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短編2
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鹿

全く怖くない話

今から数十年前、十人で山のへキャンプしに行った

山に入る前、何頭か鹿を見た

都会の私にとって、山や鹿は新鮮だった

「わー!鹿だ!」

動物園で見るより勇ましいその姿に驚いた

鹿は何も言わず、私を無視して木々の中へ走っていった

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shake

_____ダーンッ!

森に乾いた銃声が響いた

「え?銃声?」

「あれは森の人がいのししを射つ音だよ」

「え…いのししがかわいそう」

「可哀想なもんか!あいつらは畑の作物を荒らしてる害獣なんだ!」

山の出身の彼は、いのししを害としていた

「あ、鹿だ!」

「鹿も害だけどな」

嘘だ、あんなに美しい動物が害なわけがない

小屋から見える鹿が悲しい眼でこちらを見つめているような気がして、そこで話を切った

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夜、みんなでわいわいと薪を燃やしてBBQを楽しんでいた

私が紙皿などを配っていると、とてもいい匂いがしてきた

「何焼いてるの?」

「肉だよ、さっき森歩いていたら近くでテント張ってる人に会ってさ、貰ったんだよね」

「え?ちゃんとしたやつだよね?」

「うん、その人も焼いて食べてた」

へぇ、と準備ができた後、皆で食べ始めた

持ってきた肉とは違うものを箸でひとつつかんで口へ運んだ

今まで食べたことのない味が口に広がる

「うわ、美味しいぃ~!!」

みんなも美味しい美味しいと次々に箸をつける

「旨いね」

「脂肪が少ないね」

「貰って正解だったね」

だが、私はこれが何の肉なのかが気になっていた

隣で美味を堪能する人に尋ねた

「あの、これなんの肉ですか?」

「あ、鹿だよ」

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