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異世界に行く方法を試してみた結果

中編5
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異世界に行く方法を試してみた結果

こんばんは。僕です。

今夜は、都市伝説にもなっている、異世界に行く方法を試してみたいと思います。

まず、用意するもの。10階以上のエレベーター。

これは、僕のマンションがちょうど10階以上なので、自宅マンションでやります。

まずエレベーターに乗ります。

注意すること、絶対に一人で乗ること。

ご覧の通り、僕以外は誰も乗っていません。

次にエレベーターに乗ったまま、4階、2階、6階、2階、10階と移動する。

この時点で、誰にも出会ってはいけない。

ただいま、午前2時でございます。

この時間帯にエレベーターに乗ってくる人は、まずいないでしょう。

そして、10階についたら、降りずに5階を押す。

5階に着いたら若い女の人が乗ってくる。

その人には話しかけないように。

乗ってきたら、1階を押す。

押したらエレベーターは1階に降りず、10階に上がっていきます。

上がっている途中に、違う階をおすと失敗します。

ただしやめるなら最後のチャンスらしいです。

9階を通り過ぎたら、ほぼ成功したといってもいいそうです。

では、これから、行きます。

まずは4階へ移動します。

はい、押しました。

いやあ、この時間って本当に静かですよね。

たぶん、真夜中にこんなアホなことをやっているのは僕だけかと。

はい、着きました。このまま降りずに、2階を押します。

はい、押しました。すぐです。あ、もう着きました。

次は6階です。はい、押しました。

何だか、ぐんとエレベーターの中が冷えてきた気がします。

気のせいでしょうか。

はい、6階に着きました。次は2階です。

押します。

ちょっとなんだかバカバカしくなってきました。

次は、いよいよ10階でございます。

はい、10をポチっと。

今のところ、誰とも出会っていません。

もしも、異世界に行くことに成功すれば、この携帯で、撮影してこようと思います。

うまく行きますように。

はい、10階です。

さて、ここで問題の5階のボタンを押します。

はい、押しました。本当に女の人が乗ってくるのでしょうか。

ドキドキしていますが、かわいい女性であることを望みます。

5階でございます。

うーん、当然のことかもしれませんが、ホールには人っ子ひとりいません。

女の子がこんな時間に乗ってくる自体あり得ない。

あっ、男の子です。男の子が乗って来そうです。

なんでこんな時間に。でも話しかけてはいけないルールなので無視します。

はい、1階を押します。

はい、男の子、去っていきました。

では、10のボタンを押します。

さてさて、僕は、異世界に行くことができるのでしょうか・・・。

いよいよ、エレベーターは上昇しています。

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いよいよです。緊張してまいりました。

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ついについに、着きました。

10階です。

(ピンポーン 10階です)

エレベーターのドアが開きました。

うわっ、なぜかフロアは真っ暗です。

ここは、もう異世界なんでしょうか。

エレベーターが去って行きました。

暗くて何も見えません。

ちょっと携帯の懐中電灯機能で照らしてみます。

うーん、エレベーター前のエントランスから構造上、まっすぐに部屋が並んでいるはずなんですが

ここにはエントランスしかありません。何だか真っ暗な箱の中のようです。

周りを照らしてみます。

側面です。

うわあっ!

「お兄さん、何してんの?」

こ、子供が・・・壁から生えてる?ウソッ!

「僕は生えてるわけじゃなくて、立ってるつもりなんだけど?」

物理的に、ありえない。壁に立つなんて。

ゆ、幽霊?

「うーん、それとも違うかな?」

ねえねえ、ここは異世界なの?

「うーん、違うかな?」

君は、誰?

「ずいぶん前にここに来たんだよ。」

いやいや、話がかみ合ってないんですけど。

「あ、お兄さん、エレベーター来たよ?」

あ、本当だ。エレベーター来た。

もしかして、もう一回あれに乗れば・・・って僕?

エレベーターに、僕乗ってるんですけどおおおお!

なんか、僕、ぶつぶつ言いながら、エレベーターのボタン押してるううう?

ぼ、僕が、二人?

「あのさ、お兄さん。言いにくいんだけど、お兄さん、異世界に行くの、失敗してるよ?」

な、なんだって?

「エレベーターに乗ってる、お兄さんが何よりの証拠でしょ?」

アレは本当に僕なのか?

「うん。たぶん、もう一回10階に戻ってくるよ。っていうか、永遠にこれを繰り返すの。」

う、嘘だ!僕は、もう元の世界には帰れないの?

「ってかさ、お兄さん、バグっちゃったんだよ。」

バ、バグ?

「そうそう。5階で本当は女の子が乗る予定だったのが、男の子が乗ってきちゃったでしょ?

あの時点で、もうバグっちゃったんだよ。」

ま、まさか!

ねえ、君!なんとか元の世界に戻れる方法はないの?

「うーん、これは、あまりおすすめできないんだけど。」

何でもいい!言ってくれ!

「えーとね、もう一人のお兄さんが、ずっとエレベーターの中で実況しながら、ボタン押してるでしょう?あのお兄さんに、こっちの存在を気付いてもらうことかな?」

そっか!わかったよ。

おおおおい!もう一人の自分!気付いてくれ!

お前の本体は、ここにあるんだ!

ああっ!下に行ってしまった。

ねえねえ、君、非常階段みたいなのは、この空間にはないの?

「残念ながら、元の世界に帰れるのは、そのエレベーターだけだよ、お兄さん。」

そうなんだ。よーし、もう一度、あのエレベーターが10階まで上がってきたら、ドアを叩いて気付いてもらうぞ。

よし、エレベーター来た。

ドンドンドン!

おーい、もう一人の僕!気付いてくれ!お前の本体はここだ!

あっ、気付いてくれた!

ドアが開くぞ。

そこの少年よ、ありがとう!助かったよ。

「うん、バイバイ、お兄さん。」

じゃあな、壁から生えた不思議な少年!

って、うわああああ、何をする!もう一人の僕!や、やめろおおおお!

「ああ、お兄さん、言い忘れたけど、バグは消される運命なんだよね。もう一人の自分に気付かれちゃうとね。」

少年は、悪意の笑顔でエレベーターを見送った。

「んで?異世界に行く実験は成功したのかよ。」

「ああ?異世界なんて、無かったよ。」

「本当だな。ただ、お前がエレベーターで遊んでるだけだな。この動画。」

「ああ、そうだな。」

「ってかさ、お前、何なの?その昭和の小学生みたいな格好は。」

Concrete
コメント怖い
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@ふたば 様
コメント怖いありがとうございます。
私も田舎住みなので、10階以上の建物ってほぼ市内には数えるほどしかありませんよ~w
ちょっとお高そうなマンションがギリ10階あるかどうかってところですかね。

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@あんみつ姫 様
そうでした。エレベーター祭り、私からでしたね。
あの頃、白い顔の方が私のオマージュを書くのにハマっていて、皆で面白がって悪ふ...もとい、盛り上がりましたね。懐かしい( = =) トオイメ

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@あんみつ姫 様
いえいえ、とんでもないです。
不快にさせたのかもと感じたのは私の方です。
みなさん、ここに怖い話を読みに来ているのに、私ときたらいつも、ふざけた話ばかり投稿してしまって、申し訳なく思います。
怖い話を書こう書こうとするのに、どんどん話が逸れていってしまうのですよ。
これはもう、病気ですねw

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あんみつ姫様…失礼しました。
しかし、これ以上の感想は見当たりませんでした。
(笑)

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