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【夏風ノイズ】デイドリームリバイブ

中編3
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【夏風ノイズ】デイドリームリバイブ

 サンサンと町を照らしていた太陽は、いつの間にか見えなくなった。まだ、日が沈んだわけでもないのに。

今日の空は赤色に染まらない。灰色の雲がいっぱいに広がって、泣き出してしまったから。

 傘を持ってない私は、近くの公園にある屋根の下で雨宿りをした。

お兄ちゃんに連絡して、迎えにきてもらおう。とは言っても、見える景色の中に公衆電話は見当たらない。しかも、今日はお兄ちゃん、体調不良で学校お休みしてるんだった。

私はベンチに腰を掛けながら、何となく空をながめた。

雨で濡れちゃった服を早く乾かしたい。このままじゃ、風邪ひいちゃうよなぁ。

「はぁ~、散々だね」

 覚えたての単語を吐いた私は、今日の学校であった出来事を思い返した。

 仲のいい友達はお休みで、3時間目の体育の授業では頭にボールが当たって、昼休みには男子たちが教室にセミを持ってきて・・・今は突然の雨に足止めをされてる。

ほんと、ムカつくを通り越して呆れちゃう。こんなこと、お兄ちゃんに話したらめちゃくちゃ心配されそう。

 ぼんやりとそんなことを考えながら、まだ背負ったままのランドセルを膝の上に置く。

 気付いたら、何かがゆっくり近づいてくるのが見えた。

それは金魚みたいな、宙を游ぐ魚だった。魚は私の前まで来ると、ゆっくりと口をパクパクさせた。サッカーボールぐらいの身体を、ユラユラとさせながら。

「たぶん、君も散々だったのね」

 魚の気持ちは解らないけど、なんだか寂しそうな雰囲気だなと思った。

「はぁ、今日の占いは12位だったの。案外あたるんだよね~・・・今日はお兄ちゃんも体調悪いみたいだし、やっぱり雨が止むまで待ってようかなぁ」

 私の話に魚は何も反応しないで、ただユラユラと浮いてるだけ。

「あ、もしかして私の能力を狙ってるの?だーめ、どうせ君みたいなのは取り込まれて終わりだよ」

 私の力は、こういう不思議な存在を取り込んじゃう不思議な力。小さい頃に比べたら慣れたけれど、いまだに力を抑えられないこともある。

「私、バケモノだから・・・なーんてね。あーあ、早くお兄ちゃんに会いたいし、走って帰っちゃおうかなぁ」

 そう言ってから数分、私は魚とにらめっこしたまま雨が止むのを待った。

「あ、止んでた」

 ふと気が付いた時には、もう雨は止んでいた。いつの間にかぼーっとしちゃってたみたいで、さっきまで目の前にいた魚はいなくなっていた。

 私はベンチから立ち上がると、泣き止んだ空の下を歩き出した。

今日は最悪な一日だったけど、夜はきっといい日になるよね。お兄ちゃんも、お母さんも、家で待ってるんだから。

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   〇

「まぁ、それからすぐにお母さんは死んじゃったんだけど。まさか、その1年後に自分が死ぬことになるとはね。今じゃもう慣れちゃったよ。暴れまわってて、慣れちゃったとか言うのはおかしいかもしれないけど」

 夏空の下の砂浜で、私は1人のお姉さんに色んな思い出を話していた。

お姉さんは私の話を聞いているうちに、声を出して泣き出しちゃった。

「ほんとにごめんねえええええ!あたしのせいで死なせちゃってええええ!うわあああん!」

「だから、あゆみさんのせいじゃないってば!もう、泣きすぎだよ~」

「だってぇぇぇ・・・お兄さんのこと、心配でしょぉ・・・まだ小学生でやりたいことも沢山あったでしょおおおお!ごめええええん・・・!」

 この人は、すっごく泣き虫。でも、私のために涙を流してくれるんだから、心が優しいんだよね。

「たしかに死んじゃったけど、あゆみさんは悪くないの!あゆみさんをこんなふうにした悪い人たちがいけないの!大丈夫だよ、ほんとに。だって、もうすぐお兄ちゃんが助けに来てくれるから」

「ぐすん・・・そうなの?」

「うん、だってこの町は・・・私の生まれた町だもん」

 お兄ちゃん、元気にしてたんだね。また会える日が来るなんて、本当に嬉しいよ。信じてたんだ、だから・・・

「待ってるよ」

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