いやはや・・・写真の整理で思わぬことを思い出してしまった
でも・・・整理をしたおかげで1回目の火事が付け火だとわかったことは有意義だと思う
幸いにも1回目の火事でほぼ焼失したと思っていたけれど・・・結構な数のオアキ・オハルちゃん関連の資料や写真が見つかった
ただ・・・その撮影者が曲者だったな
あれからS君、仕事にも力が入らず、F子は怒り爆発寸前だったとか・・・
今は何とか立ち直り仕事もなんとかという状態
それでなくても夜間撮影を自粛しているのでF子のイライラは相当なものだろう
夜間の撮影した写真は評判がよく夜間撮影したものを集めて写真集を出そうかという話も出てきているとか・・・だが・・・肝心のカメラマンがあの状態では無理だろうな
いよいよ夏本番の8月に入った
朝からうざいほど蝉の大合唱
子供たちは夏休みに入り朝から賑やかというよりやかましい
しかし、葵だけは喜んでた
お兄ちゃんやお姉ちゃんと遊べると朝からご機嫌がいい
ところが・・・夏休みの宿題で葵の相手どころではないみたい
肝心の楓も宿題に追われていた
葵は仕方なしに一人で中庭で遊んでいる
でもまぁ・・・夕方からは誰かしら葵の相手をしているからまだマシかな
夜は楓と一緒にTVを見たりゲームなどで遊んでる
たまにオヤジとつるんでなにかしら遊んでるけど
あんまし教育上良くない相手だとは思う(元被害者が言うのだから間違いない)
私も仕事上残業ばかりで家に帰るのが遅い
さらに能天気S子の・・・話にも少し・・・うんざり・・・とにかく眠い
一人で中庭でいるのが一番
中庭は昼間、葵が「野良仕事」しているのできれいになってる
雑草が無い庭なので気分はいい
本当は葵と一緒に遊んであげたい
夏休みだから匠と仁の部屋はまだ明かりがついていた
結構話声が聞こえる
逆に楓と葵の部屋は真っ暗、もう寝てる
さてと・・・もうそろそろ寝ようか・・・
ん?一瞬娘たちの部屋の明かりがついたように見えた
トイレかな?
気のせい?
娘たちの部屋を見て寝るかな・・・
「どれどれ・・・寝てるかな?」
んん???あれ・・・葵の姿が見えない
トイレかな・・・
トイレを見に行った
いないぞぉ!!!!
おいおいまたかよ・・・
リビングや下駄箱も見た
下駄箱には靴があった
お風呂場も見た
どこだ!?
オヤジの部屋から葵の笑っている声がした
オヤジの部屋をのぞいた
オヤジとおふくろの間に葵がいた
「葵・・・あぁぁ・・びっくりしたここにいたのか
葵の部屋をのぞいたらいないから心配したぞ
さぁさ、じぃじぃ、ばぁばぁ、は疲れてるから自分の部屋へ戻ろうな」
「あ!パパ、どうしたの?
じっちゃ、ばっちゃ、と遊んでるよ
じっちゃ、無茶苦茶面白い、パパ、今晩はここで寝るんだぞ」
「え!、ここで寝るの?」
「おうよ、!葵ちゃんはここでわしらと寝るからよ」
「そっか・・・ついでに楓もここで寝かせてほしいのだがいいか?」
「おうよ、いいぞ!楓ちゃんもここで寝ればいいさ」
「楓を連れてくるわ」
「おふくろ、すまんな」
「いいよ、かわいい孫娘が2人、私はうれしいよ」
わたしは娘たちの部屋へ行き楓を起こした
「楓、起きてくれ、パパだよ」
「んん・・・パパ!?何?私眠いんだけど・・・」
「ごめんな、葵が今晩、オヤジたちの部屋で寝ることになったから
楓もオヤジたちの部屋で寝てほしいな」
「え・・・あの子・・・じっちゃに完全にほれてるよ、パパ、まぁ・・・いいかぁ
じっちゃをからかうと面白いから、楓、じっちゃの部屋で寝るね」
楓と一緒にオヤジの部屋へ行った
「じっちゃ!!!楓も来たよ、葵、姉ちゃんと一緒に寝よう」と楓はオヤジに挨拶をした
「おう!!楓ちゃん、おいで!!今日はじじぃとてもうれしい」
「姉ちゃん、じっちゃ、面白い話をしてくれるよ、ばっちゃの横に座るといいんだぞ」
「うん、葵、眠くなったら寝てもいいよ」
「うん、わかったんだぞ」
「オヤジ、すまんが娘2人の面等をみてやってくれ
おふくろもすまんな」
「いいんだよ、昔を思い出すよ、久しぶりに賑やかになりそうだわ」とおふくろは満面な笑顔になってた
私はオヤジたちの部屋を出た
部屋からは葵と楓の笑い声がしてた
よかった・・・本当にびっくりした・・・またいなくなったのかと思った
さて・・・
「パパ!!!大変だぞ、葵ちゃんの部屋をのぞいたら2人ともいなくなってたんだぞ
また餓鬼ともが2人を連れ去ったに違いないんだぞ
どうしよう・・・」S子は完全に狼狽してた
「ママ・・・あのさ、落ち着け!2人はオヤジたちの部屋だよ」
「え!、義理父の部屋にいるの!?良かった・・・またいなくなったのかと思った」
「俺もさ、部屋を見たら葵がいなくなってた
探してたらオヤジの部屋から葵の声がしたんでのぞいたらいたよ
ついでに楓も一緒に面等を見てくれと頼んでおいたから」
「さすが!!パパ、ちゃんと用心してくれた
義理父の傍なら安全だもんね、義理母もいるし
さぁ・・パパ、疲れたでしょ、寝ようよ」
一応匠の部屋も覗いた、2人はちゃんと寝てた
「ママはもう寝るといいよ、今日も疲れただろ
今日の夕飯のおかず、おいしかったよ、だいぶ腕を上げたね」
「えへへへへ、パパにほめられちゃった・・・うれしいんだぞ
おっちーー、もっとがんばるんだぞ」とS子は上機嫌で自分の部屋へ行った
家族全員無事でした
眠気が取れてしまった
また中庭へ行き椅子に座った
冷たいコーヒー缶を片手にゆっくりと飲んだ
昼間の暑さには参る
夜になっても蒸し暑さは変わらない
風でも吹いてくれるといいのだが・・・
時計はもう午前1時過ぎ・・・
まぁ今日は休みだしもう少し中庭でいよう
外からの雑音はほぼ聞こえてこないから静かな場所だ
中庭の小さいライトが余計にいいムードを醸し出してくれる
オヤジの部屋から2人の笑い声がしてた
まだ起きてるのか・・・確かに・・・昔はF子と一緒にオヤジの下らん話を聞かされたなぁ
F子は大うけしていたけど・・・私は・・・まぁ・・・
今までの出来事をまとめてみた
色々ありすぎ
しかし・・・なんで餓鬼ともはお寺の本堂など主要な建物を狙わないのだろう
2回とも蔵なのだ
蔵はこのお寺に縁がある菩提やお寺周辺の昔の住民の戸籍など保管してある
私たちのご先祖様のオアキ・オハルちゃん達の資料なども代々の住職様が大事に保管してくれてた
お盆の日にお寺へ行くので蔵の整理を手伝おう
今日の夜に花火などをしようかな
いまのところ餓鬼たちの動きがない
今月14日にお寺へ行く予定だが・・・
ウトウト・・・
睡魔がすごい
ここ1か月ほど悪夢というか夢の内容はよくわからないが
途中で目を覚ますことが多い
それで夢の中の出来事を思い出そうとすると思い出せない
その繰り返しで睡眠不足と過労で体があちこち痛い
本当に夢の中は何を見てるんだろう
気になって仕方がない
まぁ・・・一抹の不安を抱えているのは事実
通常ではあり得ない体験を数多くしてきた
それもこれもすべてご先祖様の因縁のせいだ
オアキ・オハルちゃん達ではない
もっとそれ以前のご先祖たちが生きてるときに周囲の人間に対してどういう対応をしてきたのかと
思う
午前5時になった
眠気はあるが今から寝ても仕方ない
私はそのまま家の外に出て外の空気を吸った
蒸し暑い
