「お前さ、ズルしただろ。そういうの俺、許せないんだよね」
「た、助けて。そんなつもりなかったんだ」
「いや、ぜってー許さない。だって、お前、ズルしたんだから」
「た、確かにそれは認める。だけど、結局あんたの損にはならなかったじゃないか。だ、だから許してくれ」
「もう、結果とかじゃないんだよね。俺に対してズルをした。それだけで、万死に値する」
「うっあああ、やめて、やめてくれ。うああっ、い、痛い、や、やめて」
「汚いなあ、よだれ飛ばすなよ。ってか、すっげえこんなに長く糸ひくよだれ初めて見る。ははは」
「や、や、めて、くださ、い。たすけ、て、ください」
「やなこった。ははは、お前、尻尾おっ立てた犬みたいになってんぞ。ほんとは嬉しいんだろ。ほら尻尾振れよ。俺が振ってやろうか。ほれ、ほれ」
「うぎゃああ、痛いーーっ。やめ、やめ、う、動かさないで」
「なんだよ。弱っちいな。弱い犬はさ、尻尾下げとくもんだぜ、っと」
「うぎゃあああああ」
「マジ、すっげえよだれ。ほんとは、お前気持ちいいんじゃないの? ははは、キモイんだけど」
「も、う、や、やめてくだ、さい。すみま、せんでした。他のこと、何でも、しますから。これ、は、もうやめてくださ、い」
「やだね。やめるつもりない」
「う、うっうっううー」
「なに? 人間様みたいに泣いてんの? 犬はさ、クーンクーンって鳴くんだぜ。ほら、尻尾下げて鳴けよ。もっかい下げてやるからさ。ほら」
「うっがああっ。クーン、クーン。おねがい、やめ――」
「あーあ、情けないなあ。ズルしてさ、俺を出し抜こうって考えんならさ、もっと根性だせってーの。鉄パイプ、ケツの穴に突っ込まれてもひいひい喜ぶぐらいの見栄張れよ。どうしようもねえクソ野郎だな」
「はい、クソ、やろう、です。だから、もうやめて、ください。そ、それ、抜いて、ください」
「は? これ抜けって? お前、俺にクソ野郎のクソの臭い嗅がせようってーの? あーーーっもうマジで許せねえ。おらっ、おらっ、おらっっ」
「うぎゃあああああああっ――」
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猛暑日が続いた夏の日、放置されたままのゴミコンテナの中で男の死体が発見された。
死体の腐敗は進み、顔や身体的な特徴からの身元が判別しにくい状況にあった。もちろん、身元が分かるものも一切身に着けておらず、殺人死体遺棄事件として捜査本部が設置された。
検死結果で、男の体内に一本の鉄パイプが埋め込まれているのが判明、猟奇的殺人として世間は騒いだが、これはちょっとズルをした結果であり、被害者が必死に命乞いをしたのは誰も知らない。
作者shibro
いつもありがとうございますm(_ _)m
またわけのわからないもの書いてすみません。
奈加様のコメント返信にて解説(対して意味のないものですが)してますので、よかったら読んでください。