この公園にはいつしか誰も寄り付かなくなった。
なぜだか理由はわからない。
カラカラと音を立てて転がっていく落ち葉の向こうから、老人が一人歩いてきた。
ベンチの前で足を止めた老人はボソリと呟いた。
「おまえさんはもうとうの昔に亡くなっとるんじゃ。はよう成仏してくれんと、だーれもそのベンチを使えんで困っとる」
老人はまたトボトボと歩み始めた。その背中は透けていて、みるみるうちに景色の中へ溶けていった。
「ふん、老いぼれが。おまえもとっくの昔に死んでるっつーの」
黒猫が空を見上げると、カラスの群れがガーガーと悪態をつきながら集まってきた。
ベンチそばにある街頭が点滅を繰り返しながらぼんやりと灯る。もう暗くなるのか、冬の夜は早いな。
暗がりから目の飛び出した赤ん坊を背負った酷い身なりの女が、ジッとこちらを見ている。これは昨日と全く同じ光景だ。たぶんこのにらめっこは朝まで続く。
「あーあ、また誰か首吊ったな」
黒猫があからさまなため息をつくと、周りの木々が返事を返すかのようにザワザワと唸った。
その公園には誰も寄り付かない。
なぜだか理由はわからない。
作者ロビンⓂ︎
うーむ、なぜこんな話を書いたのか?なぜだか理由がわかりません…ひ…