ジメジメとしてあんまし体にはよくはないが体を屈伸したりして深呼吸などをしたら少し気分も楽になった
今日は日曜日なので朝からの騒がしさはない
少し近所を散歩しよう
近くに小さな祠がある
いつも誰かは知らないが毎日お花とお水が置いてある
何の所以の祠なのか私には全然知らない
人に聞こうともしないし
祠を後にして田んぼや畑のある場所へ歩いた
稲穂が良く育っていた
はっきりといって以前にも書いたが田舎だ
散歩コースにはちょうど良い
ぐるりと散歩を終え家に帰った
リビングでは大きな話声が聞こえてきた
今日は仁と匠が野球の試合のために朝早く起きたようだ
自転車でかなり遠くの野球場まで走るんだそうだ
S子とおふくろがせわせわしく朝の食事と昼弁当を作っていた
匠と仁は朝から野球の話題で盛り上がっていた
「ママ、早く朝ご飯を作ってよ、間に合わなくなるよ」と匠が文句を言い出し始めた
「おっちーー、まっててね、もうすこしだからね」とS子は返事をしながら朝の朝食を作っていた
「昼食は必ず肉を入れてよね、ママ」と仁が注文を付けていた
「おっちーー、わかってるんだぞ、昼の弁当2人分と家族の朝食を作ってるんだから
ママは大変なんだぞ!!」
「ママ、がんばれ~~~」と匠の応援の声
そうこうしているうちにオヤジとおチビ2人が起きてきた
「わぁ!いい匂い!!!あ!兄ちゃんたち、どこいくの?楓たちも一緒に連れて行ってよ」
「今日はダメ!野球の試合なんだぜ!おまえらは大人しく留守番しててくれ」と匠が楓に兄貴風を吹かせた
「えええ!!!兄ちゃんたち!ここのところ遊んでくれないじゃん!葵も兄ちゃんたちと遊びたいと言ってるんだよ」と楓は兄たちに訴えた
「あたちもにいちゃたちと遊びたいんだぞ!!」と葵も言い出した
「そのうち遊んでやるよ、今日はダメ~~~」と仁は少し意地悪い口調で答えた
やはり兄弟はいいよな
「あんたたち、早く朝ごはん食べな」とおふくろがせかした
「うん、ばっちゃん!」
せかせかしく朝食を済ませ2人は慌てて家から出て行った
おチビちゃんたちと朝食をした
「兄ちゃんたち、ここのところ、全然遊んでくれないよ、パパ」
「そっか・・・兄ちゃんたちは忙しいからね、仕方ないよ」
「あたちも遊んでくれないよ、パパ・・・いつも楓姉ちゃんと遊んでるよ」
「楓、ありがとな、来年は葵も新1年生になるから面等を見てあげてほしいな」
「あ!そっか、葵も1年生なんだ、わかったよ、パパ」
いろいろとおチビちゃんたちの愚痴を聞きながらの朝食だった
「そうだ!お昼前におもちゃ屋さんへ行こう、今夜中庭で花火をしよう」と提案をした
「え!本当!パパ、私ついていくよ」
「アタチも花火大好き、ついていく~~」
久しぶりに娘たちと散歩
午前10時に家を出た
マジで蒸し暑い
もう額から汗が垂れてきた
おチビ達には冷たいお茶を持たせた
それとお守りとお薬も
いつもの商店街のおもちゃ屋で花火を買おう
例の墓場を通りたくないので回り道をした
商店街は暑いのにもかかわらず人がたくさんいた
暑さも限界!例の喫茶店へ寄った
美人の娘さんが注文を取りに来た
「この前の無理なお願いありがとうございました
直接F子さんが来て下さるとは思ってもいなかったのでびっくりしちゃった
サインと写真集をもらっちゃいました
記念にF子さんとの2ショットもしてもらいました
暇なときに写真集を見てるけど本当に綺麗
特に夜景の写真はF子さんの妖しさがひときわすごくて私みとれちゃいました
私、おもいきってF子さんと一緒に写真撮影したいです、と聞いたら
OKをもらいました
来週、私、東京へ行きます
本当に夢のようです
ところで・・・Fさん・・・少し気になる部分というか・・・私の目の錯覚なのかな
夜景のF子さんの顔がうっすらと2重に見えてる気がするんです
ちょっと見てください
ここです!!ね、なんとなく顔が重なって見えるでしょ」
私はその夜景の写真のF子の顔を見て・・・確かにうっすらともう一人のF子のような顔が見えた
2重写しなのかと疑った
でも・・・・よく見ると・・・F子の顔のように見えるが・・・違うな
オアキちゃん!!!そう、オアキちゃんの顔だ
恐らくオアキちゃんだ
大きくなったオアキちゃんの顔は写真しか見たことが無いからね
あとでもう1度確かめてみよう
「たしかに・・・2重に見えますね・・・不思議ですね
月の明かりの反射で写ったのかもしれませんね」と私は適当に答えた
「やはり・・・でももの悲しそうな顔をしてるように見えるんですよ、私にはね
F子さん・・・心のどこかになにか人に言えないような悩みがあるんでしょうか」
「さぁ・・・妹は人見知りが激しくてなかなか人に自分の気持ちを伝えるということが苦手なんですよ」
「ええ、そうかなぁ・・・この前の時は撮影の苦労話をしてくれましたよ
とても人見知りにはみえなかったけれど・・・まぁ・・・私はF子さんには幼少の時によく遊んでもらったし・・・」
「ん?・・・あれ・・・この場所って例のお寺さん?・・・パパ、これって庭園だよね
たしか・・・隅っこの木ってたしか上半分って無かったはずだよ、でもこの写真にはちゃんと上半分写ってる・・・どういうこと?パパ?」
「え!そうなの?気にしてなかったな・・・この写真の撮影日時がわからないよな
切る前に撮影したのかな?」
「わかんない・・・でも・・・パパ、私の目にはF子おねえちゃんによく似てるけど違うような感じがするよ・・・あ!ばっちゃんの豪邸で見た額縁にあった写真!、ばっちゃんのママそっくりだよ
楓にはそうみえるよ」
「まぁ・・・たしかにおばあさんの顔にも見える・・・というか・・・はっきりといってオアキちゃん、ばあちゃん、F子、血筋が同じなんだよ、微妙に違うだけで一見すると見分けがつかないよ
、楓」
「そうなの?・・・よくわかんない・・・でも・・・もの悲しそうにみえてるよ、パパ」
たしかに・・・もの悲しそうなうつろな顔
綺麗なのだが生気が無いような・・・うっすらとしかみえていないのでよくわからないけれどね
これは後でS君に聞かないとな
1時間ほど喫茶店でおしゃべりをした
外に出たらドーンと蒸し暑さが体に伝わってきた
おもちゃ屋が見えてきた
お店へ入って花火を探した
葵と楓はお店に置いてある花火を手にもってあれでもないこれでもないといいながら決めていた
最終的には一番大きな花火セットを選んできた
「パパ、この一番大きな花火を買ってほしい」
「大きすぎるだろ・・・これだと夜中までかかるよ」
「ずーと花火してたいな」
「あたちも・・・花火してたいな」
「よぉ!!いたいた!楓ちゃん、葵ちゃん、じいちゃんが買ってやろう」
いきなり後ろから声が聞こえてきた
トンチンカンオヤジだった
「わ!じいちゃ、やったーーー」
「じいちゃ・・・かっけいいい」
「だろう!だろう!かっこいいだろ!」
なんだろうな、この孫に対する甘さ
私の幼少のときには花火も買ってくれなかったぞ
文句を垂れたら頭叩かれた・・・
F子の場合はなんでも買ってあげてたのに
一気ににぎやかになった
オヤジも加わり散歩も楽しくなってきた
娘2人はオヤジの両手にそれぞれつかんで楽しくおしゃべりをしながら
家路についた
途中の祠を通ったとき
あれ?とおもった
