夏の間、アリたちは、冬の食料を蓄えるため働き続けていた。
その間、キリギリスはと言えば、バイオリンを弾き、歌を歌って過ごしていた。
「アリくんたち、そんなにあくせくして働いてばかりじゃ、人生楽しくないだろう?今を楽しまなくちゃ。」
そう言って、アリを馬鹿にしていたキリギリスも、冬が来て、食べ物を探すが見つからない。
そこで、キリギリスは、あれほど夏の間に働き続けるアリを馬鹿にしたにもかかわらず、アリ達に乞い、食べ物を分けてもらおうとした。
「おとうさん、そんな怠け者のキリギリスに食べ物なんて分けてあげる必要なんてないわよ。」
「そうだよ、おとうさん。僕達の食べるものがなくなってしまうよ。」
「まあ、いいじゃないか、お前達。さあさあ、外は寒かっただろう?キリギリスくん。中にお入り。」
「ありがとう!アリくん!」
バタンとドアを閉めて鍵をかけると、アリのおとうさんは言った。
「さあ、家族達、今日はご馳走だ。」
そう言いながら、大きなアゴを鳴らしたのだ。
作者よもつひらさか