私は友人Aに久々に会った。
友人Aは私と同じで、幽霊など毛ほども信じていない。
そんな友人Aの話だ。
友人Aは友達からある話を聞いた。
カメラが勝手に写真を撮るのだという。
カメラが勝手に写真?
皆さん、お分かりの通り、そんなことはたまにある。スマホが勝手にボタンを押されて、写真を撮っている時だ。
だが、詳しく聞くと、そんな状況ではないという。
カメラはスマホではなく、普通の一眼レフ。
これが、いつの間にか写真を撮っているのだと言う。
だが、その写真は怖くなって、持ち主は削除したのだという。
Aは面白くなってきて、そのカメラを預かることにした。
預かった先でご馳走になり、出来上がってしまって、嫁さんに迎えに来てもらって、そのカメラは玄関に置いて眠ってしまったそうだ。
明くる日、起きて、普通に仕事に行き、夜8時頃帰った時にそのカメラに気付いた。
そういえば…。こんな気持ちだった。
Aはそのカメラを回収すると、気にも止めず、再生ボタンを押した。
………夜中の写真が写っている。
奥さんに聞いた。
「俺、昨日何時に帰ってきた?」
「えー?確か、11時頃だったかな?」
自分はもう少し夜中よような気がしたが、飲んでいない嫁の方が確かだろう。
でも、そのカメラにはそれ以降の写真が3枚記録されていた。
写真を見てみるも、何の写真か分からない、
真っ黒な写真が記録されているだけだった。
Aは、奥さんか自分が間違って触ったのだろうと、気にも止めず、玄関から自分の部屋に移した。
次の日、Aはカメラの存在など気にもしていなかった。酔って興味を持った話であって、正直どうでも良かった。
というより、忘れていた。
それを思い出したのはカメラの持ち主から連絡があった時だった。
「カメラどうだった?」
そう言われて、思い出したのだ。
Aは怖くなった。この前は何も写ってなかったが、あれから一週間、もしかしたら…。
そう思いながら、カメラの履歴は見ずに持ち主に返した。幽霊は信じてなかったが、気味悪かった。
数日後、友人から電話がかかってきた。
「お前に預けたら何も写らなくなった。小さい子供が押してたんだろうな。」
そう言われ、ああ、やっぱり!と思った。
………だが、預かった初日のあのシャッターは誰が押したのだろうか。今もまだ不明である………。
という話をした後で、再度友人から連絡が………その友人がどうも他人に見られている感じがするのだと言う。
しかも、
「カシャッ!」
シャッター音のような音が聞こえると…。
そしてカメラの持ち主から電話が。
「何も撮れなかったあの後、カメラを確認したら………。」
作者寅さん