毎日欠かさず新しいお花とお水を置いてあるのに今は全てなくなってる
確かに朝通ったときには置いてあった
「オヤジ、この祠さんの由来って知ってる?」
「お!この祠は・・・確か・・もう50年前かな・・・ここで人身事故があって
子どもが死んでるんだよ
それもその死に方というのが・・・いや・・・ここで話すのは止めよう・・・後で話すわ
まぁ・・・両親の悲しみはすごかったと聞いてるぞ
俺もそれを聞いて涙泣かしたからな
その当時、俺はガキんちゃでうちのオヤジがそれを聞いてきて俺に話してくれた
そのオヤジもあまりにも悲惨な事故だったみたいで涙しながら話してた
俺も子供や孫に恵まれてノウノウと生きてるけど
おまえらがそんな事故に遭ったらとおもうと夜も眠れんわ」
珍しくトンチンカンオヤジじゃない・・・真顔のオヤジだ
どうやらこの町内でこの悲惨な事故の話で結構話題になったそうだ
そういう由来があったのか・・・でも毎日誰がお花と水を置いていくんだろ
「オヤジ、この祠のお花とお水は誰が置いていってるんだ?」
「それよそれ、俺も気になって、この近所の連中に聞いたんだよ
でもな・・・誰もここにお花と水を置いていくところを見た奴はいないんだとよ
そんなことあるかい、誰かが見てるはずだ
おれもしつこく食い下がって聞いたけどな
誰も見たことが無い、の一点張りだったよ
その両親もな・・・3年後に事故で死んでるんだよ
それもその事故現場がここなんだよ
何の縁だが知らんが・・・ここの場所は俺もあんまし良くないな、と感じてる
そうそう、おまえらも気持ちが悪いという墓場、あれと同じ感じなんだよ
特に楓ちゃんは今もそう感じてるよな?」
「さすが!じっちゃ!パパ、私もじっちゃと同じでここあんまし良くない場所だよ
見た目は静かだけどね・・・すごい・・・気持ちの悪いものがウヨウヨいる感じ
でも・・・なんとか祠様がそのウヨウヨしてるものを抑えてるというか・・・
段々と祠様の力が弱ってる感じ・・・またここで近いうちに大きな事故が起きそうだよ」
「やはりな・・・楓ちゃん・・・F子ちゃんと同じ予知があるよな
うちの家系はな、代々神さまに仕えてた神官みたいな感じの家系なんだよ
陰陽師みたいなものじゃないけど・・・まぁ・・・それに近いかな・・・
F!お前には教えてなかったけれどな、F子ちゃんは生まれつき予知能力があってな
様々な災いを夢で見るんだ
あの人見知りはそのせいだよ
小さい時から悪夢みたいな感じの夢を見て心にすごい傷を負ってる
またな、女房の家系が例のオアキちゃんの子孫だろ
それが相互に重なって・・・確かに美人だがオアキちゃんの性質も完全に受け継いてる
その遺伝子がまた楓ちゃんにも受け継いたようだ
どちらにしろ・・・俺らの家系は普通の家系じゃない」
おいおい・・・あのトンチンカン親父がまともなことを言ってるぞ
確かにF子の予知みたいなものは分かってた
まさか・・・家の家系が神官のような神さまに仕えてる家系とはな
「それにS子ちゃんの家系はオハルちゃんの子孫
S子ちゃんのママがオハルちゃんの2番目の息子の子孫だよ
俺もFがS子ちゃんと婚約したときにS子ちゃんママから聞いた
たしかに3等身以上だから結婚には支障はないが
元を辿っていくと同じ一族、というか姉妹
果たして・・・子供たちに特殊な能力が受け継いていくんじゃないかと心配してた
まぁ・・完全に楓ちゃんが受け継いてしまったな
幸いにも楓ちゃんは人見知りすることが無いんであんまし心配はしとらんが
霊を集めやすい体質だから将来きっと苦労すると思うぞ」
「そっかぁ・・・F子の苦労は知ってるから
楓もかぁ・・・これも因縁だよな」
思わぬ話を聞いた
しかし・・・いったい誰がお花と水を毎日置いていくんだろ
これも後で和尚さんに話しておこう
明日からここの散歩コースは変更だな
例の墓場と同じ感覚かぁ・・・嫌だなぁ・・・
もうそろそろお昼時間だ、早く家へ帰ろう
家へ帰るとおふくろとS子が昼食の準備をしていた
「おっちーーー!!遅かったね!もうそろそろ昼食なんだぞ
みんな、手を洗うんだぞ、うがいをするんだぞ」といつもの元気な声で話しかけてきた
「お義父さん、花火、ありがとう!」
「いいよ、S子ちゃん、今晩はみんなで中庭で花火をしよう」
「わぁーーい、あたち、花火大好き!」
「今さっき、匠君から試合は順調でもしかしたら勝つかもって、電話がきたよ」とおふくろは嬉しそうに話してきた
「おっしゃーー、もし試合に勝ったら回転寿司行こう!!優勝祝いだ!」とオヤジのでかい声
「わーーい、楓、寿司大好き!!兄ちゃんたち勝ってきてほしい!!」
すごいことになった
昼食はさらにやかましいというかうるさかった
「ただいま~~~」
「え!、今玄関で人の声がしたけど・・・」
「なに?玄関?私が見てくるわね」とおふくろは玄関へ行った
「おかしいわね・・・誰もいないわよ、空耳じゃないの?」
「いえ・・・お義母さん、おっちーー、たしかに聞こえたけど・・・
気のせいかな・・・」
ガタン・ドタン・・・とどこかの部屋から音がした
「え!今の音聞こえた?なんなの?誰が帰ってきたんじゃないの?」とおふくろが言い出した
「俺も聞こえたぞ!俺が見てくるわ」とオヤジ
オヤジが戻ってきた
「おかしいな・・・部屋を全部見てきたけど・・・誰もいなかった
俺も音を聞いた・・・あれは何か荷物を置いた音だろう・・・」
「楓も聞こえたよ・・」
突然電話が鳴った
一同ピクンとなった
おふくろが電話に出た
「あら!F子、どうしたの?え・・・それは確かなの!・・・」
青ざめた顔になった
「どうした?おふくろ!」
「F子から・・・F子、S君と一緒に今晩帰ってくるってさ」
「帰ってくるんだ、おふくろ、どうした?」
「いや・・・その・・・F子が・・・F!落ち着いて聞いてね
仁君、匠君・・・・今日・・事故に遭うかもってF子が夢を見たってさ
・・・まさかねぇ・・・」
全員黙ってしまった・・・
F子の予知夢は必ず当たる
「オヤジ、すまない、今すぐ仁と匠を連れ帰ってきてほしい
試合中でもだ!強引に連れて帰ってきてくれ」
「おうよ!わかったぜ!!」
オヤジは急いで車に乗り試合会場へ走っていった
とにかく落ち着かないとな
30分ほど過ぎた
電話が鳴った
「オヤジ!!そっか!気を付けて帰ってきてくれ」
オヤジからの電話
2人を乗せたという話だ
しばらくすると
救急車のサイレンの音が遠くから聞こえてきた
また電話が鳴った
「はい・・・え?警察ですか・・・はい、そうです・・・」とおふくろが出たが
受話器を手から落としてしまった
私が代わりに出た
「はい、申し訳ございません、え!!!そんな!!!うそだろ・・・
分かりました、急いで病院へ行きます
はい!」と私は受話器を置いた
なんでことだ・・・・オヤジたちが事故に遭った
「S子!大変だ、オヤジたちが事故った
今警察から連絡があった
みんな、今から全員病院へ行こう」
「えーー兄ちゃんたち、事故なの!!!」
「おっちーー、大変だぁーーー」
私は急いでタクシーを呼んだ
私の車とタクシーで病院へ行くことにした
私はF子に電話をした
「F子!大変だ、予知夢の通り、オヤジたち事故った
仕事を切り上げて今すぐ帰ってきてほしい」
「なに?パパたちが事故ったの!!!え?昼間に?
