中編3
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これは夢

気がついたら私は

とても広い駐車場の中央で立っていた。

50mほど先に見覚えのある

ホームセンターが見えた。

あぁこれは夢だな

よく自分が夢を見ている時、

これは夢だと

理解出来る事が良くあった。

だから自分の意思で歩く事も出来た。

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目の前にある大きなホームセンター

これは私が高校生の時にアルバイトしていた

ホームセンターの正面入り口だった。

当時の懐かしい思い出に浸りながら

ホームセンターの入り口に歩いていく

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その途中に奴はいた。

身長は私よりも低く160cmといった所か、

ぼろぼろの白いワンピースを着ている女性。

髪は膝まで伸びており顔は

俯いていて見えない。

靴なども履いておらず裸足だ。

手の指や足を見ても

黒ずんでひどく汚れている。

身にまとう気配から

「あー人間じゃないな」と考えた。

私には霊感などない。

ただ、直感的にそう考えた。

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兎に角、目を合わせてはいけない、

そう考えて、私は自分の足元を見ながら

奴の通りすぎていった。

その時・・・

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「ヒュー、ヒュー」

声というより、音に近かったと思う。

風が漏れてきた音のような

そんな音が奴から聞こえた。

気にはなったが私は急いで

ホームセンターの中に入った。

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そして場面が切り替わった。

夢を見ている時、

唐突にそれまでと違う状況や

場面に切り替わった事はないだろうか?

まるでDVDのチャプターで

シーンを飛ばしたかのような感じだ。

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私は先ほど入ったばかりのホームセンターから

外へ出て行くところだった。

手には買い物袋を持っている。

そして夢の中で私は

「買い物は終わったから帰ろう」と考えていた。

そして駐車場へ向かっていくと

奴がいた。

私がホームセンターに入るときにいた奴だ。

ただ、ひとつだけ先ほどの状況と違うところがある。

それは奴が人を襲っている最中だということ。

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今襲われている男性は私の前を歩いていた人だ。

買い物も終わり、奴の近くを通った瞬間に

目にも止まらぬ速さで

奴に接近され襲われたのだ。

「うあぁぁぁぁぁ、痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

あの化け物はなんと男性の指を一本ずつ引きちぎっていた。

まず右手の人差し指、次に中指、最後に親指という形ですべて

引きちぎり、次に左手の指に移ろうとしていた。

私は絶句し、その場で立ちすくんでしまった。

そして、人としては最低の事を考えた。

「今のうちに逃げなくては」

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そうだ。

目の前の男性には申し訳ないが、

今なら逃げられるのではと考えた。

私は走った。

買い物袋も捨て、全力で走った。

その時私はこれが夢だという事

など考えていなかった。

ただ全身を恐怖に包まれて全力で走った。

そろそろ大丈夫だろうか

そう考えた瞬間

「ヒュー、ヒュー」

という音が私のすぐ後ろで聞こえた。

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私は思わず振り向いた。

そこには片目がなく口も大きくさけ

歯もほとんど抜けている。

顔の造形が崩れ元の顔は

どんな顔だったのかも分からない。

そんな本当に化け物としか言様のない姿を

していた奴がすぐ後ろまで迫ってきていた。

私はさらに走る速度を上げた。

それでも後ろから聞こえるあの音、

「ヒュー、ヒュー」

この音がどんどん大きくなってきている。

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そこで思い出したのだ。

これは夢だ!!

すべて自分の脳が作った幻だ!!

そうさ、早く夢から覚めなければ、

そうすればあの暖かい布団で寝ていた部屋に帰れる。

きっとそう考えた事が悪かったのだと思う。

一生懸命に夢から覚めろ!と考え続けた結果

私は走る速度が遅くなってしまったのだ。

右肩を強い力で掴まれた。

そのまま地面に倒され、

奴はほとんど抜けてしまった歯を見せながら、

裂けた頬がもっと裂けるんじゃないかと

思うくらいに大きく笑った。

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そして私の右手の人差し指を掴んだ。

まずい

このままではあの男性のように

指を引きちぎられてしまう。

これは夢!これは夢!!これは夢!!!

早く夢から覚めろ!!!

目を強く瞑って一生懸命に叫んだ。

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気がつけば見慣れた天井があった。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

息遣いが荒い、まだ寒い季節なのに

ひどく汗をかいている。

「ひどい夢だったな」

そう自分以外誰もいない部屋でしゃべった。

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すると私のすぐ近くから

「ヒュー、ヒュー」

という音が聞こえた。

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@ttttti
初めまして!
読んで頂き、ありがとうございます。
もう少し細かい描写が書けるように頑張ります!

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自分が抱いた恐怖を他者に共感してもらうのは意外と難しいのですが…
怖かったです。

ラストは空耳だったのだと勝手に解釈させていただきます。

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