「ピンポンダッシュぅ?」
「ああ、3日連続......」
「そんなのとっ捕まえてぶん殴ってやればいいじゃねぇかよ」
「ん? ああ。まあなぁ、──う~ん」
「なんだよ、だいたい来る時間は決まってんだろ?」
「んー、夜中の2時頃だな」
「だったら寝ないで見張っとけばいいじゃねぇかよ」
「それはそうなんだけど......でもなぁ」
「なんだお前ビビってんのか? ピンポンダッシュする奴なんて、ガキか根暗のもやし野郎だろ!」
「まあ正直、──ビビってるっちゃあビビってんだよなぁ」
「──情けねぇなぁ。あ~あ情けない。それじゃあ今日は俺がこの部屋に泊まってってやるよ。そんで一緒に取っ捕まえてやる」
「ほんとか? ──でもやっぱなぁ......」
「なんだよ、本当にビビりすぎだぞお前。さっきから口ごもりやがって、何かあるなら言えよ」
「──じゃあ言うけど、このボロアパートなぁ、玄関チャイムなんかついてないんだよ。──取り付けていないチャイムを鳴らすやつをどーやって捕まえんだよ? 網か? でっかい掃除機か?」
「......ごめん、やっぱ俺、──帰るわ」
作者深山