私、昼間に電話なんかしてないよ、アニキ」
「ええ・・・たしかにお前の声だったぞ
おまえの予知夢で事故に遭うかもって・・・」
「アニキ、大丈夫?昼間は休憩なしで撮影してたの!電話なんか無理だよ
それに私もう予知夢というかそういう夢は見なくなったよ」
「そんな・・・じゃあ誰だったんだよ・・・」
あ!!完全にはめられたんだ・・・油断した・・・オヤジを行かせなかったら事故には遭ってなかったんだ・・・なんでことだ・・・全部私のせいだ
「今日中に帰ってきてくれ」
「急いで帰るね、アニキ、それとアニキ!Sアニキが2日前からスタジオに顔を出してないんだよ
、ホテルにも帰ってきてないし・・・何か聞いている?」
「え!S君、いや、聞いてないぞ、どういうことだよ・・・連絡したの?」
「連絡してるんだけどね、留守電になるの、おかしいな、どこ行っちゃったんだろ、とにかく帰るね、じゃあ」と電話が切れた
おいおい・・・・どうなってるんだよ
S君、失踪!?
「おい!S子、S君から電話などかかってきた?」
「ううん、アニキから電話なんでないよ、結婚してからアニキは私に電話なんか一度もしてこなくなったよ、どうしたの?パパ?」
「F子からの話だとS君、2日前からスタジオに顔を出してないんだってさ
連絡を入れても留守電になると言ってた」
「えええ!!!アニキ・・・どこ行っちゃったんだよ」
すごいことになった
事故とS君失踪
とりあえずタクシーが来たので子供たちとおふくろはタクシーで
私とS子は車で病院へ向かった
3人は集中治療室の中だった
警察からの説明だと
交差点の出会い頭の事故
なぜか・・その当てた車は傷が無く逃亡中(目撃者の話)
オヤジたちの車だけグチャグチャ
救急車が到着したときには3人とも意識不明
事故の場所が・・・そう例の祠付近
なんでこった・・・楓の言う通りになってしまった
「おう!お前たち、ひさしぶり!チンピラオヤジ、大変なことになったな
今のところ、命に別状はないってよ
ただ・・・出血がひどいんで今は集中治療室で輸血中だよ
それと、仁君・・・医者の話だと・・・もしかしたら障害が残るかもって・・・
匠君はいまのところ安定はしてるけど・・・まだ油断はできないと話してた」
例の課長さんが直々にこの事故の捜査の指揮を執ることになったそうだ
不審な点がありすぎてこの事故はもしかしたら・・・ということらしい
「おっちーー、どうしようどうしよう・・・」とS子は完全にパニックになっていた
「お兄ちゃんたち・・・」
「あたち・・・・・」
私は別室に呼ばれた
「F君、この事故は単なる衝突事故じゃない気がする
目撃者の話だとぶつかってきたのは相手の車でそれもぶつかったにもかかわらず
傷が一つもなくその場から走り去ったようだ
絶対にぶつかったら必ず傷がつく・・・これって・・・もしかしたら・・・例の餓鬼たちじゃないかと思うんだ
うちらも急いでその車を探している
それと・・・目撃者の話だと運転席に人が乗っていなかったという話だ
絶対にありえん・・・無人で動く車などありえん
この捜査は恐らく迷宮入りするかもしれないがその無人カーを全力で探す」
「私もそう思えて仕方ないです
まんまと罠にかかってしまいました
あ!それと課長さん、S君を知っていますよね
そのS君昨日から仕事場へ来てないようなんです
連絡をしても留守電だとか
すいませんがS君の捜索もお願いしたいのですが・・・」
「S君?もちろん知ってるよ
そっか・・・とりあえず警視庁へ捜索願は出しておくよ
俺は一度署へ戻るからなにかあったら連絡してくれ」と課長は病院から出て行った
私たちはとりあえず集中治療室の傍にあるソファで様子を見ることになった
おチビちゃんたちも今にも泣きそうな顔をしていた
「大丈夫だよ、お兄ちゃんたちはまた元気な顔をして声をかけてくれるよ」
「パパ・・・じっちゃ・・・少し危ないかも
おにいちゃんたちを守るために結構な体力を使い果たしてるよ
それと・・・Sおじちゃん・・・やばいかも・・・・
じいちゃの力がいる・・・でも・・・じいちゃ・・・
パパ、大至急、和尚様を病院へ呼んでほしい
それとF子お姉ちゃんも・・・
今夜・・・峠かな・・・・」と楓は私を見つめながら話してきた
私は楓の言う通りに和尚様に電話をした
F子にも連絡をした
両者とも夜中になるという
仕方ない・・・
わたしはふとお守りと薬を集中治療室のあたりに置いた
何気なく・・・手が勝手に動いたような気がした
これで何か効くのだろうか・・・
S子もだいぶ落ち着いてきたようだ
夕方になった
病院の方も段々と静かになってきた
私は夕食を買いにコンビニへ行った
コンビニから出てふとコンビニの角を見た
え?S君!?らしき人物が立っていた
スゥーと立ち去ってしまった
人違いかな・・・
あれ・・・あれはF子!?・・・立ち去った方向を見るとS君とF子らしき人物が何やら話している
どういうこと?
私は静かに2人のいる方向へ歩いた
すると2人は私に気づいたのか急いでその場から走って行ってしまった
え?・・・何で逃げるんだよ
私はF子に電話をした
「はい!アニキ!どうした?え?私、今新幹線の中だよ
やはりね、病院へ着くのは夜中になりそう
んとね・・・夜の11時ごろには着きそうかな・・・パパたちの様子はどうなの?
