短編1
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亡者①

男は朝もやがかかる生暖かい空気をお腹一杯に吸い込んだ後、

鼻から空気を抜いてその匂いを確かめた。

どことなく懐かしい匂いに昔を感じた。

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「それにしてもいい朝だな」

何気なく独り言をつぶやいたあと、男は仕事に向かう準備をした。

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男の名前は大北進(おおきたすすむ)。

身長は高くはないが、ガタイがよく、明るい性格である。

会社でも仕事はできる方で、人からも好かれていた。

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そんな彼にはたった一つ、

どうしても他人に知られてはならないことがあった。

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それは彼が極度の破壊的衝動の持ち主であり、

それを抑えるために猫を殺していることだ。

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「今日も仕事を終えたら、一発やるか。。。」

彼の脳内は既に仕事を終えた後のことで渦巻いていた。

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彼は仕事の最中に話しかけられることを嫌ったが、

唯一心を許していた女性にはいつでも親切に応対した。

当然と言えば当然だ、彼の恋人なのだから。

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彼女の名前はさやかという。

さやかは大北のためなら何でもするほど、

大北に心酔していた。

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「ねぇ、いつになったら同棲できるの?」

さやかは大北に不満そうな顔で問う。

「今期、俺が昇進したら考えよう、今はまだ止めておこう」

大北は戸惑いながらもなだめる様にさやかに言った。

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(猫殺しの趣味がばれるのはまずい!)

しかし、すぐに大北の中に大きな欲望が押し寄せた。。。

ー亡者①-

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