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中編6
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殺人機 episode0

西暦2037年、ワタシは造られた。

Z07-XY(通称ゼット)それがワタシの名前だ。

「良いかゼット。プログラムの確認だ。」

目の前にいる白髪の男がワタシを造った阿形博士。

博士が続ける。

「ゼット、お前の使命は?」

博士の質問に応える。

「人を殺すことです」

「そうだ、良いぞ!お前は殺人マシーンだ。

感情を持たず、痛みも感じない最強の人型兵器。

七体目でようやく完成した最高傑作だ!」興奮気味に笑顔で話していた。

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「さあ、使命を果たす時だ。」

博士から武器を渡された。

刃渡り30cmのサバイバルナイフ二本。

切れ味の鋭い日本刀。

旧世代の3Dプリンター等を活用し博士か自作したハンドガン二丁。

(昔は3Dプリンターで何でも作れたが、その精度の高さから様々なコピー商品や武器製造が問題となり、現在は使用が規制されている)

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この日の為にシミュレーションを重ね、ナイフ・刀・銃の扱いや格闘技をマスターした。

博士の施設から何処かの駅に連れて行かれた。

「行き先は原宿だ。沢山の人間を殺せ」

「ハイ、博士」

「あぁ…そうだ、これを着けていけ。」

サングラスを渡された。小型カメラとマイクが埋め込まれているのだと言った。

ゴルフバックに凶器を詰めこみ、電車で原宿に向かう。

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原宿…人で溢れている。

博士は言ってた。

「人が多すぎる。」

博士は言ってた。

「報復だ。」

博士は言ってた。

「殺せ。」

博士は言ってた。

「皆殺しだ。」

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路地裏に入り、おもむろにゴルフバックから凶器を取り出す。