そっか・・・え?Sアニキからは何も連絡ないよ!留守電になる・・そうなの!捜索願を出してくれたの!うん・・うん・・わかった、じゃあね」
どういうことだ、今さっきの2人はなんなんだ
私は病院へ戻った
治療室の一角にあるテーブルで夕食を食べた
だれも話さない
あの能天気なS子も黙ったまま
子供たちも元気がない
まるでお通夜だ
たまにナースや医者が出入りしている
刑事課長がやってきた
「F君、ちょっといいかな?」
「はい・・・」
「捜査状況なんだが・・・ダメだ・・・全然ダメ
手がかりが一切ない
鑑識の方からもお手上げ状態
相手の車の破片が一切出てこないと大騒ぎしていたよ
こりゃ・・早々に打ち切りになるかもな・・・
すまないな・・・オヤジさんから事情を聴かないと事故の様子が全然わからない
目撃者がいるにもかかわらずなんの手がかりもない」
「そうですか・・・・」
刑事課長は疲労した顔で椅子に座った
しばらくはここにいるからとのこと
私も疲れた
眠気がすごい
ウトウト・・・というか眠ったらしい
「パパ!!!起きて~~~、じいちゃたち、病室へ運ばれて行ったよ」と楓が起こしてくれた
「ううう・・・なに・・・」
「パパ!起きて、病室へ行こうよ」
私は完全に寝ていたらしい
「お!そっか・・・行こうか」
楓以外は病室へ行ったようだ
3人とも同じ病室だ
痛々しい・・・包帯で巻かれている
でも3人とも命に別状はないとのこと
まだ意識は回復していない
時計をみたら夜の10時になっていた
空いているベッドに子供たちを寝かせた
2人とも心配なのか眠れないと言う
「眠たくないのかい・・・まぁ・・・横になっててくれればいいよ」
「うん・・・じいちゃ、にいちゃんたち・・・」
「大丈夫だよ・・・眠くなったら寝なさい」
「おふくろも寝なよ」
「わたしゃ・・・眠くはないよ・・・」
「S子!眠たいのなら寝ていいよ」
「おっちーー、大丈夫なんだぞ、パパこそ寝ていいんだぞ」
私は今さっきの睡眠で頭がすっきりしている
私は咄嗟に病室の入り口にお守りとお薬を置いた
時間だけが刻々と過ぎていった
一段と静かになった
子供たちもはしゃぐことなく大人しくしてる
「パパ、にいちゃ、たち大丈夫なの?あたち・・・心配なんだぞ」
「大丈夫だよ、葵、兄ちゃんたちは野球で鍛えてるからね」
「うん・・・楓姉ちゃん、もうそろそろ寝ようよ、葵、眠くなってきたんだぞ」
「私も・・・眠い・・・パパ、ここで寝るね」
2人とも疲れている
遠くから足音が聞こえてきた
「アニキ!!、ママ!!!、パパたち大丈夫なの?」F子が小走りに走ってきた
「命には別条はないってさ」
「良かった!!」
「ところで、S君の行方はまだなんだよ・・・」
「Sアニキが私に黙ってどこかへ行くことは絶対にない
何かの事故か事件に巻き込まれたんだよ
一体どこにいるんだろう」
あっち、こっちと・・・まるで攪乱作戦だな
本命はどこだ、何か狙いなんだろうか
刑事課長がいきなり起きた
「F君、俺、一度署へ戻るわ!捜査の資料をもう1度見直す」
と言って出て行った
「あれ?課長さんじゃない、え!そうなの、陣頭指揮とってるんだ」
「そうだよ、自ら指揮を執ってくれてる」
「ところでさ・・・F子、ちょっと聞きたい
本当に俺が電話したときに新幹線に居たのか?」
「え!アニキ、どうしたの?私はちゃんといたよ」
「いいにくいんだけど・・・俺、コンビニの帰りにF子とS君らしき人影を見たんだよ
俺が傍によっていったら、さぁっと逃げていったんだ」
「え!!そうなの・・・でも私はちゃんといたんだよ、アニキ信じてよ!」
「まぁ・・・俺の頭今すごい混乱してる
もうね・・自分自身しか信用していない状態なんだよ
すまんな・・・」
「エ・・・アニキ・・・そんな・・・私を信じてくれないの?」
「F子、そっとしてておいてあげて、F、ここのところ睡眠不足でもう考える力がないんだよ」
とおふくろがフォローしてくれた
「ママ・・・うん、わかった」
本当に混乱している
本当に今いる連中は本物なのか?
確かめようがないからイライラしている
しかし・・・オヤジたちは和尚様からもらったお守りと薬を持っていたので命が救われたのか・・・
それとも単にケガだけで済んだのか・・・
いろいろと考えていると頭が痛い
敵の狙いが分からないのが一番の理由だが
こうも一気に攻めてくるということは何かあるのか
私のスマホにいきなり着信音が鳴った
体がピクッと反応した
「いったい誰だ!!!」
「え~~と・・・・エエエエエ!!!!S君!!!」
F子やS子、おふくろが俺の方に顔を向けた
「おい!!S君、どうしたんだよ、今までどこに行ってたんだ」
「アタタタ・・・・頭が痛い・・・気づいたらなんかしらんが
真っ暗けでな・・・ここはどこなんだろう・・・
スマホのバッテリーもあと20%しかないんだよ、暗くて何も見えん」
「おいおい・・・20%・・・あっという間に無くなるぞ
なにかまわりに特徴のあるものない?外から何か聞こえてない?」
「ここな・・・まっくらけでな・・・ちょいまち、スマホのライトをつけるわ
あ!!!ここは・・・マジかよ・・・F!、自分も驚いたよ!怒るなよ
自分の借りているホテルの部屋だよ・・・まじかぁ・・・」
「おい!!!大丈夫かい!!!自分の部屋なの?」
「そうだよ・・・俺・・・2日間も寝てたのか?」
「おいおい・・・しっかりしてくれよな・・・」
「F子に変わるぞ」
私はF子にスマホを渡した
「もう!!!どこ行ってたのよ!!アニキの部屋へ行っても全然返事が無いし
電話しても留守電だし・・・寝てたの?2日間も!!!!
ええ!!お酒飲んだの?」
「いや・・・ちょっとまて思い出すから・・・・・・・
あぁぁ・・・たしか・・・F子が差し入れに俺の部屋へ来たんだ
ビールとおかずをもってな・・・・俺は酒は飲まないのにな
俺、わざとからかいに来たんだと思ってたぞ」
「え!?・・・差し入れ?私、アニキの部屋へ行ってないよ
ほら・・・私、その日は珍しく女子会を開いてでアニキだけが先に帰ったんじゃない
私、そのまま素直に自分の部屋へ行って寝たよ、大丈夫?」
「え!うそだろ!おまえだったぞ、俺がお前を見間違えることは絶対にない
どういうことだ?」
「私に聞かれても・・・・他人のそら似?でも・・・私の癖を一番知っているのはアニキとSアニキだけ
私はSアニキが酒を飲まないことは知ってるし・・・」
どうやら電話口でなにやらもめている
「どうした、F子!」
「アニキ・・・ちょっとややこしくなってきたよ、代わってよ」
「うん・・・S君、大丈夫なのかい?え?F子が差し入れに来たのか・・・ビールをもって・・・
おかしいだろそれ・・・君は酒を飲まないのはF子が一番よく知ってるんだからさ」
「まぁな・・・でも・・・てっきりからかいにきたのかと・・・ちょっとまってな・・・誰か来たようだ・・え?・・・・」
「どうした!!S君、おい!」
「ちょっとまて・・・今部屋の外の廊下にな・・・F子がいる・・・どういうことだよ・・・
なんで・・・ここにいるんだ・・・F!ほんとうにF子はそっちにいるのか?」と小声で聞いてきた
「ええ!!?F子がいるって・・・いるよ、病室にいるよ、今さっき君と話をしてたじゃないか」
「病室?F子が倒れたのか?」
「いや・・・オヤジたちが事故に遭ってな・・・今病院にいるんだよ」
「事故って・・・うそだろ・・・そっか・・・それよりも・・・外にいるの誰?
