さて・・・お昼すぎにホームセンターへ行きセメントを買ってきた
「マジで・・・大丈夫なのかな・・・セメントで塞いで本当にいいのかな?」
「俺も心配・・・適当に提案したけど・・・」
「おうし!やらなきゃわからんだろ!」
いや・・トンチンカンオヤジよ、結果が悪かったらどうなるか考えてみろよ
「まぁ・・・やるしかない」
「やってみてダメならまた考えましょうや
わしゃ、うまくいくような気がしますわい」
なんやかんやで自宅に着いた
玄関を開けて中の様子を見た
「なんじゃこりゃーーー!!!あいつらあちこちひっかきまわしやがったな!
子供たちがいなかった腹いせで嫌がらせだろ!」
部屋中ひっかきまわされてごちゃごちゃになっていた
リビングや私たちの寝室やオヤジたちの部屋も
私は慎重に2階へ上がった
子供たちの部屋を見た
下と一緒でひっかきまわしていた
こりゃ・・・後片付けが大変だ
私はスマホで写してS子にメールを送った
まさに泥棒に入られた後みたいだ
2階の奥の廊下の壁を見た
「え!穴がないぞ!!!」
「うそぉーー、お!穴が無い・・・」
穴が見つからないのだ
すぐにリビングへ戻った
やはり穴は完全に塞がっていた
私は慌てて自分の寝室へ行った
パソコンがひっくりかえっていた
「わ!・・・ダメかな・・・HDD、壊れてなきゃいいけどな」
「うわっ!すげーな、PCも壊れてなきゃいいけどな」
PCやプリンタなどが机の上から落ちていた
モニターはひっくり返っていたが画面は割れてなかった
早速元の位置へ戻してPCを起動させた
「お!!!!良かった、Windowsが立ち上がった
お・・・OKOK・・・画面が出た!!!
あとはHDDが無事でいてくれ・・・・
ほっ・・・壊れてなかった・・・セーフ!!!」
「良かった・・・今までの整理したものすべて無くなってるかと思ってた」
どうにかPCとHDDは無事だった
とりあえずは家の中の片づけをするのが先決だ
「おふくろ!すまないが使用人さんを5人ほど貸してほしい
家の中もうぐちゃぐちゃで俺たち家族で片づけをしてたら何日かかるやら」
「そっかい!今さっきS子ちゃんのメールについてた写真を見たよ
こりゃ家族だけでは無理だわ
今から使用人10人を向かわせるわ」
「ありがと!それと子供たちとおふくろたちは絶対に屋敷から出ないようにな」
「そっかい、わかった、屋敷からは出ないよ」
おふくろに電話をして使用人が来てくれるようだ
「使用人が10人来てくれるってさ
今日中に片づけをしないとな」
「だな・・・夜は何か起きるか分からないからな」
「わたしゃ、いまのうちに結界の薬を作ってますわい」
2時間後の午後3時ごろに使用人たちが来てくれた
おふくろに部屋の様子を聞いてたみたいでさっさと片づけを始めた
ゴミ収集車も手配してたみたいでゴミや割れたガラスなどどんどんと放り込んでいた
あっという間にどんどんと片付いていった
午後7時ごろにはすべての片づけが終わってしまった
「おぼっちゃま、お嬢様の言いつけ通り家の後片づけは終わりました
私たちはこれで帰ります、失礼します」と挨拶をして帰っていった
すごい!!なんという早さ
「おふくろ!こっちのほうの後片付けは終わったよ
使用人さんたちめちゃくちゃ早く片づけをしてくれた
とりあえずはまだおふくろたちはそこにいてくれ
オヤジとS君と私と和尚様は家で様子を見ることにしたから」
と感謝の電話をおふくろに入れた
1つ目はすることがなくなってしまった
後片付けをしてる間に和尚さんは結界の薬というかなんか変なものを作っていた
「ようし、出来上がり申したわい
この玉は今までの薬の10倍は効くはずですわい
これを家の外と中に置いてくだされ」
私は和尚様から結界の玉を受け取り方角沿いにその玉を置いてきた
家の中にも各部屋の四隅に玉を置いた
「これで餓鬼ともも時空間をいじくって悪さは出来まい
今夜あたり餓鬼ともが来そうな感じですわい
この玉の有効性をこの目で見てやるわい」
コンビニで買ってきた弁当を食べた
もう午後8時過ぎ
その間にお風呂も済ました
汗臭さが消えた
3人はとりあえずリビングにいることにした
オヤジは廊下にいてもらう
「オヤジ、いつも済まない、廊下で見張っててくれ」
「おうよ、餓鬼ともがきたら知らせるぞ!」
1時間が過ぎ2時間が過ぎた
何も起きない
時計も0時を指した
目が冴えて眠れない
ドーン、タッタタタタ
となんか物を倒した音がして人が走る足音みたいな音が聞こえてきた
2階からだ
「来たようですわい
みなさん、この結界の玉を持っててくだされ
オヤジ殿、あやつらがきたらこの玉を投げてみてくだされ」
「おう!わかったぜ!」
トットトトと階段を降りてくる音がした
餓鬼ともだ
餓鬼が10体ほど階段の上からこっちの様子を見ていた
((ウッエエ!おいしそうな人間がいるぜ!
