小学校四年の頃。
教室に置いてあった本の中に学校の怪談系の本が置いてあり、俺はよくそれを読んでいた。
内容としては二宮金次郎像が歩いたとかベートーヴェンの肖像画が動くとかメジャー所が書いてある物だった。
ある時、友達二人と自分たちで本に書いてある事と同じ事をやってみようとなった。
やってみたのはこれまたメジャー所の「花子さん」
やり方は1階のトイレ奥から2番目のトイレの前で三回ぐるぐる回って扉をノックしたら「花子さん」と名前を呼ぶ。
呼んだら次は3階のトイレで同じ事をする。そうすると2階にある2年2組の教室の真ん中に赤い服を着た女の子がいる、それが花子さんというもの。
このやり方は2階に2年生の教室がなければ出来ないが家の学校は都合よく2階に2年2組の教室があった。だからこそ花子さんをやろうとなった。
昼休み。実行役は俺になった。
皆で1階のトイレに行き、本に書かれていた通り奥から2番目のトイレの前で3回ぐるぐる回って扉をノック。「花子さーーーん」と名前を呼んだ。
その後3階のトイレで同じ事をした。
後は教室に花子さんいるかどうか確認するだけ。
友達も俺も期待はしてたが所詮はそんなもの出てくるわけない。そう思ってた。
ダッシュで2年2組の教室に到着し、中を見て俺達は固まった。
昼休みの楽しい友達とのお喋り。
それを楽しんでいる生徒達がたくさんいる中で
教室真ん中
向こう側を向いた赤い服の女の子が一人立っていた
その教室は明らかに様子がおかしい。
周りの生徒は普通に友達とお喋りしているのだが赤い服の女の子は誰とも話すことなす一人で下を向いて立っている。
赤い服の女の子の回りだけ人がいない。
蜘蛛の子を散らしたように人がいない。
まるで周りの生徒はその子が見えていないかのようだった。
俺達は叫び声を上げて自分達の教室に戻った。
本当に出てくるなんて思わなかった。とにかく逃げなきゃ。それだけで頭がいっぱいだった。
教室に戻った後、皆で女の子がいたことを確認し合った。皆見ていた。
「もう一回見に行こう」友達が言った。
恐かったが皆でもう一度見に行くことに。
だけどそれは叶わなかった。
トイレにはトイレ用のスリップがあり、入る時は履き替えなければいけなかったが俺達はそれをしてなかった。
それを見ていた低学年にチクられた。
先生に呼び出されて廊下に立たされて怒られた。
作者カスタネット