どうみてもF子だぞ」
「え・・・でもこっちにもいるぞ・・・」
どういうことだ・・・F子が2人いる
どっちか本物だよ
どうやって見分けるんだよ
「S君、とりあえず出るなよ、静かにして様子を見ていた方がいいよ」
「だな・・・あ!あいつ・・・もしかして合鍵をもっていたらどうするんだよ
逃げ場ないぞ!!!どうしよう・・・」
「おちつけ・・・とにかく静かにな・・・物音立てるなよ」
「うん・・・まだ外にいる、ピンポン鳴らしてるぞ
あ・・・ガチャガチャしだした・・・」
「おーーい!アニキ!はやくあけてよ、食事を持ってきたよ」
「うえぇーーーおいおい・・・声はたしかにF子だぞ・・・Fも聞こえたろ」
「あぁぁ・・たしかにF子の声だ・・・どういうことだよ」
「S君!一か八か・・・相手がドアを開けたらそいつを突き飛ばして後ろを振り向かずに突っ走れ
」
「ええーーおいおい、大事な妹だぞ・・・俺は出来ん・・・F子だぞ・・・無理だよ・・・」
「命がかかってるんだぞ!本物か偽者かは後でわかる、今は逃げることが大事だ」
「わかってるけど・・・ダメだ・・・可愛いい妹だ・・・」
「なに、やってるんだよ、一気に突き飛ばして逃げるんだよ」
「うむ・・・仕方ない・・・あ!ガチャと開いた音がした、中へ入ってくる、もういいや
F子に嫌われてもいいや・・・F!、いっきに逃げるぞ、俺」
「うん、突き飛ばせ、いけーー」
「よっしゃーーー」
ガタンドタンと音がした
「うぉーーーー」
S君の雄叫びが聞こえた
電話が切れた・・・・
大丈夫かな・・・S君
というより・・・こっちのF子は本物か?
「F子!今、S君、”F子”から逃げてる」
「え?私から逃げてる?なにそれ?」
私はいまここにいる”F子”にS君の状況を話した
「えええ・・・うそでしょ、私がいたの・・・アニキ!私は本当のF子だから、信じてよ」
「信じろといってもな・・・あっちの”F子”も瓜二つだしな・・・」
「そんな・・・ひどいよ・・・アニキ・・・」
「F!ちょっと言いすぎだよ、本物かどうかは今は別にして少し静かにしておくれ」とおふくろは機嫌悪そうな顔をしていた
「おい!・・・テメェーーF子ちゃんを泣かすとはいい度胸してるじゃねーかよ
しばくぞ、こらぁーーー」
えええーーー一同びっくり!!!!
一同オヤジのベッドを見た
包帯巻きのオヤジが目を覚ました
「おい!!F!テメェーーはアニキだろ!何年F子ちゃんのアニキしてるんだよ
本物かどうかも見分けがつかねーのかよ、F子ちゃんこっちへ来なよ」
オヤジに呼ばれてF子がオヤジの傍へ寄った
オヤジは静かにF子の手を握った
「おい!!!F!テメェーー今そこでF子ちゃんの前で土下座しな!
情けねーな、テメェはよ、本物のF子ちゃんだぞ
この手の温もり、やわらかさ、やさしさ、間違いないぞ」
「そんな!!オヤジよ、マジかよ、土下座はナァ・・・」
「テメェーー!土下座したくないなら俺がしばいてやろうか」
「わかったよ・・・」
私はひざをついた
「パパ、やりすぎ!、アニキ、土下座しなくていいよ、わかってくれればいい!
パパ、許してあげてよ」
「うむ・・・F子ちゃんが言うなら・・・仕方ないな・・・チッ!F!そういうことだよ」
「パパ・・・ありがとう!アニキ、立ってよ」
「アニキ、大丈夫、ここ汚れてるよ」とズボンのすそのゴミを取ってくれた
ん!この感じは幼少の時にF子をいじめてた奴と取っ組み合いのケンカをして
私が倒れこんだ時に急いで私のところへ駆け寄って今さっきのような言葉をかけてくれた
思い出したよ
間違いないこっちが本物のF子だ
ということは今頃S君大丈夫かな・・・
「F子、ごめんな・・・疑ってしまったよ・・・」
「ううん・・・こうも事件などあると誰も信じられなくなるよね」
「アニキ!頭!!!」
ナデナデしてくれた
あの時のと同じだ
((お兄ちゃん、ありがとね、ナデナデ))
「あははははは」
「だろう!!!、俺はすぐにわかったさ
俺のかわいい娘だからな
Fとは違うのだよ、Fとはな!!」
エラソウニ・・・
「おっちーーー良かったんだぞ、一時はどうなるかと思ったんだぞ
パパ、良かったんだぞ」
とにかくオヤジは無事生還してきた(というか絶対に死なんだろうな・・・本性が悪霊だからさ)
あとは匠と仁の意識が早く戻ってきてくれ
いきなり私のスマホが鳴った
「お・・・おおお、S君からだ」
「うぇーーーどうにかスマホの充電できるお店へ逃げ込んだよ
あいつ・・・むちゃくちゃ足が速いんだ・・・F子があんなに早く走れるわけがない
・・あいつは偽者だぞ!!!うぇ・・・まだ・・・お店の外でウロウロしてるぜ
しつこいな・・・でも・・・すんげぇ・・・顔になってる、般若の顔だな・・・
まぁ・・・F子も怒ると・・般若の顔になる・・あっごめん!言いすぎだ・・・」
「あははは・・・般若か・・確かにな・・・当たってる、というか・・・
早く逃げないと!!!」
「アニキ!!!般若・・どうのこうのって・・・聞こえたぞ!!!」
「うえぇ・・・聞かれたぞ、S君!!、そいつから逃げきっても本物のF子から逃げきれないから・・」
「え!聞かれたんかい!!・・・あはははは・はぁっ~~・・・」
「南無阿弥陀仏~~」
「さて・・・どうしようか・・・」
「あのさ・・・そのお店って裏口とかないの?従業員が出入りしてる所
もしあるのならそこから逃げればいいんじゃない?」
「お!そっか・・・あるかな・・・ありゃいいけどな・・・あったぜ・・・逃げるぜ」
「逃げ切ってくれ」
「おう!!!、またな」
「アニキ!!!今さっき何をコソコソ話してたの?」
「いや・・・別に・・・逃げる手段を話してただけだよ」
とおとぼけをした顔で返事をした
「まぁ・・・いいけど・・・Sアニキ!おぼえてらっしゃい!!!」
般若・・・ここはおふくろの遺伝子を受け継いだな
遠くからなんかしゃべりながら足音が聞こえてきた
「ああ・・・いやぁはや・・・遅くなりもうしたわい」
和尚様が来てくれた
「和尚様~~」とS子が呼んだ
「おおこれはこれは若奥様!!」
「いやだぁ~~若奥様だって~~恥ずかしいんだぞ」
能天気S子炸裂
「大変なお目にお遭いしたですなぁ~~~」
「おい!!!坊主!!!何しに来たんだよ!!!」
「おおこれはこれはオヤジ様、元気でいらっしゃる
無事でよかったですなぁ・・・一応お寺の方でオヤジ様専用の葬儀を準備はしておきましたからのぉ
・・・あぁぁ・・・無駄になってしまいましたわい」
「テメェーー!クソボウズ!帰れ!!!俺は絶対に死なんぞ!!」
「冗談ですわい・・・」
ブッ!みんなクスクス笑い出した
「さて・・・・こりゃ・・・あかんですわい・・・仁君、匠君・・・餓鬼が憑りついておりますわい
おかしいなぁ・・・お守りとお薬はもっているはずでしょ・・・」
