地元の友人から聞いた話。
今から百年近く前、和歌山の市鹿野という山あいの地域での話。
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地元の人が「ぢげ山」と呼ぶ山の中腹で、山仕事をしている人達が弁当を食べていると、
麓の方で5、6歳くらいの可愛いらしい女の子がこちらを見上げてニヤニヤ笑っている。
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「丸太を落とすから危ないぞ」と声をかけても、いつまでも笑っているので、
連中はしまいに腹を立て、本当に丸太を投げ落とした。
しかし、大きな丸太を何本か落としても少女は平然としており、ニタニタ嫌な笑みを浮かべたままこちらを見ていた。
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流石に連中もこれはおかしいと気付き、
「さては、ガシランボが化けとるに違いない」
と言い出す者までいた。
遂には薄気味悪くなって山から逃げ帰ってきたそうだ。
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それからも、付近の山では同じような少女が現れることが時々あったという。
ガシランボの本当の姿はよく知られていないが、長い一本足だと言われているそうだ。
作者岩坂トオル