中編3
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トンネル

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就職をして暑い夏がやって来ました。

職場で出会った仲良し4人組は地元のファミレスに集まっていました。

偶然合った休み。自然と誰からともなく連絡を取り合い集まりました。

『ねぇ、カラオケ行かない?』

『ごめん、金欠だわ』

『じゃぁ何する?』

『暇すぎる…』

私達は自然と涼もうと怖い話をしていました。

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『ヤバッ(;゜∇゜)』

『怖いわ~~』

『あ、ねぇねぇねぇあたしこの前彼氏と心霊スポット行ってきたんだよね』

4人の中でも最年長の美人な先輩が突然話始めました。

『古い化けトンなんだけど雰囲気があってマジで怖かったんだよねぇ』

『あ、これから行かない?』

絶対にそんな話になると思いました。

私は霊感があるので心霊スポットに行くのに抵抗があり何度か誘われてはいましたがずっと断り続けていました。

『稲荷ちゃんはどうする?』

『え、まさか行くよね?』

『昼間だし大丈夫大丈夫♪』

私は縦に首を振るしかありませんでした。

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車はその心霊スポットに行った事のある先輩が出してくれました。

先輩は高級外車に乗っていてはしゃいでいましたが私は何だか嫌な気分しかしなくてなかなかテンションが上がりませんでした。

山道を登り、私達の目の前に現れたのは広い駐車場でした。何台か車も止まっていてハイキングをする格好をした人が何人か居たので安心しました。

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そこはそこまで高くない山でハイキングコースが

ありました。

それと共に心霊スポットとしても有名で山の中にトンネルがあるというのです。

私達はそこに車を止め私達は歩き出しました。

既に行った事のある先輩はすいすい歩いていきます。

歩いている途中私はふと“あるモノ”を感じました。

『待って!!』

私は友達に叫びました。

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『どうしたの?』

『ちょっ…と待ってよ!!!』

私は道から外れ草むらを歩き出しました。

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『稲荷ちゃんどうしたの?』

『待ってよ!!』

『声が聞こえるの!!』

『声?』

『悲鳴みたいな…』

目の前に現れたのは古い井戸。

先輩は何故か驚いたような顔をしていました。

『実は…さ、スマホで彼氏と心霊スポットを探している時此所の事が出ていてさ、少し説明書きみたいなものが書いてあったの。この山には全部で4つの井戸があって全部の井戸を探し当てちゃうと死んじゃうって。』

『ま、まぁ…それはそうとしてなんで悲鳴だったんだろう?稲荷ちゃん何か見える?』

『強姦されてる』

私の目の前では今正にひとりの若い女性が強姦をされ井戸に投げ込まれる所だったのです。

悲鳴は井戸に落ちる瞬間の声で私は気持ち悪くなり元の道へと引き返しました。

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そこから少し歩いた所にトンネルがありました。

『ここかぁ…』

着いたはいいが4人ともビビってしまい誰ひとりとしてトンネルの前へ行こうとしない。

『み…んなで手を繋いで…行こう?』

そして4人は手を繋ぎ目を瞑ってトンネルの前へ立ちました。トンネルからは生暖かいような何とも気持ち悪い風が吹いてきました。

『せーのっ!!』

先輩の掛け声と共に目を開けました。

『意外と短いトンネルなんだね』

『確かに』

出口は直ぐ見える所にあって確かにトンネルの周りは薄暗く雰囲気はあるものの私達は素直にその場を離れ駐車場に戻って来ました。

そして近くにあるコンビニに停車しました。

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すると4人の中のひとりが口を開きました。

『私…見ちゃったかも…』

『え?』

『たぶん男の人と子供…』

『実は…私もそれっぽいもの…見たかも』

全員同じ“モノ”を見ていたのです。

その後私達は無言で帰路につきました。

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一体私達が見たものはなんだったのでしょうか?

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