極端な寂しがり屋の私は寝るとき、いつもラジオをつけっぱなしで布団に潜り込む。
その日の夜もいつもの通り、枕元に置いているラジオのスイッチを入れ、電気を消した後、
布団に入りました。
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私は十階建てマンションの最上階に一人暮らしをしていて、室内はとても静かです。
暗闇の中、いつものDJの声だけが聞こえてきています。
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─どうも!寒さが超苦手なショウタです。
とにかく、最近の寒さは尋常じゃないね。このスタジオビル辺りも、朝から雪が降っていて、僕がスタジオ入りするころは、かなり吹雪いてきているんだけど、さて、みんなの住んでいるところはどうなのかな?
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私の住んでいるところは、夕方くらいからチラチラと雪が舞い始めています。駅からマンションまでの仕事からの帰り道、二回ほど滑って転びそうになりました。
睡魔に襲われた私は心の中で呟きながら、目を閉じました。
……
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……
何とも言えない不気味な不安らしきものを感じた私は、目を開けました。
ふと、枕元のデジタル時計に目をやります。
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「2:22」
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ん?ぞろ目か……なんか、いやな予感がするなあ。
私はどちらかというと、悲観主義者です。いつもと違う変わったことが起こった時、何か良くないことが起こるのではないか?と考えるタイプです。
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DJショウタの声が聞こえてくる。
─そう、そんなことあるよねえ。僕もたまにあるんだけど、この現象。
ただね、これ、心霊好きの友達に聞いたんだけど、続いちゃうと恐ろしいことが起こるらしいんだよね。
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─恐ろしいことって、一体何なんですか?
ゲストだろうか。女性の声も聞こえてくる。
─さっき、「2:22」だったでしょう。まあ偶然に、このタイミングで見ることはあるんだけど、この後、「3:33」、そして、「4:44」まで見ちゃうと、ヤバイ!
─ヤバイ?
─そう、ヤバイことが起こるらしいんだよ
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今まさにその現象に遭遇している私は、ショウタの言っていることがとても気になったのですが、翌日も仕事なので、ラジオのスイッチを消して、再び布団の中に潜り込みました。
……
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……
ようやく微睡みだしたころです。
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shake
─ガタ、ガタ……ガタ……ガタ、ガタ……
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外が吹雪いているのか、窓が揺れる音で、私はまた、目を覚ましました。
反射的に時計に目をやります。
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「3:33!」
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え?また、ぞろ目?
DJショウタの言っていたことを思い出しました。
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─さっき、「2:22」だったでしょう。まあ偶然に、このタイミングで見ることはあるんだけど、この後、「3:33」、そして、「4:44」まで見ちゃうと、ヤバイ!
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ヤバイ?……ヤバイって、何がヤバイの?
途中でラジオを消してしまったので、分かりません。いろいろと想像を巡らせていたのですが、埒が明かず私は再びウトウトし出し、漆黒の闇の世界の中に溶け込んでいきました。
……
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……
強烈な尿意でまた目が覚めた私は、恐る恐る時計に目をやります。
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「4:44!!」
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え!何で?こんなことって、あるの?
全身を言い知れぬ恐怖が襲います。こうなると、このまま日が昇るまで布団の中にいたいのですが、尿意には勝てず、渋々起き上がると、ベッドから降りてスリッパを履きます。
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トイレを終えて、洗面所で手を洗っているときでした。
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shake
─ドン!ドン!ドン!ドン!……ドン!ドン!……
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物凄い勢いで誰かが玄関のドアを叩く音が聞こえてきます。
私は洗面所のドアを少し開け、頭一つ出すと、廊下の突き当りにある玄関の方を見ました。
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shake
─ドン!ドン!ドン!ドン!……ドン!ドン!……
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こんな時間に、いったい誰なんだろう?もしかして、いたずら?
私は音をたてないようにソロソロ廊下を歩き、玄関の前に立つと、大きく一つ深呼吸をして、恐々のぞき穴に目を近づけます。
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後編に続きます。
作者ねこじろう
後編はこちらです。
http://kowabana.jp/stories/30517