「あっ!ちょっとまって、見て見るね」とS子は慌てて仁と匠の首を見た
「ない!!!もってないんだぞ!朝は確かに首にかけてたんだぞ」
「ああぁ・・・おそらく野球の試合中に首からひもが切れて落としたんだろうな
何でこった」と私はため息をついた
「うむ・・・さてっと餓鬼ともを追い払いましょうか」
和尚は仁と匠の背中を数回叩いてお経を読んだ
包帯だらけになった体は見てるだけでもかわいそうになる
30分ほどお経と背中を叩いていた
ゴホッゴホッと仁と匠は咳が出た
((ちっ!!!クソボウズめ!あとちょっとでガキんちょの肉が喰えたのによぉ
余計なことしやがってーーーまぁ・・いいさ・・・エサはまだたくさんあるし・・・
あいつを追いかけてる連中もそろそろエサに喰らいついてるだろうし・・・ウェウェゲッゲッ・・))
と捨てゼリフをいいながら口から黒いモヤモヤが出てきて天井へ吸い込まれていった
「ウフッーー、餓鬼ともめ・・・とりあえずは追い払いましたからのぉ」
「クソボウズ!ありがとよ!大事な孫を助けてくれてよ」
「いやいや・・・なんのその・・・オヤジさま・・・あんたの力添えがあったからこそですわい」
オヤジの力添え?オヤジは文句ばかり垂れてて何もしてなかったぞ
いきなりスマホが鳴った
「おい!F!どうにか逃げ切れたぜ・・・というか途中であいつ消えたんだ
まぁ・・いいや・・・疲れた・・・もうあのホテルの部屋には戻れないな
明日にはそっちへ戻るわ」
「よかった・・・消えたんだ・・・そっか・・・こっちも和尚様が来てすべて解決したよ
あとは仁と匠が意識を取り戻してくれたらいいけどな」
「そっか、よかった、おやっさんは無事かい?」
「オヤジは死なないよ、悪霊だからさ」
「だな・・・」
「ところで・・・S君!明日に帰ってくると般若の雷が落ちるかもよ
当分・・・帰らずにどこか雲隠れしてた方がいいよ」
「え!まだ怒ってるんかい!!参ったな・・・おやっさんに助けてもらうわ
・・・F子の大好物を持って帰るわ・・・じゃぁ・・」
「オヤジよ、S君からSOSがあるかもよ、助けてあげてくれ」
「おうよ!わかったぜ」
「なに?Sアニキからだったの、アニキ代わってよ」
「いや・・・もう切れたよ」
「んもうぅ!!!Sアニキ帰ってきたら・・・」
ギロリと般若顔で私をにらみつけてきた
ウェ・・・俺じゃないぞ・・・
「オヤジ・・・頼むぞ・・・」
「おうよ、まかしておけ」
明日・・・とんでもない荒らしが起こりそうだ
和尚様には明日もいてもらおう・・・
南無阿弥陀仏~~~
「和尚様、念のために明日も私の家にいてください」
「わかりもうしたわい~~~」
と和尚様は私に向けて小さく指でOKをした
わかってるんだ、すごいな
「クソボウズ!俺はもう治ったぞ、退院したら俺と飲もうな!」
「あ・・いや・・・ありがとうですわい・・・久しぶりに・・いや・・・なんでもないですわい」
「それこそ我が一族の菩提寺の坊主だ!話がよく分かる!!!いい店があるから一緒に行こうぜ」
「あ、はい、お供します」
もう完全に和尚様はオヤジの手中に落ちた
和尚様、南無阿弥陀仏~~~チーーン
病室は一気に緊張感が取れて笑いの渦になった
娘2人が起きてしまった
「あ・・・うるさいんだぞ、あたち、眠いんだぞ」と葵が目を覚ました
「うるさいな・・・パパたち・・・眠いんだからさ」と楓も目が覚めた
「あ!和尚様だ~~あ!じっちゃ!!!」
「よぉ!楓ちゃん!じじぃは生き返ったぞ!」
「うん、すっげーー、じいちゃ」
「だろうだろう!」
「兄ちゃんたちは?・・・」
「まだ・・・意識は戻ってないんだぞ」とS子が答えた
「あたち・・・じっちゃ・・・ニイチャんたちを助けてあげて」
「おうよ、わかってるさ、もうそろそろ意識が戻るからさ、葵ちゃん」
「うん・・・じいちゃ・・・」
およそ30分後に匠と仁が意識を取り戻した
「イテェ~~~~なんだこりゃ!!!ミイラ男になっちまったぜ、俺」と匠が目を覚ました
「俺もだよ、兄ちゃん!なんかカッコわるいよ」と仁も目を覚ました
「わぁ!じいちゃん、すげーな、全身包帯だらけ!!!」
「おうよ!じじぃはミイラ男に生まれ変わったんだぜ」
「じいちゃん、アリガトな、助けてくれてよ」
「おうよ、大事な孫だからな、匠よ」
「俺もじいちゃんありがとな!」
「あんなやつら俺のこぶしで十分だぜ!なぁ仁!!」
「かっこよかったぜ、じいちゃん!俺もじいちゃんみたいに強くてカッコよくなりてぇーー」
「おうよ!まずは体を鍛えねーとな、匠!明日からじじぃが本気の格闘技を教えてやるぜ」
「やったーー!!!」
「俺もだ!じいちゃん、俺も明日から体鍛えるぞ」
「うんうん!さすが俺の孫だ!Fとは違うよな、Fとは、こいつ、俺が格闘技をおしえてやるからってわざわざ聞いたら「嫌なこった」といいやがってよ、ほらみろ、あんな弱弱しい体だぜ
S子ちゃんがお嫁に来なかったら今頃、ニートだぜ、あはははは」
くそじじぃ・・・・
「すごい回復力ですわい
さすが・・悪・・・いや・・・」
騒がしい・・・
まぁ・・・意識が戻ってきてくれてホッとした
夜中になった
オヤジと息子たちはそのまま寝てもらうことにした
女子たちは隣の病室が空いていたので特別に寝かせてもらった
おチビちゃんたちと和尚様はオヤジたちの部屋で寝てもらった
私もそのまま眠ってしまった
朝になっていた
外がだいぶやかましくなってきた
みんなそれぞれ起きてきた
「おい!もう俺ら退院するぜ!」
「え!、無理だろ!全身傷だらけだぞ、オヤジ!」
「何が傷だらけだ!おおげさな!」
オヤジは寝巻を脱いで包帯をとりはじめた
「おいおい!!!無理すんなよ、オヤジ!」
「うるせぇーーしばくぞーー」
包帯を全部取ってしまった
「ぎゃぁーーーパパ、ダメ!」
「お義父さん!!ダメなんだぞ!!!」
え?・・・傷はどこだよ・・・あれだけの傷だったはず・・・
「ほらよ、どこに傷があるんだよ、見て見ろよ!!」
「ギャァーーパパ、娘2人孫娘2人が見てるんだよ!!!」
「へ?・・・・おっとと・・・・調子こいてしまったぜ」
「もう!!お義父さん!!!」
「あんた!!!あとで話をつけましょうね」
「は・・・はい・・」
「じいちゃん、カッコ悪い」
「うん・・・・」
「じいちゃ・・・カッコ悪い」
「あたち・・・将来、じいちゃのお嫁になるの考えておくんだぞ」
朝早くからオヤジ、何してるんだよ・・・
しかし・・・・傷が治ってる・・・あり得ん
匠と仁も綺麗に治ってる
おふくろが退院手続きのためにナースセンターへ行った
医者とナースが飛んできた
「ああ・・・なにをしてるんですかぁ!」と看護士さん
「おいおい・・・まだ傷は完全に治ってないんだから包帯を・・・・えええ!!!
