アパートに帰り、ビールを呷って床に着いた頃だった。
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…ン
…コン
…コンコン
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1Kの部屋、寝ているベッドの目の前の玄関ドアから微かにノックの音が聞こえる。
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蚊の鳴くような力無いノックの音に驚きつつ、こんな夜半に尋ねて来るなんて非常識な奴だと、
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意気込んでドア前まで来たものの、そこはやはり男でも多少は怖い。
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ドアスコープから確認すると真っ暗で何も見えない。
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ただのイタズラかと、寝直そうかと思ったが、ふと、気付く。
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ドアスコープが真っ暗で何も見えないということがありえるだろうか。
普段であれば玄関前の通路灯が見えるはずである。
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背中に冷や水を浴びたような感覚に囚われる。
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意を決して、再度ドアスコープを覗くと、
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こちらを覗き込む女の真っ黒な目がゆっくりと遠ざかって行くのが み え た
作者帰り道の暗がり