ストーカー殺人の終わらぬ恐怖

中編3
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ストーカー殺人の終わらぬ恐怖

数年前、日本中を震撼させたストーカー殺人があった…。

その事件は、某大学が舞台となった。

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たまたま同郷だったことが会話のきっかけとなり、新入学の男女が友人関係となったことが、事の発端だった。

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女子学生は美人で明るく優しく、誰からも好かれる性格で、とても友人が多かった。

彼女にとっては、その男子学生も、一人の友人でしかなかった。

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しかし、男子学生にとっては、単なる友人以上の感情が芽生えはじめていた。

そんなある時、彼女の何気ない気遣いを、特別な好意として受け止めてしまった彼は、それ以来、一方的に恋心を抱くようになり、その思いを日々募らせていった。

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もともと女性との付き合いには不慣れであった彼は、自分から語りかけていくようなこともなく、一方的な恋心を抱きながら、ただひたすら遠くから見つめることしかできなかった。

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彼の頭の中は、いついかなるときも、彼女のことでいっぱいだった。

しかし、その思いを伝える手段も勇気も持ち合わせない彼は、来る日も来る日も、ひたすら彼女を見つめ続けた。

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彼と頻繁に目が合うことに、はじめは「不意に誰かと目が合うのはよくあること」程度の

認識だった彼女。

が、いつしか、そのあまりにも多すぎる頻度を不気味に感じるようになり、恐怖すら感じるようになっていった。

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しかし、心の優しい彼女は、友人の一人である彼をストーカー扱いすることはできず、女友達に相談することもなく、ただひたすら、その恐怖の視線に耐え続けたのだった。

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結果的に、その優しさが仇(あだ)となった。

目線が合うたびに反らし続けることもかえって不自然と思った彼女は、何度かに一度は、微笑み返すようにしていた。

それが、彼の抱く「特別な感情」に拍車をかけてしまったのだ。

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そんなある日、彼女は、とある男子学生から交際を申し込まれた。

彼女は返事を保留することにしたが、告白の噂は瞬く間に大学校内を駆け巡り、当然、ストーカーの彼の耳にも、その噂が届くこととなった。

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自分の中に渦巻く行き場のない恋心と、彼女が誰かのものになってしまうかもしれないという恐怖…。

二つの思いが交錯してパニックになった彼は、自暴自棄の念に駆られた。

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そして、事件は起こった。

すでにストーカーと化していた彼は、学校内での彼女の行動パターンを熟知していた。

人気のない教室に一人でいるところを狙われ、犯行は一瞬だった。

背後から包丁で刺された彼女は、一撃で心臓にまで達する深い刺し傷を負い、ほぼ即死だった。

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男子学生は犯行後に逃亡。

一週間後、遺体で発見された。

人気のない山林で首を吊って自殺したらしいが、季節は真夏。

ロープに締め付けられ、鬱血した首もとから、急速に腐敗が始まったようで、発見されたときには、胴体と頭が分断されているという、壮絶な最期だった。

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事件はマスコミに大きく取り上げられ、一時は世間の関心を集めたが、犯人の学生が自殺したことによって、事件は終息。

報道もそれ以上の進展がみこめず、報道熱も急速に冷めていった。

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殺された彼女は今、先祖代々の墓に埋葬され、安らかな眠りについている…

・・・

・・

ハズだった。

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しかし、彼女は今もなお、ストーカーの終わらぬ恐怖にさいなまれ続けている。

彼女が眠る墓の後ろにある一本の桜の木。

その木の幹の陰から覗き込むような位置にある、とある墓石。

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そこには、犯人の学生の名前が刻まれている。

そもそも彼女と彼は、同郷だった。

そう、彼女は死後もなお、ストーカーの不気味な視線に脅かされ続けているのだ。

彼女の恐怖は永遠に終わることはない。

・・・

・・

Concrete
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