今夜は御馳走だな・・・ゲッケケケ
4体もいるぜ、あっちじゃ、まともな物を喰ってなかったからな
死人じゃ、おいしくないわな))
「来やがったな!化け物!!!」
オヤジが玉を投げつけた
((うわっ!!!なんだこりゃ、体が溶けるぅーーー
おい!やめろ!!))
餓鬼ともが苦しがっていた
((うううううーーーー元の世界へ行きたくないーーーあそこは地獄だぁーーー
勘弁してくれーーーーグワァーーー))
すごい叫び声だ
オヤジが餓鬼ともの方へ歩き出した
オヤジが次々と餓鬼ともに喰らいついた
((ウォゥーーー喰わないでくれ~~~●△x;:@様~~~お許しを~~~
わしらはxxxxxに騙されてxx:;@グワァーー))
なにか叫びながらオヤジの口の中へ吸い込まれていった
10体全部オヤジの口の中に吸い込まれた
恐ろしい光景だ
文章での表現は出来ないほどだ
餓鬼ともの断末魔の叫び声
しかし・・・何やら叫んでいたな・・・
「おぇ、マズイわ」
とオヤジはブツブツと言っていた
「オヤジ殿、餓鬼ともを喰ってしもうた
怖ろしいわい・・・オヤジ殿に憑いている悪霊は相当な力があるですわい
もし・・・オヤジ殿の悪霊が本気で目覚めたらわしらでは太刀打ちは出来まい」
「おやっさん、喰っちまったな、なんが寒気がしてきたぞ」
もう唖然な状態
特に和尚様ははじめてオヤジが餓鬼を喰うのを見て目が点になっていた
「おっと!!今のうちにお経をあげますわい」
と和尚さんはお経を唱え始めた
((大きなお兄ちゃんたちーーー早くオハルを助けて~~~
は・・や・・く・・・))
「え!今の声はオハルちゃん!?」
「俺も聞こえたぜ!オハルちゃんだろ?なんか助けを求めてるような声だったが」
「オハルちゃん達の世界、やはり何かが起きてるんだよ
「天国」の世界、やばいんじゃない?」
「かも・・でも、どうやって「天国」へ行けるんだよ?