治ってる・・・」
医者と看護士は目が点になっていた
医者は慌ててカルテを見直した
「信じられん・・・1日で治るとは・・・あれだけの重傷だったのに・・・」
おふくろは退院手続きをしてくれた
全員家へ帰ろう
ナースセンターを通るときに私たちを見て看護師たちが騒いでいた
((ねぇねぇ・・・もうなおったんだってさ・・・
うそぉ・・・・
私が包帯を巻いた時には傷だらけだったのよ
信じられない
でもさぁ・・・あの人、カッコいいよね・・特にお腹なんかすごい筋肉だったよ
))
はずかしいやら・・・・
オヤジは聞こえたのか
「俺ってクレイジーーー」とわざわざ声を出し指を立てて看護士にアピールしてた
はずかしいぃ!!!
ナースセンターから黄色い声が聞こえてきた
「パパ・・・・はずかしい」とF子がつぶやいてた
家についた
もちろんオヤジはおふくろの説教を受けた
1時間ほど説教をくらってフラフラとリビングへ戻ってきた
朝食を食べみんな疲れが出てきたのか
元気がない
子供たちは葵を除いて夏休みの宿題を始めた
私は朝食を食べた後に会社へ行った
葵はオヤジと中庭で遊んでもらったらしい
葵はオヤジといると機嫌が一番良い
夕方になり
私は少し早めに帰らせてもらった
夕食時にオヤジと和尚様・・・いなくなった・・・もちろん・・オヤジの誘いに断り切れなかったんだろう
和尚様・・無事に生還できますように・・・
以前に町内会長とどうやら飲んだらしいが・・・救急車に運ばれたらしい・・・
和尚様も救急車に乗らなければいいが・・・
もちろん、おふくろはカンカンに怒ってた
また帰ってきたらオヤジ、説教だな
昼間に和尚様は私の家を調べてもらった
特に気になる場所はないとのこと
和尚様も中庭がとても気に入ったらしく調査を終えたら中庭でくつろいでいたとか
特に中庭の雑草が無いのにびっくりしてたよう
「葵をぜひ、養子に」と冗談で話してきたとか
夜の7時過ぎに刑事課長が訪ねてきた
病院の方へ行ったけれども退院したと聞いて家まで来たようだ
オヤジにその時の様子を聞きたいとのことでオヤジの居場所を教えた
あぁ・・・また一人犠牲者が出るかな・・・
子供たちはそれぞれ遊んでいた
久しぶりに兄弟4人でゲームをしていた
葵はもう大はしゃぎ
楓もひさしぶりに兄たちと遊んでもらって上機嫌
夏休み中だからこのまま夜更かししそうだな
リビングは夜の11時ごろまで賑やかだった
「おっちーーー!!!子供たちよ、もうそろそろ寝る時間なんだぞ!
さぁさ、自分の部屋へ戻って寝るんだぞ」とS子に促されて子供たちはしぶしぶ部屋へ行った
まぁしばらくは部屋から話声が聞こえていたが・・静かになった
おふくろは機嫌が悪い
さっさと寝室へ行ってしまった
S子とF子はおしゃべりをしていたがS子の部屋へ行ってしまった
私一人だけになった
シーンとなったリビングは少し不気味に思えた
TVをつけてしばらくニュースを見ていた
時間がどんどん過ぎていった
ガチャと玄関のほうで聞こえた
オヤジたちが帰ってきたのかな・・・・
和尚様だけだった・・・・結構酔ってる・・・
あれれ・・・オヤジは?
「和尚様・・・大丈夫ですか・・・オヤジは?」
「いやぁーーもう飲めませんよ、オヤジ様・・・」
「いや・・・・あちゃ・・・」
「うえぇ・・・オヤジ様は店ですわい・・ヒック・・・お店の客に絡まれてまだ飲んでいますわい
私だけ・・・逃げてきましたわい~~さすが~~オヤジ様、強い強い!!!悪霊のなせる業ですな~~
わたし・・も結構お酒は強い方ですが~~ヒッ、オヤジ様はさらに上を行きますわな
わたしゃのオヤジが生きていたころは二人でよく飲みましたわい
デンデンに酔っぱらって・・・おふくろによぉう怒られ申したわい・・・オヤジ様、モウイイデスワイ・・ヒッ」
和尚様、床に寝てしまった
後ろにすごい気配がした・・・おふくろがいつの間にか立っていた・・・
後ろを見ようか迷った
後ろを見たらいけないよ、という警告が自分の頭に響いた
「F!、和尚様にふとんをおかけしてあげな」
「・・・しかし・・・まぁ・・・いいさ・・・ふっ」
全身に脂汗が噴き出した
暑さと脂汗で全身汗まみれ
と同時に全身の毛が逆だった
悪寒も走った
静かにおふくろは部屋へ戻っていった
いよいよオヤジよご臨終だな・・・
幸いにも今和尚様がいる、そのまま葬儀をしてもらおう
いや・・2人かぁ・・・S君もご臨終かもな
和尚様に布団をかけた
昨日と今日とで本当に疲れたよ
もう私も寝るよ
作者名無しの幽霊
いやはや・・・すごいことになった
あいつらが本気で攻撃を仕掛けてきた
事故を聞いて全身の力が抜けたよ
すべて私の判断ミスだからね
まぁ・・・結果的になんとかなったけど
油断はできないと悟った
オヤジ・・・身の危険を悟ったのか・・・2日後に家へ帰ってきた
帰るところはここしかないからな・・・
まぁその話はまたの機会に・・・
あっそうそう・・・S君も・・・オヤジの援護射撃を期待してたらしいけど
なにせ・・・あの状況・・・家にいなかったから
もろにF子の攻撃に遭い・・・撃沈した
もしこれが・・・夫婦になったら・・・S君!君の命は無いよな
鬼夜叉が我が家には2人いるという肝を持ってほしいな
私も・・・我が身だけど・・・ね
来週はもうお盆の日・・・だよ
南無阿弥陀仏~~~チーーン