3月の下旬、二度目の大学受験の結果が届いた。
見事に落ちたが、何故か不思議と落胆はしていなかった。
その時の俺は人生を悲観していたのかも知れない。
スマホを手にして時間を見た。
午前2時過ぎ。
俺は高校三年から付き合っている彼女に、別れのメールを送り、眠りに落ちた。
nextpage
ぐっすり眠っていたようで、目を覚ましてから時計に目をやると、昼過ぎだった。
遅い朝めしを作る。
ダージリンに、ベーコンエッグとソーセージ、マフィンと寝起きには、かなりヘビーなものだったが、高校時代にイギリスに短期のホームステイをした時に出されたのは、これよりもエグかった。
何気なくスマホを見ると、彼女からラインが来ていた。
内容は簡単に言うと、『別れたくない』ということがグダグダと長文で書いてある。
メッセージの最後に、きちんと会って話したいから、いつもの喫茶店に来いとある。
面倒なので放置。
少しすると、電話が鳴った。
既読に気づいた彼女からなのは、何となく察しがついたのでスルー。
それでも鳴り止まない電話にウンザリして、仕方なく出る。
出るなり、半狂乱で泣き叫ぶ彼女の声に冷めた。
とにかく会って話そうと泣きつかれ、仕方なく了承。
電話を切り、電源を落とした。
このメンヘラ女には、ほとほと困っていた。
嫉妬深く、粘着された俺の高校時代は、お陰さまで最悪。
今では友達すらいない。
とりあえず、彼女に関する物を片っ端からゴミ箱へ棄て、去年の誕生日に彼女からもらった高そうな腕時計は、質に入れることに。
彼女との思い出も何もかも、全てを思い出せる物は一つもなくなり、スッキリする。
気分よく就寝。
nextpage
翌朝、昨日と同じイングリッシュブレックファーストを食べる。
ボーっとして過ごしていると、部屋のドアをガンガン叩く音がする。
彼女だ。
ガン無視するが、あまりにもしつこいので、質入れ予定の腕時計を投げ返し、ドアを閉める。
気分を変えるために、ハーブティーを淹れてリビングで優雅なティータイムを楽しんでいると、カチャリとベランダに何か当たった音がする。
窓越しに見ると、彼女に返した腕時計が砕けていた。
直後にガーンと大きな音がしたので、ビックリして目を向けると、頭が割れた彼女が手摺りに引っ掛かっていて、俺を見て言った。
「こう……ちゃ………ん」
見開かれた目と目が合い、俺は吐いた。
作者ろっこめ
今回は、わたしの大切なカツオ友達の雪様からのリクエストで、三題怪談を書いてみました。
出されたお題は
『時計』、『紅茶』、『落ちる』の三つです。
サクッと書いてしまったので、こんな感じの仕上がりになってしまって本当にごめんなさい。
雪ちゃん……ごめんね。
(陳謝)