忠告その後のその後のその後

中編3
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忠告その後のその後のその後

わたしには

霊感のようなものがある

の、ようなものとは

はっきり何かが視えるわけでもなく

それが何かを確かめたこともないので

では、どう言うことかというと

こんな夢を見ることがある

会ったこともなく、見たこともない

そんな人が夢に出て来るのだ

気づいて…とか

寂しい…とか

その人たちが手を伸ばし、わたしもその手を握ろうと手を伸ばすと

その人たちは暗闇に引き込まれるようにして消えて行く

わたしはそこで目を覚ます

暗い部屋を、見渡しても何もない

ただ、ひんやりとしたもので部屋が包まれているのがわかる

わたしは

そっと手を合わし

わたしが持っていると思われる

優しさの感情

そんなものでゆっくりとその部屋の中を満たすように祈る

次第に部屋の張り詰めた感じが緩んでいくのがわかる

それがなんだと言われても

そう言うことがある、としか言いようがないのだけれど…

昨日見た夢は今までとは違った

わたしは激しく胸を打つ心臓の音を落ち着かせながらスマホを手に取った

慌てて電話を掛ける

出ない…

時間は夜中の2時

迷惑な電話であるのはわかっていた

電話をかけた相手

そう、夢に出て来たのはわたしの彼だった

…助けてくれ…

…助けてくれ…

口から泡を吹き

目を真っ赤に充血させ

…助けてくれ…

この言葉を繰り返し

こちらにいるわたしを何とか掴もうと手を伸ばしてきた

わたしも彼に手を伸ばし

その手に触れそうになった時に

彼の後ろにいるものに気がついた

髪が長く女に見えるそれは

片手に何かを握り

それを引いていた

それは紐のようで

その先は彼の首に巻き付くように繋がっていた

彼は後ろの女が闇に帰ると同時に

彼も闇に引き込まれ消えた…

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その後、彼に何度か電話したが繋がることはなかった

LINEも既読にならず

わたしは不安を抱えたまま朝を迎えていた

8時を過ぎたところでまだ朝早いとは思ったが

彼の実家に電話をしてみた

が、帰ってはいなかった

不安な気持ちが身体を駆け巡る

次に彼の会社に電話をした

彼の名前を告げると出社してないという

わたしは昨日の彼の行動を聞こうと

彼とわたしとの関係を伝えた

電話は若い女性から男性に代わり

「昨日ねえ、ある物件に出てから帰ってきていないんだよ」

と、決して心配している様子ではなく、

若槻君のせいで重要な書類が揃わないんだよ、と迷惑そうに言った

「君のところに連絡あったら、昨日の書類、すぐに会社に持って来るように言っといてよ」

と、まるでわたしにも責任があるように言うのだった

もし、連絡があったら伝えますと言い

最後にわたしは彼が向かった物件の住所を聞き電話を切った

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実家暮らしのわたしは母に調子が悪いからと

今日、会社を休むこと

それと病院に行くことを告げ

家を出た

でも、向かう先は病院ではない

改札を出て今朝教えてもらった物件へと急いだ

スマホで住所を探しながら足を速める

およそ、その近くまでは来ているはずだった

辺りを見渡すと

一際古い家が目に入る

あれかな…

上へと目をやると

カーテンのかかっていない窓が見えた

人が住んでいるのか

2つの人影が見えた

男のように見える方が何か紐のようなものに頭を通し

もう一方、髪の長い人影がその紐を引いていた

何か台にでも登ったのか

男の頭が一段高くなりこちらを向いた

嘘でしょ…

わたしはその家に向かって走り出した

こちらを向いたのは彼だった

それに、普通じゃない…

わたしは勢いよく家の扉を開けた

Concrete
コメント怖い
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これどうなっちゃうんですか?
先がすんごい気になります!

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