これは確か、神奈川県在住の日暮さんのお友達の妹の彼氏の弟が、寝言で言っていた話だったような気がします。たぶん…
彼の名前を仮に刀剣棒 荒辰(あらたつ)君としましょうか。
その日、荒龍青年はいつもの様に友人の水担坊 五十六(いそろく)君と、河内屋 弁慶(べんけい)君を引き連れて近所の河原で石投げをして遊んでいたそうです。
それは日の暮れ始めた頃でした。
「皆の衆、あれを見るナリよ!」
五十六君の指差した方向を見てみると、水面から緑色の丸い皿のようなものが覗いていたそうです。それは明らかに河童の頭のようだったといいます。
荒龍「なんだあれ、もしかして河童か?」
弁慶「…ち、父上が河童を見たら絶対に勝てないからすぐに逃げろと言っていたでござるが」
流れを無視してゆっくりと近づいてくるそれに恐れをなした弁慶君は、あろう事かそれに向かって石を投げつけ始めました。全く子供というものは後先を考えない愚かな生き物です。
ぼちょん!ぼちょん!
ぼちょん!ぼちょん!
しかし、石は中々当たりません。
「へたっぴ、何やってんだよこせ!」
弁慶君のコントロールの無さに見兼ねた荒龍青年は、彼の手からひときわ大きな平べったい石をひったくると、水切りの要領でそれに向かって投げつけました。
荒龍「おりゃ!死ね!」
しゃ、しゃ、しゃ、しゃ、
ごん!!
「ぎゃおえおあいてえー!!おえええいてーー!!!」
その絶叫を聞いた途端、たまらず三人はその場から逃げ出したそうです。
荒龍「お、おい、今あいつ痛てー!って言ったよな?」
五十六「言った言った!カッパじゃなくて人間だったナリか?紛らわしいやつナリ!」
弁慶「か、顔見られたかな?父上にバレたらやばいでござるよ!!」
しかしそんな三人の心配をよそに、次の日、そこから更に上流にある瓦礫の山に引っかかっている正体不明のミイラ化した遺体が発見されたとかされなかったとか。
以来、荒龍青年はよく寝言で「みられてる!みられてる!ミラレテル!やだー!」と騒ぐそうです。
不眠症になりつつある家族が「うるさい!」と怒鳴るとすぐに黙るのですが、少しすると冷蔵庫からボリボリとキュウリをかじる音が聞こえてくるそうです。
はたしてあの河童と思しきUMAが彼に取り憑いてしまったのでしょうか?
それとも…
おしまい❤︎
作者ロビンⓂ︎
登場人物の名前とキャラのクセが凄いんじゃ〜…ひひ…