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中編4
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呪いについての考察

「さて。今日は昨日の続きから始めましょうか。」

「続きっつっても確かおまじないの話だよな?」

「今回紹介するのは、おまじないのもう1つの重要な事。おまじないは相手に伝える事が必要不可欠なのよ。」

「それだけじゃよくわからないな。」

「そうね。勿論詳しい話はするから安心しなさい。」

この3人は「オカルト研究会」を自称し、今も他の生徒が帰った後、空き教室で勝手に集まりお喋りをするのが日課になっている。3人とも女子高校生である。

いつもぼーっとしていて、少し抜けている楓

少し口が悪く、考え方にどこか時代を感じさせる舞

オカルト知識が豊富だが、その内容が少し偏っている咲。 

この物語は、その3人による会話劇である。

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「相手に伝えることがメインのおまじないは、俗に呪いとも言われてるわ。呪いって言われたら思い付く物とかあるんじゃないかしら?」

「あ、丑の刻参りってやつ。藁人形に釘を打って呪うやつだろ?」

「あら意外。それはかなり有名な呪術だから、あんたでも知っているのね。」

「でも確かあれデメリットってか、呪いを見られたらその呪い自分に跳ね返ってくるんだぜ?それに実行するのも手間だし、現実にやるやつ何かいないだろ?」

「それも知っているのは驚きね。どこの誰がそんな知識吹き込んだのかしら。」

「お前と長いことここに居れば、そんぐらいの知識は付くよ。」

「じゃあちゃんと覚え直すことね。あんたが覚えてるそれ、少し間違ってるわよ。」

「え、そうなのか?」

「呪い見られたら自分に跳ね返るなら、なんでその呪いが恐ろしい物として伝わってるの?記録者はその呪いを見てるじゃない。ということはその呪いは絶対に成立しないわ。じゃあ何も恐ろしいことは無いわよ?」

「お前それはよくある怖い話と一緒で、作り話とかそんな所‥」

「違うわ。」

「えっ」

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「人形は見つかってるのよ。おそらく呪う対象が解るものと一緒にね。そもそもの説明をしましょうか。」

「丑の刻参りは深夜2時に特定の場所、まぁ神社の境内とかが多いけれど。そこに藁人形を呪う対象に関係するもの、つまりその人の所持品とか名前を書いた紙とかと一緒に釘で打ち付ける行為を指すわ。勿論服装とか細かいルールは有るけれど、重要な点はそこよ。」

「なにがあたしの知識とちげえんだよ?」

「だから、人形は見つからなきゃいけないのよ。対象に呪われてると思わせるためにね。この話の怖いところはそんな恐ろしい行為をした人が誰か解らない所なの。すぐ身近にそんな人間がいるかもしれない。普段仲良くしているあいつかもしれない。そんな疑念がその本人を狂わせていくのよ。つまり、呪いを行った人間が解ってしまえば、簡単に解くことも出来るわ。ただの人間に呪いをかける力なんか無いわよ。というか、そんな人間がバレてしまえばそいつは勝手にとんでもない目にあうでしょうし。」

「なるほどなぁ。釘を打ってる姿見られたら正体バレるだろうしなぁ」

「考えてみたら、深夜2時だって神社の境内だって、人目を避けるには最適の舞台だもの。色々な所にはちゃんと理由があるものよ。勿論、それは怪異だって例外じゃないわ。逆に理由を満たせば、怪異現象は起こせるのよ。」

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「じゃあ呪いは嘘っぱちっていうのか?」

「違うわ。条件を満たせば作れる、と言ってのよ。ただ単にあいつが憎い!って思うだけじゃ何も変わらないけれど、お前は呪われているっていう紙をそれとなくそいつの机に忍ばせるとかは出来るわ。それだって積み重ねれば相手は精神的に参るでしょう。実際人には運勢の良い時と悪い時があるじゃない。そんな事をされたら悪く考えるわ。そして不運は重なるものなのよ。これは一種の呪いみたいなものでしょう?」

「‥何か実際にやったこと有るみたいな例が出てきたけど、まさかお前の実体験じゃないよな?」

「やるならもっと派手な事やるわよ。そんな地味な事じゃなくてね。」

「お前それって‥」

「ま、まとめに入って欲しいな!」

「お、楓ようやく喋ったな。」

「何か咲ちゃん本当にやりそうな気がしてたから‥」

「安心して。今はもうやらないわよ。でもそうね。そろそろ対策法とまとめに入ろうかしら。」

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「さっきも言ったけれど、呪いの一番の対策は呪いをしかけてきた相手を知ること。そいつが生きている限り、それはただの人間でしかないのだから。気にしないっていう方法もあるけど、自分の名前と釘を打ち付けられた人形見せられたら厳しいわよね。‥中には自分の命を使う呪いがあるけれど、それをされたら相手を知った所で何にも出来ないけどね。だから幽霊の呪いは怖いのよ。成仏させるしか対抗できないし。」

「ある意味怖い話だよなぁ‥そういう意味じゃ生きてる人間より死んでる幽霊の方が厄介か。」

「どっちもどっちよ。呪いなんか手を出さないのが一番よ。人を呪わば穴二つっていうし。」

「ま、まぁまともに生活してた私達には関係ない‥よね?」

「‥」

「そうよ。さぁ。今日はこの辺にしましょうか。」

「お前。楓が怖がるから、次は明るい話持ってこいよ?」

「幽霊に明るい話も暗い話も有るもんですか。‥でもそうね。少し可哀想なことしたわ。ごめんね。」

呪いについて喋ってる咲ちゃんが凄く怖かった。話し方はいつもと同じだったのに。なんでだろう‥

あと舞ちゃんが何か言いかけてたのも気になる‥

明るい話を楽しみにして今日は寝よう‥

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生徒はノートをとじた。このノートは何だ?この学校に死んだ生徒が3人いたという話は聞いたことがあるが、それはタブーだ。この学校の生徒と先生しか知らない。詳しくは俺も知らないが。

ノートにはまだ続きがあるみたいだ。

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