お狐様の力がいるよ」
「うーーん、仏さまの力でも貸してくださればのぉ~~」
困った、どうやって「天国」へ行けるんだ
もう夜中の3時過ぎ
もう体力が限界というかあまりにもカオス的な物を見て一気に疲れた
眠ってしまったようだ
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「オハル!早くここの小石を取るんだよ」
「うん、タロウ兄ちゃん!わかったんだぞ」
「オアキ、疲れただろ、あそこの大きな樹の下に行って休んで来いよ」
「うん、タロウ兄ちゃん!!、オハル、行くよ、お休みしようよ」
遠くから懐かしい声が聞こえてきた
私は声のする方へ歩いた
やはりいた
オアキ・オハル・タロウ・ジロウ
野良仕事をしていた
懐かしい
涙が出てきた
「あ!大きなお兄ちゃん!!!、タロウ兄ちゃん、あっち見てよ、大きなお兄ちゃんがこっちへ来るよ」
「おおお!!!本当だ!!大きなお兄ちゃん!!!」
「やあ!!!おひさしぶり、みんな元気にしてるかな?」
「うん、おっちーー、なつかしいんだぞ、大きなお兄ちゃん!!!」
「オハルちゃん、お久しぶり!!!」
「オアキ、草むしりをしてたんだよ」
オアキちゃん・・・もうこの頃から端正な顔たちをしていた
私たち一族の祖、オアキちゃん
たしかに祖母によく似てる
オアキちゃんの娘だから
幼少のF子にもそっくり
そして
オハルちゃん
S子たちの祖
元祖「おっちーー」
「オハルちゃん、なんで「おっちー」と言うのかな?」
と私はオハルちゃんに尋ねた
「おっちーー、私もよくわからないんだぞ、口癖なんだぞ」
まぁ・・・聞く方も聞く方だったかな・・・
遠くの方にオハルちゃん達の両親が田んぼで農作業をしていた
暖かい陽気だ
さわやかな風が時折吹いて頬をかすめていく
すると、遠くから雷みたいな音が聞こえてきた
そしてどす黒い雲が近づいてきた
「おっちーー!!大変なんだぞ!トトカカ様~~早くお寺へ逃げるんだぞ~~」
「オハル・オアキ、早くお寺へ逃げろ!!!奴らが来るぞ!!!」
「うん、オハル、手をつないで、お寺へ走るよ」
「おっちーー。オアキ姉ちゃん、お手て~~~」
なんだ?
このあわてぶりは・・・
「大きなお兄ちゃんも早くお寺へ行こうよーー」
「え?お寺?何が起きてるんだ?」
「早くーーー、こっちだよ」
多数の足音が聞こえてきた
野良仕事をしていた村人たちも急いでお寺へ逃げ始めた
私は走りながら後ろを見た
なんだ~~~餓鬼じゃないかーーー
数百という餓鬼の群れが走ってきていた
逃げ遅れた村人たちを次々と喰らいついていた
阿鼻叫喚の光景が広がった
私はタロウ兄弟の後ろから追いかけていた
ふと右の方に見るとタロウ兄弟の両親が走ってきていた
その後ろに餓鬼たちが今にも襲おうとしていた
あっさりと両親が喰われてしまった
「トトカカ様~~~、なんでこった!!!オアキ・オハル・ジロウ、後ろを振り向くな
前を見てお寺へ逃げろーーー」
タロウ兄ちゃんが必死で兄妹たちを引っ張っていた
前方にお寺が見えてきた
村人がどんどんとお寺の中へ逃げ込んでいた
どうにかお寺へ逃げこめた
「おっちーー!!タロウ兄ちゃん、トトカカ様はどこ?いないよーー」
「オハル・・・トトカカ様は・・・喰われたよ・・」
「えええーーーおっちーーー、嘘だぁ!!!トトカカ様ーーー」
「うわぁーーー、嫌だぁーーー、トトカカ様に会いたいんだぞ」
お寺の中は村人が数十人ほど息を切らせて座り込んでいた
結構な数の村人が逃げていたが餓鬼ともの餌食となった
タロウ兄弟たちは両親を失って大泣きしていた
まさか・・・自分の目の前で2度も両親がいなくなるのを見ようとは・・・
ここが「天国」なのかよ!!!地獄じゃねーかよ
神さまは何をやってるんだよ
「大きなお兄ちゃん、トトカカ様が喰われたんだぞーーー
おっちーーー、もうトトカカ様に会えない・・・うわぁーーー」
オハルちゃんはすごい泣き声で泣き出した
もう嫌だ!2度目の不幸じゃないか!!!
