中編3
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人によってそれは悪夢

このお話に下品な表現が含まれます。

ご了承の上お読み頂けますと幸いです。

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今日はずっと楽しみにしていたアイドルグループのライブだ。

俺はこのグループをずっと応援し続けていた。

地下アイドルだった彼女達が今はこんなに大きなライブ会場で

たくさんのファンに囲まれて歌えるなんて・・・

俺はそれが誇らしくあり、もう自分だけが知っている彼女ではないという寂しさもある。

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さぁいよいよライブが始まる!

ここから彼女たちの伝説の1ページが始まるんだ。

サイリウムも持った、準備は万全だ。

だが、なぜだろう。

まだ彼女達が登場しない。

周りのファンのみんなもそれを感じたのだろう。

少しずつ戸惑うような声が聞こえ始めた。

そして場内にアナウンスが流れた。

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なんとメインボーカルのアミちゃんが喉の調子が悪く

思うように声が出せないらしい。

俺や周りのファンからも戸惑うような声が上がった。

当然心配でもあるが、じゃあライブはどうなるんだろうか。

このまま中止なのか?

彼女たちの伝説はここからなのに・・・

いや!だめだ、中止にさせる分けにはいかない。

そう考えた時だ

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「おまえが歌え!」

一緒にライブに来たファンクラブの人が俺にそういった。

「そうだ!おまえしかない!

 アミちゃんの代わりにお前が歌うんだ!」

最初は戸惑うような様子で見ていた人たちも

徐々に賛同するようになってきた。

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そうだ!

このライブは成功させなければならない!

なら俺が歌うしかないじゃないか!

俺は持っていたサイリウムをしまい、

壇上へ上がった。

衣装に身を包んだ彼女たちも俺にマイクを渡し応援してくれている。

「がんばってね!」

「大丈夫、あなたなら歌えるよ!」

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ありがとう!

そうさ、俺なら出来る。

曲が流れ始めた。

最初の曲は彼女たちの一番の思い出の曲。

よしやるぞ。

そう思ったときだ。

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「きゃぁーーーー!!!!」

なんだろう。

歓声とは少し違う。

これは悲鳴か?

「どうした!?」

「分からない、なんか奥から悲鳴みたいな」

彼女たちも戸惑っているようだ。

だめだ、ライトがまぶしく奥の方はほとんど見えない。

せっかくこのライブを楽しみしていた

ファンのお客さんがもうパニックのように

逃げ回っている。

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奥にいた何かが見えてきた。

それはライトに照らされて

姿を現した。

爛れた皮膚、頭髪もほとんど残っておらず、

頭蓋骨が見えている。

目玉は片方が落ちかけており、

その体は所々腐敗しているのか、

異臭がする。

そう

ゾンビだ。

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「くそ!なんでこんな大事な日にゾンビが出るんだ!!」

俺は叫んだ!

悔しかった。

彼女達がどれだけここまで上り詰めるのに

努力していたのかを一番理解していると自負している。

だからだろう。

恐怖はなかった。

今俺の感情はただ一つに支配されている。

怒りだ。

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「俺がゾンビを倒す!」

「そんな、危ないわ!逃げましょう!」

壇上にいた彼女たちは俺を心配してくれた。

「大丈夫だ、せっかくの日を汚しやがったあのゾンビ共を倒してやる!」

「そう、分かったわ、倒し方は分かっているのね?」

きっと俺の覚悟が伝わったんだろう。

彼女はそっと俺に人参を渡してくれた。

「あぁ、大丈夫だ。ちゃんとこの人参を奴らの尻にぶちこんでやる!」

「気をつけて!!」

俺は両手に人参を持ち、ゾンビの群れへ飛び込んでいった!!

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「な!怖いだろ!?」

俺は今大学の友人から昨日見た悪夢について聞かされている。

朝会ってからいきなり凄い怖い夢を見たんだと言ってきたから

どんな話だと思ったんだが・・・

「え・・?面白い夢の間違いじゃないの?」

「ちげーよ!!怖い夢だろ!?ゾンビ出てくるんだぜ!」

さっぱり分からない。

なんでボーカルが当日の土壇場で歌えないってなるの?

なんで当たり前のようにただの客で、しかも男のお前が歌うの?

なんでゾンビが出てくる?

なんでゾンビの弱点が尻に人参を入れることなの?

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言いたい事は山ほどがあるが、

目の前にいる友人は

「本当に怖かったんだ、あの恐怖は見た奴にしか分からない」

そう言ってた。

さて、1限の講義が始まるから移動しなきゃいけない

面白くない授業だったし、暇つぶしにもう少し

この自称悪夢について詳しく聞くとしよう。

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