近衛兵を率いた王様一行は、領内の街道を優雅に散歩していた。
「どうだ姫君よ、この青く澄み渡った空見ろ。自分の悩みなど、小さいと笑い飛ばす気にはなれぬか?」
「……。」
「そうか、気は晴れぬか。しかし、城の中に閉じこもっていても気は滅入るばかりだろうて、折角、この様に散歩に来たのだ。周りの景色でも見たらどうだ?」
「……。」
「この街道の両脇を見てみろ。向日葵がきれいに一定間隔で並んで咲いているだろう?そなたは向日葵が好きだと聞き及び、喜ばすために兵に植えさせたのだ。ほれ、目を凝らしても見えないほど遠くまで続いてえおるじゃろうが。我が国の国力が、他国にまで知れ渡るまでそうは時間がはかかるまい。」
「……。」
「そなたの返事し次第では、あたりを埋め尽くさんほどの向日葵でこの街道を飾ってもよいのだぞ。」
「……。」
「気は変わらぬか……。よし!では、特別な向日葵を今この場で植えて進ぜよう。」
王様は、何やら近衛兵に合図を送ると。
「やれ。」
と短く、命令した。
ザクッ
ザクッ
バキッ
ボキッ
ブチッ
ズンンッ
ザッザッザッザッ
「見るのだ、姫君。そなたの父上によく似た、向日葵が咲いたぞ?」
「……!!」
「領民のためにも、わしとの婚姻を受け入れたほうがよいと思うがなぁ。さすれば、そなたの領民も納得しやすい。
さもなくば、そなたの国の領民と同じ数の向日葵がここに咲くことになるが
どうするかのう?亡国の姫君よ」
作者園長
槍の先端に生首を刺して、向日葵に見立てるってオチです
↓の便乗です。
http://kowabana.jp/stories/29616
心がざわついて、ざわわさんの企画に乗せられました。
「手垢に汚れた届かぬスイッチ」が無いのは、自分の出したタイトルだからではなく、単純に思いつかなかったからです。