大北は今まで一度たりともさやかを家に上げたことはなかった。
悪癖がバレる恐れということもあったが、
自分のテリトリーに彼女といえど
他人が家にいると落ち着かなかったから。。。
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仕事が終わり、大北はさやかを家に誘った。
会社から家への帰り道に猫を見かけるたびに
彼の欲は高まっていった。
初夏の夕空は紅色の鮮やかが広がっていた。
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「ここが家?結構広いんだねー」
さやかは興奮した。
「家の中ちょっと汚いけど、許してくれ(笑)」
家の中に入ると大北はリビングのテーブルに案内した。
「ここに座ってて、なんか軽くつまめるもの用意するから」
そういって席を立つと、足早にキッチンへと向かった。
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さやかは家の中を見渡した。
特に変わったものもなく、
むしろ物が少なくて殺風景にも思えた。
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「ん?あれなんだろ・・・」
ちょっとした本棚の脇に壺が一つ置かれていた。
(梅干しでもはいってるのかしら?)
さやかはその壺に手をのばし、蓋を開けてみた。
ー亡者②-
作者ジンジン