******************************
「おい!!!F、大丈夫か?」
「「うううう・・・・嫌だぁーーー!!!」・・・え?・・」
「おいおい・・・だいぶうなされてだぞ」
「ええ???ここどこ?オハルちゃん達は?」
「おいおい、ここはお前の家だよ、しっかりしてくれよ」
「う・・・え・・・夢かぁ・・・」
私はS君に夢の内容を聞かせた
「え!、F、おまえもオハルちゃん達の夢を見たのか
俺も同じような夢を見ていて今さっき起きたばかりだ
両親が餓鬼ともに喰われて・・・お寺へ逃げ込んで、オハルちゃんが大泣きして
そこで俺は目が覚めた、同じ内容の夢だな
こりゃ・・「天国」とやらは大変なことが起きてるんじゃないのか」
「わしゃも同じような夢を見たですわい
夢の内容もほぼ同じですわい」
「俺もだぜ、クソボウズと同じだよ
何でこった、4人が同じ夢を見るなんで絶対に有りえん
こりゃ早く「天国」とやらに行って忌々しい餓鬼ともを退治しなくちゃな」
なんと!4人が同じ夢を見ていた
絶対に「天国」は大変なことが起きてる
しかし、行く手段が無い
どうしたらいいんだよ
明日からは仕事がある
来週はお盆だ
やはりお寺の近くにある山の神社へ行くしかないのかな
「やはり・・・お寺のあの山の神社へ登ってお狐様を呼ぶしかないよな」
「でしょうな、時空間を操れるのはお狐様しかないですわい
来週の14日あたりにお寺へ来てくだされ、用意しておりますわい」
「でも・・・もう死んだ者たちを救って意味あるのかな?
確かにあの光景を見たら助けなきゃ、とは思うけれど
複雑な気持ちだよ」
「確かにS君の言う通り、もうあの世の人たちだもんな」
「さようですな、しかし、わしゃは助けられる方法があれば助けに行きたいですわい
お寺の関係者としてオハル・オアキちゃんが助けを求めでいる限りは助けに行きたいですわい」
決心した、助けられるのなら助けに行く
あとはお狐様が現れてくれればな、という他力本願
あれからほぼ毎日オアキ・オハルちゃん達の夢を見るようになった
内容もすべて同じ夢
S君にも聞いてみたが同じように夢を見てるとのこと
葵と楓もどうやら私と同じような夢を見てるようだ
「パパ、もう私眠りたくない、毎日オアキちゃんやオハルちゃん達が現れてくる~~
私も一緒に走ってて餓鬼たちに喰われる寸前で目が覚めるよ、起きたら汗がたくさん出てた
よ」
「あたち・・・タロウ兄ちゃんにおんぶされて走って逃げてる夢を見てるんだよ
その両脇にオアキちゃんやオハルちゃんがいて一緒に逃げてるんだぞ
怖いんだぞ」
これはもういけない
子供たちまで夢を見てるとなると早急に解決しないといけない
けれど14日まではあと2日ある
「オヤジ、済まないが今日の晩から楓と葵の部屋で一緒にいてくれ
毎日怖い夢を見てるみたい」
「なにぃーー怖い夢を見てるのか、おうし、俺様がいれば安心だぞ
楓ちゃんや葵ちゃんはじぃが守ってやるぞ」
「うん、じぃちゃがいれば安心して寝れる、じいちゃ、餓鬼たちを追い払ってほしい」
「やったんだぞ、じいちゃがいれば安心なんだぞ、じいちゃのお手てつないで寝るんだぞ」
リビングでは怖い夢の話になった
しかし・・・・
家族のほとんどが同じ夢を見るってことは・・・早く助けてほしいということか
明日はお寺さんへ行く準備をしないとな
作者名無しの幽霊
「天国」の様子が夢として現れてきた
死んだ人たちを助けて何になるというジレンマに陥ってしまった
しかし、よく考えてみると天国と現世は繋がってる・・・はずだとおもう
難しいことは分からないけれど
餓鬼ともの悪知恵は誰から授かったのだろうか
後2日で14日にお寺へ行く
今後どういう展開なるか予測がつかない
はたして「天国」とやらに行けるかどうか
行かなければオアキ・オハルちゃん達の「天国」の世界は崩壊する
お盆の日
全てが決まる