中編5
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仁木くん EP4

僕は大学に仁木くんと言う友達がいる。

仁木くんは霊感はあるが、特に霊能力は持っていないと言っている。しかしコミュ力が高く、そんな話が広がっても友人は多くいた。

ある日いつもの様に仁木くんの所に相談が来た。

と言いたいが、今回は仁木くんが僕の家に来た。

夕方、昼寝を終え寝ぼけ眼のまま、ダラダラとゲームをしていると電話が鳴った。

僕は「もしもし」と言うと、仁木くんに今すぐ2泊できるように荷物まとめて下に来てと言われた。

家の下から会話している声が聞こえる。「明くんじゃないか!」と大家さんが言ったことだけはハッキリ聞こえた。(なぜ住んでいる僕より、仁木くんの方が大家さんと仲がいいんだ?)と思いつつも支度を整える。

リュックサックには2泊分の生活品を、ショルダーには何時もの探検セットを入れ、僕は下へ降りていった。

別に旅行する訳じゃない。車で行ける距離の心霊スポットに連日行くだけだ。

しかし、家にいちいち帰るのは面倒と考え、夜に出て、朝方帰り、仁木くんの家で寝て、また夜に出かけるのだ。

大家さんに挨拶をし、僕は原くんの車に乗った。

僕は仁木くんに「明日、明後日の授業はどうするの?」と分かりきっている答えを聞いた。

仁木くんは「サボるに決まってんじゃん!」と悪びれる様子もなく言った。

僕は(なんてクズな大学生なんだ。)と思いつつも「ははっ」と笑った。

行先はとあるトンネルだ。

仁木くんの下手くそな運転に揺られながら、目的地へと向かった。

目的地へ着くと、大学生のグループが来ていた。2組のカップルだ。

僕らは彼らとそこで、様々な心霊スポットの情報等を共有し仲良くなった。

と思っていた。

本命である次のトンネルへ行った時、問題が起こった。

どうやら、僕らは彼らが自分の彼女の前で格好つけるための口実にされてしまったらしい。

その目的にはトンネルが二つあり、トンネルの先にさらにトンネルがある。

そこのトンネルは危険すぎて厳重に封鎖されている。

僕らは彼らを信頼し、安心しきっていた為、武器をスタンガンしか持ってこなかった。柄物は長いからね。

しかし、2つ目のトンネルの前で事件は起こった。いきなり「お前ら2人ちょっと入ってこいよ!経験者何だろ?」と言われそこから少しずつ彼らの口調はキツくなった。

仁木くんは「冗談じゃない!」「腰抜けでケッコー!でも行かないからな!」とかなり怒っていた。しかし、向こうは金属バットも持っている。

今にも仁木くんを殴りそうだったので、僕は「わかった!わかったから、とりあえず暴力沙汰はお互いにまずい。僕らも面倒に巻き込まれると今後色々と困る」と止めに入った。

しかし「はっ!」と鼻で笑われながら僕は突き飛ばされた。

仁木くんの目付きが変わった。

仁木くんは「いいよ。行ってくるよ。」と言い、僕を連れて柵を乗り越えた。

柵を乗り越えると、仁木くんは「女の前でカッコつけたつもりかもしれないけど、ここを超えられない時点でだっせぇからな!」と捨て台詞を吐いて中へと進んだ。

僕は特に普通のトンネルにしか感じられなかった。強いて言うなら、かび臭いのとゴミが散乱していた。

トンネルの奥へ進むと岩崩れが起きており先へと進めなかった。

しかし、仁木くんは「この岩どっかから運んできたなぁ。元からここにあるやつじゃないね。誰かがこの先へ行けないようにしたんだな。」と言い戻ることにした。

仁木くんが歩き始めてると「待って」と声が聞こえた。

僕は「いや仁木くんが待ってよ!」と言った。

仁木くんは、は?何こいつ?と言った様な顔をすると、同時に徐々に苦笑いへと変わった。

(あーやってしまったんだな)と僕は思った。

それからトンネルを抜けるまでとにかく最悪だった。

ずっと僕に話しかける声と歩く度に身体が重く怠くなってきてる。

仁木くんは「頑張れ、ここ踏ん張ればなんとかなる。」と言っていた。

しかし仁木くんはニタニタと笑いながら、僕には聞こえない程の小声で何かを話してる。

しかし僕の身体はどんどん重くなり歩くも辛かった。遂に柵が見えた。

しかし、柵に手をかけると僕は身体中が痙攣し始めた。

笑いながら、グループが近づいてきた。

仁木くんは僕の肩にめいいっぱい力を入れた後柵の隙間から手を出し、グループの1人の肩を思いっきり掴んだ。

その時小声で「良縁を」と言う声が聞こえた気がした。

そして「飛ぶからどけ!」と言い、突き飛ばす様に手を離した。

しかし仁木くんが僕の肩を掴んでから、僕は既に痙攣が止まっていた。

しかし仁木くんが僕を揺らし痙攣させているように見せている。

グループの4人もポカーンと口を開けたままそこに立っていた。

僕を担ぎ逃げる様に手前のトンネルに入った。

仁木くんはトンネルに入ると、僕を下ろし「走るぞ!」と言った。

そして僕らは車へと乗り込んだ。

仁木くんは大爆笑をしながら、車を発進させた。

しかし僕には、仁木くんの行動に疑問を思った。帰りに、彼らの車に石の1つでも投げると考えていたためだ。

仁木くんの家に着くと、僕は答えを求めた。

仁木くんは「まず一番に俺があの奥に入りたくなかった理由は、やばい霊がうじゃうじゃいるから」と言った。

僕は黙るしかなかった。

仁木くんは「でもラッキーだったのはあの先がちゃんと岩で塞いであったことかな?まあ何人か抜けちゃってたんだけどね。で1人がタキちゃんに憑いて来ちゃっだんだよ。アレ多分なぁ無理やり行かせられたんだよなぁ、あの場所に。タキちゃんと同じで仕方なかったんだよ。やっぱさ切なさもあるけど怒りのが縁ってやつは強いんだよねぇ」と続けた。

仁木くんは「まぁ、タキちゃんの家に行けば逆に大丈夫だったりしそうだけど、」と笑って言ってきたが、(僕の家ってそんな機能あるの?)と不思議な気持ちになった。

そして仁木くんは「まぁでもね。復讐はちゃんとしたから」と言ってその日は寝た。

後日、大学の友人に「お前明と○○トンネル行ったってマジ!?」と聞かれた。

僕は「あー行ったね。行ったけど前までだよ。てか厳密には1つ目のトンネル超えた所までは行ったんだけど、ヤンチーの溜まり場でさw流石にバレないように引き返したよ!」と咄嗟に嘘をついた。

友人は「まじかぁ。ヤンチーwいなきゃ行ってみたかったなぁw」と笑いながら言った後、

友人は「そういえば、それって何時?」と真剣な顔で聞いてきた。

僕は「○月×日だよ」とそこは嘘をつかずに言ってしまった。

友人は「あーじゃーそのヤンキーのせいかもなぁ。」と言った。

僕は「どういう事?」と聞いた。

友人は「いやね。同じ日にそこへ行ったグループがデカい事故起こしてさ、骨折したりと重症らしいよ」と言った。

友人は続けて「まぁ、大したことないって言ったら変だけど、怪我は治るから大したことないんだが、1人は精神を病んじゃってさぁ、ずっと声が聞こえるとか、着いてくんな!って奇声を上げてるらしいよ。ヤンキーをからかって追い回されたトラウマかなんかか?」と推理を交えながら言っていた。

良縁で良きこと。

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