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中編3
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ピエロ人形

学校からの帰り道。それはいつもの風景に溶け込むようにして、ひょっこりと私の目の前に現れた。

近くにこんなお店があっただなんて初めて知った。見た感じはアンティークショップのような古い洋風な佇まいだ。

なぜかキョロキョロと辺りを見回してから、私は店のドアを押した。

入ってみると中は思った通りアンティークな品々で溢れていた。普段は映画かなんかでしか見ないようなオシャレな調度品たちが整然と並んでいる。私は否が応にもその品々たちに目を奪われた。

ふと、人っ気がない事に気づいて、何気なく店の中を大きく見渡してみると、ふと、奥の方で何かが動いた気がした。

店の人かなとそちらへ向かって歩こうとしたとき、全く反対側から強い視線を感じて立ち止まった。振り返ってみるとそこに人はおらず、代わりに椅子の上に座る一体の人形と目が合った。

強い視線の主は間違いなくこの人形だと感じた。奇抜な服装に赤く丸い形のした鼻の人形。

これは、ピエロ…かしら?

こちらを見るピエロ人形の瞳は、まるで私に何かを話しかけてくるようだった。

普通に見れば子供が喜びそうな可愛らしい人形なのだが、見れば見るほど背中に冷や水をかけられたような寒気がする。私は気分が悪くなって思わずその人形から目をそらしてしまった。

その夜、学校で一番仲の良い友達に電話で今日見つけたお店の話をすると、思った通りめちゃくちゃ食いついてきた。

明日の学校帰りに一緒に行こうねと約束してから電話を切ったのだが、私はその夜から原因不明の高熱で魘される事になった。

もちろん学校は大事を取って欠席をしたのだが、問題は三日後に復帰した際に電話で話したあの友達が行方不明になっていた事だ。

聞けば、二日前の学校の帰り道から消息を絶っているらしい。警察はもちろん、興信所までもが動いて懸命に探しているそうだが、未だ彼女の足取りは掴めていないという。

それから一週間経ち、二週間が経ち、ついに彼女が行方不明になってからもう一カ月が過ぎてしまった。

誰もが彼女の生存を諦めかけたその頃、私の夢に変なものが現れた。

それは薄暗い部屋にピエロの格好をした人物が立っている夢。私は正面からそれを見ているのだが、なぜか顔はどんなに近付こうともモヤがかかったようにボヤけて見えないのだ。

ただ、それだけの夢だったのに朝起きると全身にべっとりと嫌な汗をかいていて、起きても尚、夢の中のあのリアルな映像がとてつもなく私を不安にさせた。

「もしかして、あの子一人であのお店に行ったのかしら?」

私があの時に見つけたアンティークショップ。あれ以来、どんなに探しても見つからないアンティークショップ。

ふと、その中で不気味な視線を私に向けていたあのピエロ人形が脳にフラッシュバックした。

さっき起きた時に感じた途轍もない不安感は、あの人形を見た時に感じたものとそっくりだ。もしかするとあのピエロは、いやあの店は、彼女を連れたままどこかへ消え去ってしまったのだろうか?

私の嫌な予感が当たりませんように。

しかし、あれから更に三年も過ぎてしまった今となっては、真相は暗い闇の中だ。

Concrete
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ラグト先生、お褒めのお言葉をベリーサンクスです。
しかし、読み返してみるとやはりまだまだ恐怖が足りない。青二才のロビンミッシェルです…ひ…

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