「桜国」
ちょっと前までは王様がころころ変わっていたけど、ここ最近は王様が定着して国民の生活も安定しているの。
ほとんどの国民は王様が大好きなの。
でも、やっぱり一部の人が王様を好きじゃないみたい。
特にモーニングさんは王様が大っ嫌い。あることないこと言って王様を辞めさせたいんだって。
その為には何でもするの。
一年前にはね。モーニングさんの手下である「パインオリジナル」にどんなことをしてでも王様を陥れて。って命令したの。
パインオリジナルは王様からスキャンダルが出てこないのは分かっていたから、お城の宝物庫の管理人「ハッピーライスフィールド」に狙いを付けたわ。
ハッピーライスフィールドは女好きで有名。だから、パインオリジナル団員の女に話を聞きに行かせればイチコロよ。上手く王様のスキャンダルを聞き出せるかもしれない。
あっ!あの子がいいわね。
「ゴーちゃん。ちょっといいかしら?」
「はい!」
「あのね。ハッピーライスフィールドに話を聞きに行ってほしいの。」
「話を聞きに行ってどうするんですか?」
「王様の情報を聞いてほしいの。桜国の為に。・・・やってくれるわね?期待してるわよ。」
「はい!頑張ります!」
パインオリジナル先輩が期待してくれている。是が非でも頑張らないと!
「ハッピーライスフィールドさん。こんにちは!お話を聞かせて頂きたいんですが・・・。」
「今は忙しいんだよな・・・。」
「でしたら、仕事終わった後にでも・・・。お店はこっちが選んで、お金も払いますから!」
「それだったらいいよ。」
やった!話が聞ける!
・・・あーあ、今日は何も聞き出せなかったな。私の聞き方が悪いのかな?パインオリジナル先輩に相談してみよう・・・。
「パインオリジナル先輩。ハッピーライスフィールドさんは何も話してくれません。」
「ゴーちゃん。ちょっとずつでいいの。ちょっとずつ、あなたの武器を使って相手から話を聞き出して。」
私の武器を使って・・・?
「今日はわざわざ来て頂いてありがとうございます。ハッピーライスフィールドさんに会いたかった。」
・・・ここ数か月でかなり会ってるし、私に会いたかった。って言ってるし、ゴーちゃんは私のことが好きなのかな?試してみよう。
「私もゴーちゃんに会いたかった。」
「うふふ。本当に?」
「うん。好きになっちゃった。キスしてもいい?」
「ダメですよ。でも、キスしたい相手に情報をあげたいと思いません?」
・・・あーあ、今日も何も聞き出せなかった。
「ゴーちゃん!」
「あっ!パインオリジナル先輩!」
「あれから数か月経ってるけど、ちょっとは聞き出せた?」
「いえ・・・。まだ・・・。」
「まだ何も聞き出せていないの!?今まで何してたの?あなたって給料泥棒なの?」
(えっ?私、こんなに頑張っているのに・・・。)
「私はハッピーライスフィールドさんから嫌なことを言われても耐えて頑張ってます!」
「嫌なことなんか言われて当然よ!そんなの気にせずに・・・というより、それも利用して聞き出して!」
「はい・・・。」
(もうちょっと頑張らないと・・・。)
(頑張らないと・・・。)
(頑張ら・・・。)
(が・・・。)
・・・それから数か月。
【ハッピーライスフィールドが女性に嫌がらせ!】
「えっ?何これ?何なの?まさか、ゴーちゃんのことじゃないわよね?」
「パインオリジナル!ちょっといいか?今。話題になっているのはお前の団員のゴーのことだ。」
「えっ?なんで?」
「とにかく色々な人が話しているから、隠し切れん。仕方ないからゴーのために隠していたことにするぞ。」
「はい・・・。」
・・・王様嫌いな国民の一部
「王様のお城で雇っていたやつじゃないか!これは王様の責任だ!」
「少なくともハッピーライスフィールドを直接部下に持つ王様の右腕のヘンプボーンを辞めさせろ!」
・・・モーニングさんの部下
「いや、私たちとしては問題が出た後にきちんと対応したので”ギリギリセーフ”です。」
・・・ほとんどの国民
「モーニングさんが女好きのハッピーライスフィールドに女性一人に話を聞きに行かせたことが問題。」
「ゴーさんはモーニングさんのパインオリジナルに相談したって話だろ?放置している方が悪いよ。」
・・・モーニングさん
「私たちは正しいことをしているのであって、批判に値しない。もし、少し私たちに対応に問題があったとしても、この国の王様の本性を暴くためには仕方ないことでは?王様が一番悪いのだから!」
「悪い王様を辞めさせたいというのは国民の願いでしょう!その為には嘘でもなんでも言いますよ。それが桜国の為ですから。」
・・・王様嫌いな一部の国民
「そうだ!モーニングさんが悪いはずがない!モーニングさんが倒れてしまわないように俺たちが頑張ろう!」
・・・100年後
「ああ100年前にモーニングさんを倒しておけば・・・。モーニングさんの言うことを信じた世界と一部の国民のせいで、桜国は他の国から嫌われ、軍隊を送られ、反撃出来ずに、ほとんどが滅んでしまった・・・。」
「あんなに美しい国だったのに・・・。」
作者寅さん
この話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。