年は言い知れぬ恐怖を感じていた。

青年は二人の闘いが始まる直前、半径二百メ―トルに及ぶ結界を張っており、闘いの最中も周りへの警戒を怠ってはいなかった…。

にも、関わらず気付かぬ内に結界に侵入し、おまけに警戒している自分の背後をとり、体の自由さえも奪った。

各の違い…。

そう思わざるを得なかった。

そんな青年を余所に、男は不覚にも響と名乗った青年に魅入られていた。

この響という青年は其ほどまでに美しかった。

綺麗に整った顔立ちに、艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、体の線は細く、肌は透き通る様に白い。

黙っていれば、女性と言われても決して疑いはしないだろう。

そんな響が、視線を男に移し言う。

「貴様は必ず私の手で葬ってくれる。

必ずな!」

その顔は、先程とはうって代わり、怒りに満ちた憎悪の表情。

やはり、響は村長の末裔であるこの男に、一番の怨みを抱いている様だ。

「ベラベラと…

ベラベラと喋ってんじゃねぇ!!」

?!

「ほぉ…。

これはこれは…。」

突然、青年が叫んだかと思うと、響の頬が裂け、そこから血が流れ落ちた。

「その状態で、私に傷を付けますか…。

やはり貴方の自由を奪っておいて正解のようですね。」

響はそう言うと、二人に背中を向けた。

「どうやら二体目もやられてしまいそうですね。」

響がそう言うと同時に、青鬼の断末魔が山中に響き渡った。

二人が響に意識を向けている間に、老僧が鬼を仕留めた様だ。

「もし…。

もし、貴女方が私の元へ辿り着けたなら、その時は死よりも恐ろしい恐怖を味会わせて差し上げましょう。

それと…。

これは私からの忠告です。

陰陽師と…それに従う式の力をあまり舐めない方がいい…。」

そう言い残し、響は煙の様に姿を消した。

響が去った後、青年は己の不甲斐なさに怒りを露にし、血が滴る程に唇を噛み締めた。

「いやぁ〜。

すげぇじゃねぇかじいさん!(笑)」

男性が老僧に駆け寄りそう言った。

「ふん!

あんなモン楽勝じゃわい!」

そう言いながら二人はパチン!と互いの手を合わせた。

この二人の能力者により、二体の鬼を仕留める事が出来た。

彼等の力は本物と言えよう。

其ほどまでにその力は二体の鬼を圧倒していた。

だが…。

意気揚々と話す二人の背後に、本当の恐怖が迫っている事を、まだ知るよしはなかった。

Concrete
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sun様。

ありがとうございます!
只今作成中ですのでまた読んでやって下さいm(__)m

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むぅ様。

呪術師とは、葵の事でしょうか?
さぁ?どうでしょう?
ただ、今回は…

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珍味様。

言うときますけど、数字はホンマに深い意味は無いですよ?
ぜ、全然無いです…よ?

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ふたば様。

少年誌?!Σ(゜Д゜)
誰も読みませんやん!(笑)
仮面ラ◯ダ―ですか?!
良かったぁ〜!
お笑い芸人の方じゃ無くて(笑)

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月舟様。

ほんますいませんm(__)m
浅はかと言うか、幼稚というか…(^^;
でも、こんな格好いいのが大好きなんです!(T-T)

数字?
はて?

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沙耶様。

ありがとうございます!
子供じみた話しですが、だからこそ深く考えず、あさ〜く楽しんで下さい!(笑)

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りこ様。

映像化されたら意外と格好良さそうですね?(笑)
まだもう少し続きますので是非、お付き合い下さいm(__)m

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紫音様。

楽しみにして頂き光栄です!
グダグダですが、次回も宜しくお願いしますm(__)m

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なんとも先が楽しみな展開になってきましたね。

次回作が楽しみで仕方ありませんわ(o´罒`o)

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