短編2
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深夜の影

深夜にのどが渇いて目が覚めた。二階から階段を下りると正面に玄関がある。

外から差し込む蒼白い光が硝子を通し、うっすらと室内を照らしていた。

「うわぁ!」思わず声が漏れた。

玄関横のすり硝子に人の影がうつっていたのだ。

ほっそりとした身体に長いだろう髪の毛、その姿形から恐らく女性だと判断ができた。しかし、今は真夜中。何故こんな時間に玄関前に人が立っているのだろう。

外はしとしとと小雨がふっており、雨宿りでもしているのかと寝惚けた頭で考えた。しかし、すぐにそんなはずはないと考え直す。

他人の家の門を勝手に開けて、玄関の軒下で雨宿り? あり得ない。

玄関の照明をつけようとスイッチを押した。「あれ?」点かない。なんでだよとパチパチと数回押していると、外から微かに声が聞こえた。

「...ぁ......けてぇくだぁさ......ぃ」

ボソボソと呟くような囁き声。

「......ぁ...ぅけてぇくださぁ......い」何度も繰り返している。

「イタズラですか? ──警察呼びますよ」

変な人がドアをひとつ隔てて、すぐそこにいることに恐くなった。

「......ぁ......けぇてくぅださ...い」

「開けるわけねーだろ!」

恐さのあまり思わず大声を出してしまった。すると、玄関前の影がすっと消えた。

「えっ?」それは、玄関から離れたとかそういう感じではなく『消えた』そう表現するのがピッタリの現象だった。

そこで初めて人間以外の存在を意識した。

──怖い。さっきまでとは違う恐怖が襲ってきて、首筋から頭へと鳥肌がたった。急いで二階に上がり、布団にくるまる。どれ程の時間震えていたのか、いつの間にか眠ってしまっていた。

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次の日、朝から近所が騒がしかった。何でも強盗殺人があったとのこと。

若い女性が路上で刺殺された。深夜の出来事だったらしい。

なるほど、そうだったのかとひとり納得した。

その女性は亡くなってからも尚、救いを求めて近所をさまよい歩いていたのだろう。

あの言葉はきっと、こう言っていたんだ。

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「たすけてください」と。

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普通に怖かったです・・  
短い文章なのに引き込まれました。
参考にさせて頂きます!(/ω\)

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