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中編3
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笑う彼女

タイトル。「笑う彼女」

これは俺が大学4回生の時の話。

自分にはもったいないくらいの彼女がいた。

顔は特別美人とかではないんだが、お淑やかで優しい女の子。

それでいて自分を一途に想ってくれる大好きな彼女だった。

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そんな彼女とのデートの帰り道、近道ということでたまたま人気のない細い道を通ることがあった。

結構遅い時間だったと思う。

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すると先の方で怪しげな女?がおぼろげな足取りでふらふらしてた。

近づくにつれ女だとわかった。

髪は長くボサボサなんだけど、着てるものは特に変な感じではなかった。

だが明らかに普通ではない。

だが一方通行で通るしかない。

すると彼女がソレに気づいて怖がり始めた。

俺は彼女に大丈夫と去勢をはりながら手を強く繋いで早歩きで通ろうとした。

その時、どんな顔をしているのか見たくなって一瞬だけ俺は女の方を見た。

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女は足元おぼろげに顔を斜めにしながらニタアと笑いながらこっちを見ていた。

笑顔と呼ぶには醜悪すぎるものだった。

あの顔を今でも忘れることはできない。

一気に怖くなった俺は彼女を引っ張りながら変に相手を逆撫でしたらダメだと思い走らないで早歩きで細い道を抜けた。

その日は彼女が怖がるので家の近くまで送って、自分も無事にその日は帰ることができた。

ずっと女の顔が離れなかったんだが、元々オカルト的なものは信じなかったし、アレはどっかの精神病院から抜け出してきた病んでる女だと自分に言い聞かせて寝た。

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その日からだった。

俺の彼女が徐々に変わっていったのは。

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まず綺麗だった長髪が痛んでいった。

彼女になぜ?と聞いてもわからないと答えるばかり。

そしてとにかくよく笑うようになった。

ほんとなんでもないようなことでも。

それだけならただ明るくなって、むしろ良いことのように思うかもしれないが、笑い方も変わった。

前まではふふって感じで可愛い笑い方だったんだけど、 例の件からはふふふ…ひひひっみたいな感じだろうか。

文章だと伝えづらいけど、ふふふといつも通り笑ったあと、 酷く甲高い声で変な笑い方をするようになったんだ。

そして俺がかなり恐怖を感じたのが一緒に家でテレビを見てた時。

ニュースで殺人事件の報道があってへえ、怖いなあとか良いながら彼女の方を見た時があった。

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そしたら彼女が必死に笑いを堪えながら、かすかにひひっと漏らしていた。

今にも爆笑しそうな勢いだった。

流石に怖くなった俺は「なんで笑ってるんだよ!」と声を少し荒げて聞いたんだけど、真顔に戻ってわからないっていうだけだった。

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正直以降気味が悪くて、別れようか悩んだ。

だけど、彼女への想いは捨てることができない。

それに絶対例の件が関係してると思ったから正常に戻るまで待つことにした。

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そう決意したまま彼女の豹変を我慢しつつ生活していた。

ある日、俺が就活第一志望だった会社に落ちた。

大事なことなので当然のように彼女に報告した。

照れ隠しに携帯をいじりながら言った。

そんなんだ、本当に残念だったねと、本当に悲しそうに返って返事が返ってきた。

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例のおぞましい、嘲笑するような笑い声は聞こえない。

俺はホッとした。

さすがに俺の不幸には笑わないんだな。

これなら大丈夫だ、変わってしまったとこもあるけれど、彼女は俺の最愛の人だと強く思えた。

安心した俺は、悪い空気を変えるために彼女に別の話をふろうと彼女の顔をみた。

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彼女はニタァっとあの女と全く同じ醜悪な笑みで俺を見据えていた。

言葉はなかったが、とてもこの世のものとは思えない顔で。

ボサボサの髪で顔を斜めにしながらじっと俺を見据えていた。

俺は叫びながら部屋から飛び出した。

後日彼女にメールをするとこう返ってきた。

なにそれ?それよりなんでいきなり帰ったのよ、と。

あれはなんだったのだろう。

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余談だが今はその後いろいろやって元に戻った彼女と結婚している。

当時のことは全然覚えていないという。

だが、元に戻った彼女の笑顔を見ても、あの恐ろしい笑顔を思い出すことがある。

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