日本刀は左側の腰に差す、サムライみたいに。

サバイバルナイフは背中に。

銃は右側の腰と左膝に装着した。

その状態で歩いても不思議とあまり騒がない。

良くみれば回りの人間も奇抜な格好が多い。

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日本刀を鞘から抜き、目の前の男の首を背後からハネる。

一刀両断。断面から噴水のように血が吹き出る。

首から下のそれは、なおも2~3歩進み、倒れこむ。

「きゃーー!!」

「うわあああ!」

周囲がざわめき始めるが、中にはこちからに近寄ってくるものも。

「何アレ?」

「映画の撮影じゃね?ターミ○ーターⅨとか。」

逃げ惑う人間たちも、人が多すぎて逃げられずにいる。

日本刀で次々に切りつける。

二人、三人、四人、五人、六人…。

15人ほど切り殺した頃には切れ味が落ちてきたので、サバイバルナイフで次々に刺して行く。

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警察官が二名駆けつけていた。

「武器を捨てなさい!」拳銃を向けてくる。

近くにいた若い女を人質に、盾にした。

「女性を離せ!」

拳銃を向けたまま動けずにいる警官。

パンッ、パンッ!ハンドガンで頭を撃ち抜く。

一瞬にして二人の警官が倒れる。

人質にしていた女の喉をナイフで切り裂く。

周りの人間が少なくなってきた。

警官から拳銃と無線機を奪い、近くのビルに入る。

インターネットカフェ。

事件を知らない人間を次々に殺す。

まずは店員を殺した。

次に騒がれないように個室に入り、客の首を締め、次々と殺していった。

ビルから出る頃にはパトカーが5台、警察が十名以上いた。

予測できた事態だ。無線で情報も得ていた。

客の女を一人、殺さずに人質にしてあった。

だが、そのまま進むのは無謀だ。

博士は言っていた「お前は強靭だが無敵じゃない、破壊されないように注意しろ」と。

女を盾に通路を下がる。

警察が四名、通路に入ってきた。

「人質を解放しろ!」

「手を上げろ!」

女の首にナイフを添える。

警官に向かって言った「銃を下ろせ」

拳銃を向けたままの警官。

女の首に浅く当てたナイフを滑らせる。

首筋から血が垂れる。

「銃を下ろせ、女を殺すぞ」

警官の一人が叫ぶ

「下ろせ!下ろせ!」

ようやく拳銃を下ろした瞬間。

パンッ、パンッ、パンッ、パンッ。

ハンドガンで警官を狙ったが当たったのは二人。

「下がれ、外に退避!」

無事だった警官は外に出ていった。

女が泣きながら尋ねてきた。

「何でこんな事するの…」

「その為に造られた」

「はあ!?なにそれ!?ワケわかんない!」

裏口に回ったが、そちらにも警官が包囲していた。

2階に上がり、女を手すりに手錠をかけ逃げられないようにした。

手錠は先程の警官から奪ったものだ。

2階の窓から警官を狙う…だが、数が多い。

騒ぐ女の腹部にナイフを刺し、屋上に向かう。

屋上から隣のビルへ、更に隣へと移る。

幸いまだドローンは飛んで居なかった。

避難しているのか、移ったビルは無人だった。

洗面所で顔を洗い、ショップで洋服を盗み着替え、血塗れの服を捨て、帽子を目深に被り外に出る。

警官が近くにいたが、最初にいたビルに注目していたので上手くやり過ごせた。

ビルの大型ディスプレイでニュースが流れる。

ワタシが起こした殺人事件のニュースだ。

「過去最悪の大量殺人…死傷者65名以上、容疑者はなおも逃走中…」

「おい、お前!」警官が声をかけてきた。

パンッ

すかさず頭を撃ち抜き立ち去る。

まだ避難していない人間を狙い発砲を続ける。

何人殺したか分からなくなるほどに殺し続けた。

やがて警官に囲まれ、抵抗を続けたが足・腕、と撃たれた。

痛みは当然無かったが、動けなくなった。

(運動機能が損傷したか…)

警官達に取り押さえられた。

「確保!、確保!!」

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どのくらいの時間が経ったか分からないが、目が覚めると拘束具に縛られていた。

周りには年配と若手の刑事、それと医師が一名。

年配の刑事が問いかける。

「喋れるか?」

「ああ」

「名前は?」

「ゼットだ」

「…。事件の事は覚えているか?」

「覚えている」

「その前の事は?」

「シミュレーションの事か?」

「…。」

年配の刑事が、若い刑事と医師と何やらヒソヒソと話をしている。

若い刑事がパソコンを持って来た。

「もう一度聞く、お前は誰だ?何者だ?」

「ゼットだ、人を殺す為に造られた」

「そうか…、お前にとっては酷な映像だが…これを見てもらおう。お前がいた施設から押収されたものだ。」

パソコンに映像が写し出される。

(これは阿形博士…それとワタシか?)

ワタシは椅子に拘束されている。

博士が話す「お前は誰だ?」

「神木 刹那だ。」

「違う!」

博士が何かのボタンを押す。

「ぐわあああぁあ!」映像の中で男が悶える。

「まだ駄目か…」薬品を右腕に注射する。

同じような映像が延々続くが…やがて。

「お前は誰だ」

「ワタシはゼット。殺人マシーン。人を殺す為に造られた」

「よし、良いぞ。お前はマシーンだ。人を殺す、その為に造られた。」

「ワタシはマシーン…人を殺す…」

映像が止められ、年配の刑事が言う。

「君は人間だ。神木さん。」

「違う!ワタシは殺人マシーンだ」

「君はあの阿形という男に拉致され、洗脳されたんだ。

君の他にも7人の男女が拐われていたが、6人は遺体で発見された。

残り1人の少女と阿形は行方不明だ。

阿形の目的は不明だが、何か手掛けになるものがあれば…」

「違う!違う!!ワタシは機械だ!」

若い刑事が呟く

「だったら…なんで泣いてんだよ。」

「…………俺は…

……サツジンキ…だ…。」

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超高層ビルの一室。

その一室に白髪の男と十代半ばの少女が佇んでいた。

彼女の名前はα00-X X (通称アルファ)

「アルファ、お前の使命は?」

「人を殺すことです」

「良いぞ、アルファ」男が微笑む。

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