壺の中には何も入っておらず、
さやかは少しがっかりした。
「ねぇ、この壺なに?ただのかざり?」
キッチンから戻ってきた大北は、
不機嫌に答えた、
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「それは、ただの飾りじゃないんだよ、大切なものを入れておくものなんだ」
「え、あ、勝手に触ってごめん、でも気になっちゃって」
「何を入れるか知りたい?」
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大北はそう言うとひとつ面白い話をしてあげると言って、
話し始めた。
「小さいときに、よくトカゲを捕まえては、しっぽをとってた。
ほら、勝手にとれるあれ。俺はその尻尾を瓶に入れて集めてた」
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「ある時、その尻尾がひなびて臭くなっているのを発見した時、
その時の匂いが忘れられなくて、それからはミドリガメ、ハト、
ネズミ・・・そして学校で飼育していたウサギ、近所の猫」
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さやかは笑いながら大北に聞いた、
「じゃあ、つぎは何?」
「次か、、、ん?雨が降ってきたみたいだ、調度いいな」
大北はそうつぶやくと、さやかの首を隠し持っていた包丁で
切り裂いた。
亡者③
作者ジンジン