私の家は私の両親と姉夫婦とその子供の6人暮らし。
姪っ子のなっちゃんは4歳の女の子。
これは私達が体験した今迄で一番怖かった話。
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ある日の朝、ガタガタという音で目を覚ました私がふと机の下に視線を向けるとそこにはなっちゃんがいた。
時計は午前8時30分。ベットから出て何時もより随分早起きななっちゃんに近づくとなっちゃんは口元に人差し指を当ててしーっと私に合図をした。
「何してるの?」
「かくれんぼ。」
「ママと?」
「ううん。ひみつなの。」
そう言うとなっちゃんはしーちゃんも隠れないとだめだよと私の腕を掴んだ。4歳の女の子ならすっぽり入れる机の下は22歳の女には流石に狭い。リビングでテレビ見よとなっちゃんを机の下から抱き上げ、私はそのままお姉ちゃん達のいるリビングへと向かった。
「かくれんぼ?」
「そうなの。私の部屋の机の下で丸見えなのに可愛いよね。」
のんびりとした日曜日の朝。家族みんなで朝食を囲みながら何気ない会話を交わす。
「あんた達にもあったわね、そんな時期。」
「そうなの?」
「そうよー。あの頃はそんな事知らなくてびっくりしたわ。」
そういうものなのか。小さい子にはよくある事なのだろう。覚えておかなければ。そう思いながら朝食を済ませ自室でゴロゴロしていると物凄い勢いで部屋のドアが開いた。
「しずく!あんた今すぐ箪笥の中確認して!」
ただ事ではないお姉ちゃんの様子に訳がわからないまま一番上の下着が入っている引き出しを開けた時私は絶句した。
「なくなってる…。全部。」
「やっぱり…」
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それからは大忙しだった。警察を呼んで状況説明と現場検証。犯人はご丁寧に前日の洗濯物の中の下着まで持ち去っていた。
「犯人に心当たりは無いですか?」
「無いですけど…」
「過去にストーカー被害等は?」
「無いですけど何故です?」
「足跡がね…脱衣所とお姉さん達の部屋、そして妹さんの部屋にしか無いんですよ。特にベットの近くを何往復もしてる。」
ゾクリと鳥肌が立った。
もしかしたら犯人は私の事を眺めていたかもしれない。
「それとね、最後の足跡は妹さんの部屋の窓で終わってるんだけどその足跡、ベットから始まってるんだよね。」
私ははっとしてなっちゃんのところへ向かった。
「なっちゃん、かくれんぼしてる人とどこで会ったの?」
「ひみつ。」
「もうかくれんぼ終わったから教えてよ?」
「いいよ。しーちゃんのおふとんのした!」
「その人と何かお話した?」
「うん!また来るねって。」
犯人はまだ見つかっていません。
作者鯨
家の間取りも部屋割りも知ってる犯人って誰なんでしょうね…。